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第十二話

授業の時間は40分程度。子どもたちの体調を見ながら無理のない時間にした。そして、かならず2人以上の病院関係者の人が待機している状況を日向さんにお願いした。何かあったとき自分ではあまりに力不足だから。今日は中村先生とあともう1人の担当みたいだ。今日は初回ということでほとんどが自己紹介で終わった。質問コーナーのようなことをしていたら、時間が過ぎてしまっていた。子どもたちはどこか楽しげで元気だった。ちなみに、隼人の彼女さんは井上さくらというらしい。さくらは自己紹介にもかかわらず何かメモを取っていた。時折隼人と目を合わせて笑っていた。


授業の時間が終わり花屋に戻ろうとすると中村先生が話しかけて来た。


「寛くん、お疲れ様。終わったら医院長室にくるようにって日向先生が言ってたよ。」


と、自分に伝え、笑顔で去っていった。中村先生の伝言通り医院長室に向かった。


「今、終わりました。」


医院長室に入ると少し真剣な面持ちでパソコンを見ている日向さんがいた。自分に気づくと少し焦ったのか少し表情の固い笑顔で迎えてくれた。


「そうか。お疲れ様。」


「すいません。タイミング悪かったですか?」


「問題ないよ。どうだった?初日は?」


「顔を知ってくれている子が多かったので思っているより積極的で助かりました。積極的過ぎて自己紹介で終わってしまって予定していたものはできませんでしたけどね。それと隼人が来てくれて、少し嬉しかったです。」


「隼人君も来ていたのか。いつもさくらちゃんのお見舞いに来てくれているから僕も知ってたよ。仲良かったんだね。」


「いつも花屋に来てくれますから。男の子ひとりだったので珍しいなと思って声をかけたのがきっかけですかね。」


「さくらちゃん、いつも僕に笑顔で話しかけてくれるんだよ。今回はこの花もらったってさ。でも一番好きな花はお願いしても持って来てくれないとも言っていたかな。」


少し意外だった。隼人の性格上素直に持っていきそうだから。少し気になるな。


「何か理由でもあるんですかね?ちなみになんの花か聞きました?」


「それがさくらちゃんも教えてくれないんだ。2人の秘密っていてね。」


「気になるなら今度隼人に聞いて見ましょうか?」


「いいや、こういうことはほっておくのがいいのさ。2人だけの秘事はそれこそ2人だけのもので他の人が入っていい世界じゃないからね。」


「そういうものですかね?」


「そういうものだよ。思春期の恋愛は特にね。大人になると余計なものが頭の中を駆け巡って純粋に恋愛できなくなるからね。今のうちだけなのよ。純粋で綺麗で真っ直ぐな愛はね。」


自分は真心と愛しか知らないからかよくわからなかったが、授業の前に隼人を見て思ったうらやましいという感情はここから来るのかもしれないと思った。


「もうそろそろ戻ります。」


気がついたら30分は日向さんと話してしまっていた。そろそろ戻らないと愛になんて言われるかわからない。


「そうだね。2人に迷惑かかってしまうし、君を先に雇ったのは結だからね。今度時間があったら見にいくからね。」


正直なところ来ては欲しくないのだがこの病院の責任者としては仕方ないのかもしれない。そんなことを思いながら軽く会釈した。


花屋に戻ると愛にこっ酷く怒られた。いつもなら言い合いになるのだが、こちらに非があるのが明白で何も言い返せなかった。結さんが間に入ってくれてこの時は愛の怒りは治まった。家に帰ってから改めて冷静に注意された。


その日の夜、日向さんからメッセージが届いた。その内容はなるべく早く1度保護者のために説明会を開いてほしいということだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  相変わらず、繊細な文章で羨ましいです。  みんないい人で、読んでいて心が和みます。 [気になる点]  真心ちゃんと愛ちゃんには互いに独占欲とか、やきもちとか無いのでしょうかね。 [一言]…
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