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第7話【人形の名前】

もう、時間帯は深夜なのだろう。


俺はバックパックを背負って森の中を歩くクレアの後ろに続く。


大きなバックパックが彼女の美尻を隠して残念だった。


『なあ、クレアさん。どこに行くんだ?』


クレアは振り返らずに答える。


「こんな時のために用意しておいた秘密基地が有るから、そこに向かうわ」


『秘密基地っ!?』


この女、本当に男心を擽るのが上手いよな。


秘密基地だなんて、ワクワクするじゃあないか。


俺も子供のころに、近所の裏山に秘密基地を作って遊んでたよ。


今度はクレアがチラリと振り返ってから言う。


「私の呼び方はクレアで良いわよ。さんってタイプじゃあないから。その代わり、私もあなたを呼び捨てで呼ぶわ」


『ああ、俺も構わんぞ』


「ところであなた、名前は?」


『覚えていない。自分の名前が何故か思い出せないんだ…』


突然クレアが立ち止まる。


するとバックパックを下ろして中身を漁りだした。


『何を探してるんだ?』


「ステータススクロールよ」


『なんじゃい、そりゃあ?』


「あなたの居た世界にステータススクロールは無いのか?」


『ない……』


俺が疑問を抱いているとクレアがバックパックの中から折り畳まれた地図のような羊皮紙を取り出した。


それを俺に手渡すと、クレアは再びバックパックを背負った。


『これがステータススクロールってヤツかい?』


「そうよ。羊皮紙を開いたらステータスを見たいと念じてみて。それで名前も分かるかも』


『うにゅ……』


俺は言われた通り羊皮紙を開くと凝視しながら心に念じた。


すると羊皮紙に文字が浮かび出す。


『おお、魔法みたいだ!』


「魔法よ」


浮かび出した文字は、この異世界の文字なのだろう。


初めて見る形の文字だったが不思議と読めた。


─────────


【名前=名無し】


【クラス=ウッドゴーレムファイター】


【筋力=18】


【体力=無限】


【敏捷=8】


【器用=10】


【知力=12】


【精神=10】


【信仰=3】


【幸運=10】


─────────


【老化無効】【餓死無効】【脱水無効】【痛覚無効】【感触無効】【嗅覚無効】【味覚無効】【睡眠無効】【麻痺無効】【毒無効】【魅了魔法無効】【腕力強化Lv2】【握力強化Lv2】【喧嘩Lv2】


─────────


【魔法なし】


─────────


【ボーナスポイント100】


─────────


おお、羊皮紙に浮かび上がったのはステータスとスキルだな。


魔法も無いが、俺、名前も無いじゃん……。


羊皮紙を覗き込むクレアが言った。


「古の異世界転生者が作り出したマジックアイテムよ。生物やモンスターのステータスを数値として写し出すの」


『便利だな……』


そしてクレアが森の中を歩き出すと講義を始めた。


俺はクレアを追いかけながら話を聞く。


「ステータス値は人間の成人男性が平均10だと思って見比べて。それにしても流石はゴーレムだな、体力が無限なのね。力も強いし」


そう、体力が無限って表示されている。


疲れ知らずって事かい。


それに筋力も18と高いな。


『筋力18って、どのぐらいなのだ?』


「人間だと一流のタンカーでもなかなか居ない数値だぞ」


俺ってパワフルなんだ~。


その分だけ敏捷が少し低いな。


足が遅いのは、そのせいなのか……。


「ところでお前は神を一切信じないのか。信仰が3って人物は初めて見るぞ。そんなのモンスターぐらいだ。リザードマンでも10ぐらい有るぞ」


『ああ、前の世界だと、盆と正月、それにクリスマスぐらいしか信仰行事に参加しなかったからな』


お盆、正月、クリスマス、それら三つで信仰が3なのだろう。


「あとはスキルだな。スキルはゴーレムその物だぞ。数々の無効はゴーレムに類似している」


『無効がいっぱいだな。俺は歳も取らないし、餓死も無し。眠りもしないのか?』


「歳を取るゴーレムとか、餓え死にするゴーレムなんて見た事ないぞ」


『なるほど……』


マリアンヌが言ってた通り、俺は不老なのね。


それに感触無効、これのせいで感触も無いのだろう。


だから、おっぱいの感触を堪能することが出来ないのだ。


あと、館の三階から飛び降りても脚が痛くなかったのは痛覚無効のお陰かな。


「どうやら、魔法は覚えていないようだな」


『魔法って、後々から覚えられるのか?』


「どうだろう。ゴーレムが魔法を唱えているところを見た事が無いからな……」


『じゃあ、今後覚えられる可能性はあると?』


「異世界転生者だからな。可能性は無限だろうさ」


おお、俺も憧れのファンタジー魔法を唱えられるのかな!?


