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第33話【追跡の開始】

「どうやらここから西に馬で向かったようだな」


『へぇ~、そうなんだぁ~』


クレアが屈みながら地面を凝視していた。


その横に立ち尽くす俺は、手で日笠を作りながら草原の果てを眺めている。


草原のド真ん中で地面に残る馬の蹄跡を指で数えるクレアが言った。


「騎馬の数は十騎程度だな。多くて十五騎だろう。その下に少し古いオーガの足跡が残っている」


『なあ、クレア。あのお坊っちゃま野郎が馬で追っているなら、もうさ、オーガに追い付いているんじゃないか?』


「速度から言ってそうだろうさ」


クレアの予想も俺と一致する。


そして、しゃがんでいたクレアがスチャリと立ち上がった。


クレアは長い銀髪を風に靡かせながら俺と同じように草原の果てを眺める。


その横顔に俺は話し掛けた。


『徒歩の俺たちでは追い付けないんじゃあねぇか?』


俺の意見は当然だろう。


ガルマルは騎馬で追跡を始めた。


しかも昨晩のうちに発ったと言う。


時間的に予想しても、移動速度的に推測しても、徒歩の俺たちでは追い付けないだろう。


あと、期待するならば、お坊っちゃまたちがオーガに返り討ちに合って、足止めを食らっているのを願うばかりだ。


だが、それも期待できないだろうさ。


何せガルマルが率いる兵士たちも、一度はグラナダの村でオーガたちと戦っているはずだ。


ならばオーガの戦力を把握しているはずなのだ。


戦力を違える単純なミスも期待できない。


故にオーガ三匹に遅れを取るような戦力では挑まないはずだ。


十分なまでの戦力で挑んでいるはずだろう。


『こりゃあ~、先を越されているな~、たぶんよ~』


「まあ、とにかくだ。我々も追うぞ」


そう言うとクレアが両手で印を組んで、何やら魔法を唱え始めた。


「ウィンドウウォーク!」


クレアが魔法を唱え終わると俺と彼女の足がフワリと輝いた。


なんか、足元がスースーするぞ。


そして、やたらと足が軽い。


『なんだ、この魔法は?』


「直進の移動速度限定だが、足の動きが軽くなり移動速度が上昇する魔法だ」


『ほえ~……。なんだか聞いただけで便利そうな魔法だな』


「じゃあ走るぞ、アナベル」


「やっぱり走るのね~」


言うなりクレアが凄いスピードで走り出した。


俺も慌ててクレアの美尻を追いかける。


『速い……。まさに風だな!』


走ってみて分かった。


俺の走る速度が明らかに速くなっている。


たぶんこの速度ならオリンピックの長距離ランナーより足が速いかも知れない。


『これなら確かに馬にも追い付けるかも知れないな……』


俺たちは馬の足跡を追ってひたすらに草原を走った。


しかし、数キロ走ったところでクレアが立ち止まる。


『どうした、クレア。疲れたのか?』


「はぁ、はぁ……」


正解のようだ。


息を弾ませるクレアが俺に言い訳を述べる。


「私の体力は貴様と違って無限ではないからな……。流石に続けて走るのは無理がある……、ぜぇぜぇ……」


まあ、仕方がないかな。


それにクレアは片足が義足だ。


長距離の移動には適していない。


しゃあないので俺はしゃがみ込むとクレアに背中を向けた。


『ほれ、クレア。俺が担いでやるから遠慮なく乗れ。今は急ぐからな』


「すまない、アナベル」


よし、おんぶだ!!


彼女も同意したぞ!!


これでクレアのお尻や太股を触っても不可抗力として許されるぞ!!


「じゃあ、遠慮なく」


そしてクレアが俺の頭を股で挟むように股がった。


『また、肩車かよ……』


「アナベル。落とさないように頼むぞ」


『ほいさ……』


そうだった……。


クレアにはおんぶって概念がないんだった。


何故かおんぶで運ぼうとすると肩車になってまう……。


だが、これはこれで幸せな極楽ポジションである。


後頭部からクレアの花園のぬくもりと香りがほのかに伝わって来る。


それに、太股の柔らかさを頬っぺたで堪能できた。


これは、やっぱりかなりの極楽的な幸福度だぞ!!


幸せすぎて百点満点のご褒美ですがな!!


すると俺に肩車で股がるクレアが俺の額をコンコンっと叩いた。


「何をぐずぐずしている、アナベル。早く走り出せ。騎馬に追い付けんぞ」


『わ、分かりました、女王様! だから俺を豚野郎とお呼びくださいませ!!』


「調子に乗るな、いいから早く追え」


『はいーーー!!!』


とにかく俺は走った。


幸せを後頭部に味わいながら──。


やがて草原の果てに騎乗する一団が見えてきた。


彼らはノロノロと馬を進めている。


『おお、見えてきたぞ!』


「アナベル、私を降ろせ」


『了解』


俺はクレアのぬくもりが名残惜しかったが渋々クレアを地面に降ろしてやった。


そこから俺たち二人は草むらに身を潜めながら騎馬たちの背後に接近を試みる。


そろりそろりと近付く。


俺は騎馬兵の数を数えながらヒソヒソと進んだ。


『一、二、三、四……、んん~、騎馬兵の数は七騎かな~』


そして、あと20メートルほどまで近付いて気付いた。


『あれれ……、なんか、可笑しいぞ……』


騎兵たちの動きが歪だった。


首を横に曲げて項垂れている者たちが多い。


それどころか、後ろから見ていてやたらと猫背の者が多かった。


やる気が湧かないのかな?


怠惰だね~。


『おい、クレア……』


俺がクレアの顔を確認すると、彼女は眉間に皺を寄せながら嫌な表情を作っていた。


そんなクレアが小声で言った。


「死臭が風に乗って漂って来る……」


『やはりか……』


たぶん俺の予想は当たっているだろう。


あの騎馬兵は死んでいるな。


死んだまま馬に股がり放浪しているのだ。


『哀れだな……』


そう、俺が呟いた刹那である。


一騎の兵士が騎馬ごと向きを変えて振り返った。


こちらを見ている。


「あっ、あ……ぁ………っ」


項垂れる騎馬兵が薄気味悪い声を漏らした。


そして、瞳孔が開ききった眼差しでこちらを凝視する。


『生きているのか?』


「否だ」


クレアが俺の言葉を否定した。


『なに、あれ、気持ち悪い……』


騎馬兵士は額や口から茶色い鮮血を溢している。


そして、俺と目が合うと唐突に叫んだ。


「ぁぁあががあがあああ!!!」


理性が飛んでいるのかキモイ咆哮だった。


クレアが言う。


「あれは既に死んでいるな。ゾンビだ」


『ゾンビなの!?』


すると他の騎馬たちも振り返った。


兵士たちは全員死んでゾンビ化している。


兵士だけじゃあない。


ゾンビ兵が股がっている騎馬たちも死んでいるようだった。


馬の頭が割れていたり、目ん玉が飛び出している。


ゾンビホースだ。


『これは、ゾンビナイトってことですか~……』


ゾンビって、生で初めて見るわ~。


生で見ると、やっぱりキモイよね~。




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by、ヒィッツカラルド



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