ホンマゲンタロウハナ
ぼくの兄は、天才だ。なんでも記憶している。普通は、記憶できない。
「時計は頑張って自分でガストで働いて買いました」
働くのは、非常に困難だ。
兄との交流が、ぼくの目標だ。即ち、恥ずかしい。ぼくの後ろ姿も、兄が守ってくれる。
ぼくは、助かりたい。看護師さんは皆、カンファレンスで忙しい。
即ち、看護師さん方の暇つぶしは、アンフェミエを読むこと。暇つぶしではない。仕事道具を扱っている雑誌を読むこと。
「ごめん、エマちゃん。ぼくは先ほどツイッターで教えてくれた肩書きがないと、不安で息ができない」
「あっそ。エマ知らない。結局のところ誰とも同居してないよ。はなよちゃんしか知らないよ。母とじゃない? エマの父は芸術家、母は東大出身だよ」
これは先ほど書いた。ぼくはどうしても、寝ずに仕事をしなければならないらしい。書き仕事のほうが、楽しい。実際に、まんがはつまらないというよりむしろ、右麻痺ーー。
「時計を素直に思い出すの」