第13話【自給の生活】
俺はコボルトの肢体から身ぐるみを剥ぐと森のなかに運んで埋葬してやった。腐ってハエがたかったら気の毒だからな。
それに臭ってくるのが一番不快である。でも俺ってば、嗅覚無効が有るから関係無いか。
それでも日に日に腐っていくコボルトの死体を眺めているのは精神的に堪え難いだろう。何せしばらくはこの洞窟で暮らすのだから。
まあ、家の前に犬の死体が転がってるなんて普通ではないと思う。不快だから誰だって死体を片付けるよね。
『このぐらいの深さでいいかな〜』
ショートソードをスコップ代わりに使って墓穴を掘った俺は、その穴にコボルトの死体を埋めてやると丁寧に埋葬してやった。
ペンペンっと土の小山を短剣の腹で叩くと俺はテレパシーで呟く。
『これで森の肥やしぐらいにはなるだろうさ。さて、戻るか』
土で汚れたショートソードを肩に担ぐ俺は森からクレアが待つ洞窟に戻る。
『お~い、コボルトの肢体を片付けてきたぞ~』
「うむ、ご苦労だったな、アナベル」
クレアは洞窟の中を漁って、逃げたコボルトたちが残した物品を一ヶ所に集めていた。ガラクタが小山になっている。
『何か使えそうな物でもあったか?』
俺もガラクタの山を覗き込んだ。
「武器と防具、あとは僅かな食料だな。骨董品のランタンもあったぞ」
『どれどれ~』
俺は集められた物品を見る。
古びたショートソード、ハンドアックス、ウッドクラブ、あとはボロいレザーアーマーとレザーパンツが二着だ。
レザーアーマーは洗わないと駄目だな。コボルトの血で汚れていやがる。抜け毛も大量にこびりついていた。
「ランタンは油が切れてるから使えないな。代わりに薪が少しあるぞ。あと汚いシーツだ」
俺は嗅覚が利かないからクレアに訊いた。
『シーツは臭うか?』
「犬臭いな」
『じゃあ、レザーアーマーと一緒に洗濯だな』
「近くに小川があるぞ。そこで洗うといい」
『了解』
どうやら洗濯は俺の仕事らしい……。
まあ、レザーアーマーとレザーパンツは俺が着るつもりだたらしゃあないよね。そもそも全裸でも寒くないのだが、人間だった頃の名残りが着衣を思い出させるのだ。人間は裸では暮らせないのである。
それからクレアは洞窟内をぐるっと見回してから言う。
「しばらくは秘密基地からここにかよって建築作業だ。忙しくなるぞ」
『お前、本当に家を作れるのか?』
「何を言っている。家を作るのは貴様だぞ」
『えっ、俺が作るの……?』
「そうだ」
『無茶言うね~、クレア。道具も材料も何も無いぞ?』
「道具は秘密基地にある。図面は私が書く。材料は森と洞窟で採取するぞ」
『えっ、どうやって?』
木材は森からってのは分かるが、洞窟から何を取るんだろう?
踵を返したクレアが大岩のひとつに手を伸ばす。そして何やら呪文を唱えた。
『にゅ??』
すると大岩がバラバラと崩れて幾つかの岩のブロックと化す。土魔法で作り出したようだ。
岩のブロックは40×20センチサイズである。それが魔法で三個出来上がった。
「私が魔法でブロックを切り出すから貴様が積め。力仕事は貴様の仕事だ」
俺は岩のブロックを持ち上げながら言う。
『それにしても便利な魔法だな……』
「魔法使いがダンジョンとかを作るのに使う建築魔法のひとつだ。これで秘密基地の煉瓦も作った」
『魔法って、超便利だな……』
こうして俺とクレアの新居作りが始まった。
クレアがブロックを切り出し、俺が積み上げ作業に励む、それの繰り返しで、まずは壁を拵える。
そんな作業が数日続いた。
俺は切り出されたブロックを積んで洞窟前面の5メートル天井まで壁で塞いだ。
入り口は一つ、窓は二つ、部屋は三つに区切った。
更にクレアが岩を切り出して作った奥の部屋が二つ。それで洞窟内の部屋は五つとなった。
リビング、台所、俺の部屋、クレアの寝室、書庫となる。これだけ広ければ二人で住むには十分過ぎるだろう。
そして、これらを作るのに一ヶ月の作業期間が掛かったが、何とか一端の住居らしく作れたのである。マイホームの完成だった。
しかし、石造りの家は埃っぽい。流石に元いた現代文明の綺麗な家とは比べられない。俺からしてみれば原始人とまでは言わないが、古代人の家である。
そして、家が完成して引っ越しが始まった頃である。突如、クレアの格好が変わったのであった。服装がメイド服から変化したのだ。
『ク、クレア……。その服は……』
その服装は、露出部位が殆ど無かったメイド服から、肌の露出度の高いダークエルフらしいブラックレザーの服装に変わっていたのだ。
上着はタートルネックの黒いレザーアーマーだが、袖が無く艷やかな肩まで露出していて、胸元に逆三角形の小窓が開いており、そこから豊満なメロンサイズの柔らかそうな谷間が見えていた。更には腹部は全開の腹出しルック。お腹は薄っすらと腹筋で割れており、可愛らしいお臍の窪みがチャーミングであった。
下半身は革の短いレザータイツスカート。長くて綺麗な脚の太腿に網タイツを穿いていた。更に膝上までの長さを有した黒革のロングブーツのピンヒールはとても高い。
総合するに、とてもエロい!!
