第十七話
3ヶ月後、夏休みも終わる頃、ようやくギブスが外れて、両手が使えるようになった。ギブスを外した時の匂いがあまりに強烈でいつもなら真っ先にくっついてきそうな愛がくっついてこなかった。少し寂しかった。不便でならなかった生活がようやく終わると思うとほっとする。今まで片手でしか作業できなかった分、どうしても時間がかかっていた。時間が足りなくて不十分で納得しているところもあったが、これからはしっかりと準備できる。実際ここ数ヶ月は大学在学時よりもやることが増えてはいるが、楽しい。色々と縛りなく自分の好きなことが認められて仕事になっていることが嬉しい。授業も回数を重ねるうちにみんなの反応も保護者の反応も良くなって来ている。今では保護者が子供たちに混じって意見交換を行うまでになっている。自分の授業はどちらかというと保護者ウケの方がいいみたいで、メモを取るのも保護者の人の方が多い。とは言ってもこれまでは最初の授業の内容とあまり変わらない内容ばかりして来た。様々な童話のオチを自分なりに考えることを繰り返し反復する。そろそろ別の内容に移りたいところではあるがその前に仕事がある。
今日はめいの初めての撮影があるため、父さんの会社に愛と一緒に向かう。久々の撮影でルンルン気分の愛。愛が撮影の時は自分が必ずつくことになっている。愛が心配なのもあるが、外の会社に頼むことがあるので変な虫がつかないように見張っておきたいから。愛の性格の特性上、基本的に人と壁を作らないため、夏の火に群がる虫並に人が寄ってくる。家族として心配というのは会社や人に説明する時の言い訳で、本心はシンプルに不安からくる嫉妬だ。がんじがらめにするつもりはないが束縛してしまっている自覚はある。自分に自信がなく不安だから。改善しなければならないとは思っているが、2人が嫌がってなくむしろついてきて欲しいということが多いからこのままでいいのかなと最近思い始めている。