ちょっとワクワクするぞ。


「それと、そこに表示されているスキルは、常人よりも秀でた才能だけが数値として表示されているに過ぎない。だから、剣術を修行すれば、その内に剣技Lv1などと表示が浮かび上がるはずだ」


『じゃあ俺は、剣術が素人だから数値としてすら出て来ていないのだな』


「そうなる」


『じゃあ、この腕力強化ってスキルと握力強化ってスキルは何なのだ?』


「そのスキルの文字をダブルクリックしてみろ」


ダブルクリックって、この世界にも有るのかよ……。


とりあえず腕力強化と握力強化をダブルクリックしてみた。


すると解説文が追加で浮き上がる。


【腕力強化Lv2=筋力+2】


【握力強化Lv2=腕力+2】


なるほどね。


両方ともステータスの筋力が増えるスキルなのか。


じゃあ、俺の筋力は初期数値が14だったのかな?


俺はクレアに訊いてみた。


『なあ、ステータスの数値ってスキルボーナスが足された数値か?』


「合計点よ」


やっぱりそうなんだ~。


『'じゃあ最後のボーナスポイントってなんだ?』


俺が問うとクレアが再び羊皮紙を覗き込む。


「ボーナスポイント……?」


「これだよ、これ』


クレアは羊皮紙を眺めながら首を傾げていた。


もしかして、見えていないのか?


俺はボーナスポイントをダブルクリックしてみる。


【ボーナスポイント=異世界転生者に対してのボーナス。このポイントを消費する事で新スキルを習得したり、既存のスキルを成長させる事も出来る】


なるほどね〜。


異世界転生者のみのステータスボーナスなのか。


だからクレアには見えないのね。


更に説明文に続きがあった。


【ボーナスポイントを獲得するには、敵を倒して経験値を得るか、ミッションの完了などで獲得出来ます】


更に俺は説明文を読んだ。


【新スキルを習得に100ポイント掛かり、レベルを上げるのにレベル×100ポイント掛かります】


レベルが上がるとコストも掛かるって仕組みか~。


レベル1をレベル2に上げるには200って事ね。


でも、クレアの説明だと地道な訓練でスキルの習得もレベルアップも可能だから、ボーナスポイントを使ってのレベルアップは異世界転生者のチート的な特権なんだろう。


それで、どんな新スキルが有るんだ?


【現在、獲得可能な新スキル。魔物鑑定、動物鑑定、昆虫鑑定、魚類鑑定、植物鑑定、道具鑑定、薬物鑑定、鉱物鑑定、足跡探索、罠探索、罠解除、地図製作、人形製作、鍛冶製作、道具製作、洋服製作、料理製作、建物製作、掃除、釣り、感触追加、嗅覚追加、記憶力強化、脚力強化、剣技、槍技、鈍器、短刀技、弓技、盾技、体術技、拳闘技、蹴闘技、投闘技、間接技、斬撃耐久、衝撃耐久、魔力強化、魔法抵抗強化、炎耐久、電撃耐久、冷気耐久、腐敗耐久、神聖抵抗、暗黒抵抗、望遠魔眼、暗視魔眼】


うわっ、多いな。


それにしても、魔眼まであるのか……。


厨ニ臭いな〜。


まあ、ひとつひとつのスキル内容は、暇な時にじっくりとチェックしておこう。


俺の前を進むクレアが訊いてきた。


「ところであなたは名前をどうするの。名無しのままだと不便じゃあない?」


『確かに、名無しってのも味気無いな~。でも、前世の名前が思い出せないんだよね』


「自分で勝手に名乗ったらどう?」


『そうだな〜……』


名前か~、どうしたものかな。


フッと、俺の頭に名前が浮かび上がる。


『アナベル……』


有名な呪いの人形だ。


映画で観た事がある。


不吉だけど、俺の信仰心は3だから構わんかな。


「アナベルか、可愛らしい名前だな」


この異世界だと有名じゃあないんだな。


呪いの人形なのに、傀儡の魔女の弟子が知らないんだもの。


ならば、問題ないな。


クレアが言う。


「こちらの世界だと、ソロモン砦を攻略した伝説の帰ってきた英雄と同じ名前だぞ」


『ソロモンの悪夢かよ!!』


ガトォ~~~~!!!


帰って来るな!!!





───────────

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by、ヒィッツカラルド



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