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第19藁【乱戦の攻防】

クレアが指先から煌めく閃光を放った。


魔法の針を発射したのだ。


閃光は魔法使いの胸に着弾すると魔法使いは胸を押さえながら跪く。


「ぐっ、ぐぅ、息が……」


クレアがいつも通りの冷めた口調で言った。


「パラライズニードルの魔法だ。一時間も休んでいれば呼吸も落ち着くだろうさ」


しかし、現在は戦闘中だ。


一時間も休んでいられないと考えた魔法使いが意識を強く引き締めて、麻痺の魔法をレジストしようと気合いを入れた。


「ふぬぬっ……」


だが、魔法を跳ねのけられない。


更に呼吸が詰まって意識が朦朧と濁る。


弓矢を構えながら後退した軽戦士が魔法使いと並ぶと声を掛けた。


「ザクレレロ、大丈夫か!?」


「息、が、でき……」


その言葉を最後に魔法使いは前のめりに倒れて白目をむく。


「ちっ、ザクレレロが気を失いやがったぞ……」


一方でリーゼントの軽戦士がクレアを睨みながら言う。


「ビグロース、俺たち二人でやるぞ!」


「分かった、グフザク!」


二人の軽戦士が戦闘態勢を築く。


一人は二刀流のダガー使いで、一人はショートボウの弓矢使いだ。


「シュート!!」


弓矢使いが矢を放った。


クレアの顔面を矢が狙う。


だが、クレアは首を傾げるだけで矢を回避した。


クレアには瞬速に飛行する矢が見えているのだろう。


その直後、二刀流の軽戦士が低い姿勢で走り迫った。


まるで地を滑るような速度で間合いを詰めたリーゼント軽戦士がクレアの足を狙ってダガーを振るう。


二連の切っ先が煌めいた。


「速いわね」


クレアが足を引きながらバックステップで回避した。


追撃。


リーゼントが体を起こして上りのダガーを逆手で振るう。


ダガーの切っ先がクレアの顎先を過ぎる。


ダガーの攻撃はヒットしない。


更に繰り返される二刀の連続攻撃。


右から左、左から右へとダガーが六度も煌めいた。


しかし、クレアはバックステップを繰り返してダガーの乱舞から難無く逃れていた。


クレアは攻撃から逃げながら魔法を唱える。


「ドライアートスネア!」


「なんのっ!!」


魔法の力で大地から伸びでた茨の蔓がリーゼント軽戦士の足に絡み付くが、まるでガラス細工が砕けて割れるように茨の蔓が粉砕した。


魔法が消える。


「レジストするか」


「当然だ!!」


「ふんっ!!


更に二発目の矢を放つ弓矢使いの攻撃がクレアの足元を狙った。


その矢がクレアの脹ら脛に命中して矢じりが食い込む。


「よし、これで機動力を奪えたぞ!!」


弓矢の軽戦士がガッツポーズを取っていたがクレアはスピードを落とすことなく戦いを続けていた。


弓矢の軽戦士が唖然と驚く。


「何故に動けるっ!?」


ならばと更なる攻撃を狙う。


弓矢の軽戦士が矢筒から矢を引き抜いた刹那だった。


真横からゴーレムに体当たりを食らう。


『どすこいっ!!』


「ぎゃふんっ!!」


モロにタックルを食らった弓矢の軽戦士は5メートルも吹き飛ばされると野菜畑の柵を薙ぎ倒して転がった。


ゴーレムが言う。


『あー、てめー、この野郎。俺が大切に育ててる畑を嵐やがったな!!』


弓矢の軽戦士はユラユラと立ち上がる。


顔も頭も泥だらけだった。


「テメーが突き飛ばしたんだろ……」


軽戦士は言いながら矢筒から矢を引き抜いて弓を引こうとした。


だが、弓矢の弦が切れていた。


「クソっ!!」


軽戦士は弦の切れた弓を捨てると腰からショートソードを抜こうとした。


そこにゴーレムが飛んでくる。


両足を揃えて飛んで来たゴーレムが空中で両足飛び蹴りを繰り出した。


『ドロップキッーーーク!!』


「がはっ!!!!」


ゴーレムの両足蹴りが軽戦士の顔面にヒットした。


両足の脚力全開で蹴り飛ばされる。


凄い衝撃だった。


一撃で頭の中が白から黒に染まる。


顔を蹴られた軽戦士が更に5メートル飛んだ。


畑の柵を越えて森の中に消える。


『どうだ、この野郎が!?』


立ち上がったゴーレムは弓矢使いが飛んで行った森のほうを凝視していたが、弓矢使いが戻って来る気配は感じられなかった。


それからゴーレムは後ろを振り返る。


まだクレアとリーゼントの軽戦士が戦っていた。


ゴーレムはそちらに歩みながら問う。


『クレア、足は大丈夫か。矢が刺さってるぞ?』


クレアは軽戦士と攻防を繰り広げながらアナベルに答えた。


「大丈夫だ。義足に命中しただけだからな」


『それじゃあ加戦は必要か?』


「頼む、この人間は見た目以上の実力だ」


アナベルの目にも理解出来た。


このリーゼント軽戦士は出来る野郎だって──。


何せクレアと五分五分で戦っていやがる。


何より仲間が全員倒されたのに逃げに入らない。


まだ、怖じけず俺たちと戦っていやがる。


おそらく一人でも勝てるつもりなのだろう。


そもそもこいつにしてみれば、仲間は飾りだったのかも知れない。


『うらっ!!』


クレアとリーゼントが戦う横からアナベルが手を出した。


ゴーレムの力強い拳を振るう。


「おっと~」


しかし、拳が空振る。


リーゼント軽戦士が大きく跳ねて後退した。


二人から間合いを取る。


仕切り直しだ。


「なかなかやるな。ねぇ~ちゃんもゴーレムもよ」


「お前もやるね~』


「ほほう、ゴーレムがしゃべるか」


『しゃべるだけじゃあねえよ。遊ぶし、騒ぐし、喧嘩も強いぜ~』


「強いのは分かった。何せこっちの仲間が三人もやられたからな」


『お前、柔軟だな。ゴーレムが平然としゃべってるのに冷静だぞ』


「そのぐらいで驚いていられるか。固定概念に縛られてたら、冒険者として稼げない。何より生き残れないからな」


『なるへそ、なるへそ』


アナベルが感心していると二刀のダガーを逆手に持ったリーゼント軽戦士が腰を落として深く構えた。


「こっちも一人になっちまったから、余裕もぶっこけね~。そろそろ本気で行かせてもらうぜ」


言うなりリーゼント軽戦士のダガー二本が青白く光り出す。


奥の手なのだろう。


「マジックアイテムか」


呟いたクレアもレイピアを前に突き出して凛々しくもスマートに構えた。


「侮るな、アナベル。あやつの気が増したぞ」


『そうなの?』


直後、敵が動いた。


「青き疾風のグフザク。参るっ!!」


カチッと小音が聞こえた。


続いてカキンっと金属音が弾ける。


するとクレアの前にグフザクが光速移動していた。


クレアのレイピアが折れてしまい、刀身が地面に落ちて突き刺さる。


『速っ!!』


カチッと音が鳴る。


残打を放ったグフザクが再び光速で下がった。


距離を作る。


『かなり速いな……』


「俺のスピードは世界一だぜぇ!!」


クレアが折れたレイピアの先を見ながら言う。


「加速の魔法だな」


『スピードアップの魔法かい。魔法って本当にいろいろとあるんだね~』




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