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第15話【兜虫の油袋】

俺とクレアが街道から洞窟ハウスに帰ってきたのは昼頃だった。


洞窟ハウスに到着するとクレアが早速昼食の準備を始める。


今日の昼食は昨日の昼間に森の中で取ってきた果物のようだ。


リンゴと梨にブラットベリーである。


生で食べて簡単に済ませるのだろうか?


いや、ちゃうな。


まな板とナイフに水が入った鍋を持ってくる。


煮るのか?


テーブルに果物の入ったバスケットを置いたクレアが鍋を暖炉の火に掛けながら言う、


「なあ、アナベル。チ◯コとやらを見れなかったが、どうするつもりなのだ?」


俺は椅子に腰掛けながらテーブルに肘を付くとだらけながら述べた。


『まあ、焦る事はないだろうさ。チャンスはまだまだあるさ……』


「貴様がそう言うなら私は構わんがな」


『ちっ……』


俺は構うよ。


正直言って、早くチ◯コが欲しいからな。


早くチ◯コでエロいことやエロいことにエロいことが沢山いっぱいモリモリやりたいのだ。


そんな願望が爆発しそうなのだ。


別のところも爆発させたい。


だから早くチ◯コが欲しいのが正直な意見である。


『畜生……』


俺は椅子から立ち上がると書庫を目指した。


そして、書庫の中から一冊の本を取る。


この前見つけた官能小説だ。


何故に本棚に官能小説が混ざっているかは分からないが、俺はその一冊を持ってテーブル席に戻る。


内容は貴族の旦那さまと若いメイドの不倫劇だ。


文章はなかなかエロい。


良い出来だ。


クレアの趣味なのか、それともマリアンヌの趣味だったのだろうか……。


俺は果物を包丁で刻むクレアの前で淡々と官能小説を読んでいた。


しかし、刻んだ果物を鍋に放り込むクレアは俺に突っ込みを入れない。


俺が官能小説を読んでいても放置である。


少し寂しい……。


って、ことはだ。


これはマリアンヌの書物だったのだろうか。


何かの事故でレアリティーの高い本と混ざってここまで流れて来たのかな?


「アナベル、ところでだな」


おっ、やっと構ってくれるのか?


『なに、クレア?』


「もうそろそろランタンの油がなくなるのだが」


『ランタンの油?」


「そうだ。貴様が徹夜で本ばかり読んでいるから、油の消費が激しいのだ」


『あ~、なるほどね……』


俺は眠らないから夜は読書ばかりしている。


その際に明かりは必要だ。


暗いと文字も見えないからランタンを灯しっぱなしなのだ。


だからランタンの油も早く消費してしまうのだろう。


「油は樽で在庫があったが全部使い切る寸前だぞ。あと僅かだ」


『じゃあ、人里に買いに行けと?』


「いや、そこまでしないでもいい」


俺は首を傾げた。


『んん、何故だ?』


「油ならこの森で取れるからな」


『そうなのか?』


油が取れる?


種や花のような植物から絞り取るのかな?


油も自給自足なのね。


『ランタンの油は俺が消費しているから俺が取ってくるよ』


「当然だ」


『それで、どこで油は取れるんだ?』


「森の奥にファイアービートルが生息しているエリアがある。そこで取ってこい」


『ファイアービートル?』


炎のカブトムシ?