『完全に、悩殺ファッションじゃん……。どうしたんクレア……?』
クレアは豊満な巨乳を持ち上げるように腕を組むとセクシーな立ち姿で答えた。
「埃っぽい建築作業も終わった事だし、気楽な服装に着替えたのだ」
『メ、メイド服は……?』
「あれは仕事着だからな。作業着としては優秀だが、私服としては問題あるだろう。これが私の普段着だ」
流石はダークエルフである。どうやらダークエルフの普段着は露出度が高いのが一般的らしい。なんとも素晴しい種族である。
『あれ、眼鏡はどうしたん?』
せっかくの眼鏡っ娘設定のダークエルフなのに、チャームポイントの眼鏡を掛けていない。どうしたのだろう?
「ああ、眼鏡か――。普段着の時は、いつもコンタクトなのだ」
『えっ、ファンタジーなのにコンタクトレンズとか在るのかよ!?』
「私はコンタクトを使うために洗浄魔法まで習得しているからな。だから何の問題もない」
『衛生概念も完璧なのね……』
そして続いては家具作りだった。作り方はクレアに教わった。少し不格好だったが、テーブル、椅子、食器棚、本棚といろいろ作った。
家具が揃うのに、更に一ヶ月掛かる。
気付けば俺のステータスに建築製作、家具製作、道具製作が追加されていた。どうやらいろいろと学んだらしい。
製作から始まった俺とクレアの生活は、このまま自給自足の生活となる。
俺は飯を食わないから良いが、クレアは食う。そしてクレアは、自分が食べる分は自分でどうにかすると言って頻繁に狩りに出た。ウサギやキツネを森で狩ってくるのだ。それらを自分で捌いて調理していた。
俺は、クレアの手料理を食べれないのが悔しかった。例え彼女の手料理が不味くても食べてみたかったのだ。
何せ俺は、お母さん以外の女性が調理した家庭料理を知らないからである。
『マジで彼女が俺だけのために作ってくれた家庭料理が食べたいなぁ……。愛が欲しいよ……』
水は近くに小川があるので俺が汲みに行くのが係りになっていた。
俺は暇だったので、家の前の広場を耕し畑を作った。しばらくしたらトマトやキュウリの実がなる事だろう。
それを食うのもクレアである。俺は自分が育てた野菜すら食べれない。ちょっと悲しい。
そして、知らない農作業の知識はクレアの書庫で調べた。そんなこんなしていると、俺は農作業スキルを習得していた。
もう、めっきり農民ゴーレムだ。スローライフ全開である。しかし、それも悪くない。
まあ、日々、美人のクレアと暮らせるだけで天国である。
だって、豊満な乳やセクシーな美尻が見たい放題なのだから。たぶん現代社会ならば、見るだけで料金が多額に発生していただろう。それを考えると、なんともお得な話である。
それからしばらくは俺はクレアと二人でゆっくり過ごした。
クレアから傀儡学を学んで傀儡魔法も幾つか覚えた。
それでクレアとの差を知る。
学びたての俺と比べてクレアの傀儡魔法は凄かった。とても一年二年で追い付けるようなレベルではない。
それに俺には木彫りのセンスはゼロだった。だから自分で自分のパーツを拵えるのは諦める。これだど身体が壊れたらクレアに修理を願うしかないだろう。
そして月日が過ぎて行った。
俺は眠らないから夜は一人で本を読み漁った。
それで更に一ヶ月が過ぎる。
そして、俺は気付く。
『俺、この数ヶ月間、自家発電を一度も堪能していないぞ!!』
そうだ、チ◯コがないからだ!!
クレアの乳やら尻を眺めていたのに肝心なことを忘れていたぜ。
そうだよ、チ◯コが必要だ。
でも、俺は木彫りのセンスがない。自分で自分のチ◯コを作れない。
『ならばチ◯コをクレアに作ってもらおう!!』
当初の目的は、それだったはずである。こんなところでスローライフをやってる場合じゃあねえ。
そう俺は考えた。
そして、第一話に続く。
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by、ヒィッツカラルド。




