第十話
家に帰ると愛の声が響いた。
「おかえり。」
愛が出迎えてくれた。今朝あった時よりも元気に。
「メッセージ来てなかったけど迷惑かけなかった?」
「心配御無用。初日ながら完璧にこなして来ました。」
言い方が腹たつ。あとで結さんに確認したら、自分が来ている時よりも活気があって良かったと言われた。少し落ち込んだ。
「今日、父さんも帰ってくるから、2人も手伝って。愛、母さんは?」
「部屋で仕事。」
母さんには悪いが少し切り上げてもらうしかない。2人に任せるのは不安でしかない。味噌汁が鉄の味がするのは嫌だ。
「愛、母さん呼びに行って。その間に着替えておくから。」
普段着ないきっちりとしたスーツをできるだけ早く脱ぎたい。息苦しくてたまらない。
愛が呼びに行った母さんだが、寝ていたらしくなかなか起きてくれなかった。結局自分が起こしに行く羽目になった。
「寛、今日のメニューは何?」
今日のメニューはサバの味噌煮。たまたま今日、サバの切り身が安売りしていたので父さんの好きな味噌を使った料理にした。母さんに味噌汁を任せて、料理のできない2人と一緒にサバの味噌煮を作った。生姜と味噌、みりんにお酒、隠し味にちょっとだけチューブのニンニク。ニンニクを入れると味にパンチが出ていい。ちょうど出来上がるときに、父さんが帰って来た。基本的になんでもおいしいと言って食べてくれるので3人の顔はニヤけっぱなしだった。