『虫から油を取るのか?』


『家で使ってる油はすべてファイアービートルの体液だ」


『そうだったの、知らんかったぜ』


「だから油が切れたらファイアービートルを狩ればいいのだ」


『それを俺に狩ってこいと』


「そうだ」


俺はクレアからファイアービートルについていろいろ聞いた。


ファイアービートルの全長は2メートルほどある巨体のカブトムシらしい。


カブトムシと違うのはお尻がホタルのように光るとか。


そのお尻を切り開くと油袋があるから引き抜いて絞り出せば油が取れるらしいのだ。


ファイアービートルの戦力は点数で言えば1点弱程度らしい。


コボルトと同じ程度の強さだ。


性格は肉食で動物を襲って食べたり歯肉を漁っているとか。


カブトムシなのにハングリーな性格だよね。


ファイアービートルの狩りかたは動物の内臓を袋に詰めて生臭い香りで誘き寄せるらしいのだ。


その辺はハチミツでカブトムシを誘き寄せるのと代わらない。


あとは寄ってきたファイアービートルをプチりっとぬっ殺すのみである。


まあ、油も取れるしボーナスポイントも稼げそうだから一石二鳥な話だな。


俺はクレアが狩ってきたウサギの内臓を貰って麻袋に詰めた。


これを囮に使う。


そして、コボルトから剥ぎ取ったレザーアーマーを着込む。


上半身は革の胸当てを着込んだ。


そして、もう一着のレザーアーマーをバラして作った自作の肘当て膝当てを装着した。


残念ながら、この程度の工作では新スキルは習得しなかった。


まあ、続けていれば習得するだろうさ。


焦らない、焦らない──。


『さてっ!』


俺は腰のベルトに下げたショートソードの鞘を平手で叩いて気合いを入れた。


いい感じだ。


『よしよし、行ってくるぜ、クレア!』


「ああ、気を付けて行ってこいよ。ファイアービートルがザコだからって侮るなよ」


『了解だ!』


俺は内臓袋と頭サイズの壺を持つと洞窟ハウスを後にした。


ファイアービートルの巣くうエリアを目指す。


久々の戦闘が予感できた。


それがワクワクする。


すると俺の脳内にアナウンスが流れた。


【ファイアービートルからの油採取のミッションが開始されました】


なに、ミッション開始だと!?


転生者ってこんな感じでミッションが始まるのね。


よし、頑張るぞ!!


俺はノンストップで森を進行して件のエリアに入った。


『クレアが描いてくれた地図だと、この辺からファイアービートルの生息地のはすだ』


俺は頭の上で内臓袋をクルクルと振り回して血の臭いを振り撒いた。


これでファイアービートルが寄って来るだろうさ。


すると前方の藪がガサガサと揺れた。


『早速来たか?』


俺は腰からショートソードを引き抜くと身構えた。


そして、俺が藪を凝視していると長くて太い一角が草むらの中から突き出る。


『来た来た~』


巨大なカブトムシの角だ。


『来やがったな、ファイアービートルっ!』


俺がテレパシーを飛ばした刹那だった。


ファイアービートルが藪の中から飛び出して俺に突っ込んでくる。


角を前に突き出し低い姿勢で滑空してきた。


俺はショートソードを盾にファイアービートルの角を受け止める。


するとガキンっと鉄と鉄がぶつかり合う激しい音が響いた。


『重い、押される!』


俺は足を後ろに伸ばして踏ん張った。


それでも俺の体が押されて下がる。


『ぬぬぅ!!』


凄い突進力だった。


ゴーレムである俺のパワーと互角である。


『野郎っ!!』


だが、俺も押し負けない。


押し返す。


完全に押し合いの相撲状態だった。


俺とファイアービートルが押し合い、睨み合い、力を競い合う。


『負け、らんね~ぞ!!』


俺がテレパシーで唸った瞬間である。


左右の藪が激しく揺れた。


『もしかして……』


俺の背筋に寒気か走る。


まあ、寒気なんて感じないけれど……。


とにかく、俺がヤバイと思った瞬間だった。


左右の藪から二匹のファイアービートルが飛び出して来た。


たぶんこいつらも内臓袋の臭いに釣られて来たのだろう。


俺は二匹のファイアービートルの突進で左右から挟まれた。


『ギャフンっ!!』


ミシッと音が聞こえた。


二匹のファイアービートルに挟まれた俺の体の何処かに皹が入ったのだろう。


その後も俺は三匹のファイアービートルに挟まれてモテモテだった。


もうモミクシャだ。


これが生身の体なら内臓が口から飛び出ていたかもしれない。


『ちく、しょう……』


俺は腰に下げていた内臓袋を手に取ると遠くに投げた。


すると俺を挟んでいたファイアービートルたち三匹が俺から離れて内臓袋を追いかける。


『ふぅ~。やっぱり食事が優先なのね』


俺の体からは肉の香りはしない。


だってゴーレムだもの。


だからファイアービートルも食べ物と認識しなかったのだろう。


俺は内臓袋を取り合う三匹のファイアービートルに背後から近付いた。


ファイアービートルたちは肉の香りに夢中である。


俺の存在を無視していた。


『余所見してんなよ』


そして、俺は次々とファイアービートルにショートソードを突き立てた。


頭の後ろにある甲羅の繋ぎ目を狙うと簡単にショートソードも突き刺さる。


その一撃で終わりだ。


俺は難無くファイアービートルを三匹倒す。


そして、腹を裂いて油袋を取り出した。


俺は油袋から油を絞り取ると壺を満タンに満たした。


『よし、帰ろっと。これで今晩も本が読めるぞ』


そう、今晩も官能小説の続きが読めるのだ。


するとアナウンスが流れた。


【ファイアービートル狩りのミッション成功。ボーナスポイントが加算されました】


おおっ、ラッキー。


これも経験値になるのか!?


帰ったらステータススクロールで幾つぐらいポイントが稼げたか見てみよう。





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by、ヒィッツカラルド



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