1日目〜②〜きゃんでぃまん
飴を配るおじさん、、、?
それを聞いてふとモニターで一瞬見た
「きゃんでぃまん」
を思い出す
やはり、モニターに出ていたのであろうか
しかし、一瞬だったので人吉はたまたま見逃しただけだろう
そう結論付けて今はこのことを考えるのはやめた
「上月さん!そのような方はどこにいたのですか!?」
委員長の千藤が上月に食い入る様な感じで質問した
「ちょ、、、ああ、そうだなぁ、、、俺らは教室から時計周りに下に降りてったが、そのおじさんと会った時は前棟2階の右のとこだな。んで、飴貰ってから後棟に向かってくのを見たぜ」
と上月は委員長に少し驚きながら答えた
自分達の教室は後棟3階の左から2番目の位置だ
そこから時計周りした後に降りたとすると、、、
3階の左通路は通らないだろうし、上月が2階の探索を終えようとした所か(先輩達の教室は通らないだろう)
流石に今は30分以上は経っているだろう。となると自分達のクラスにまだ来てないということは、その飴を配るおじさんとやらは1階から周っているのだろうか?
そんなことを考えると
「何故、そのような人物が学校に居るのですか!?明らかにおかしくないですか?」
と委員長がやや声を荒らげて話していると
コツ、、、、、コツ、、、、、
と学校では聞きなれない足音が聞こえてきた
クラスの皆が静かになる
「あっ、そーいえば俺がそのピエロのおじさんにあったときもこんな足音だったな。」
と上月は思い出したように話した
コツ、、、、、コツ、、、、、
足音が大きくなる
コツ、、、、、
「、、、、、」
ズィッ!!
「キャンディはいらんかね?」
教室の前扉からピエロのメイクをした人が顔だけ覗かせてきた
ヒッ!!
何処からか引き攣った悲鳴が聞こえた
こ、これが上月の言ってた飴を配っているおじさん(自分の中ではきゃんでぃまんと呼んでおこう)か
ピエロメイクで顔だけ覗かせるのは相当迫力があった
「キャンディはいらんかね?」
きゃんでぃまんが再度問いかけたが、クラスメイト達は誰一人動かない
と、思った矢先後ろからガタッと音がした
振り返って見ると1番後ろの席にいる女子が立ち上がっていた
「あの子は、、、、、二廻道だな。」
そう人吉が話していると、二廻道はきゃんでぃまんがいる前扉へ歩き出した
周囲からヒソヒソと話し声が出てくる
「大人しい性格かと思ったが、意外とアグレッシブだな」
人吉も小さな声で自分に話しかけてきた
そして、二廻道は前扉に着くと、何の躊躇いもなく扉を開けた
すると、きゃんでぃまんの全貌が見えた
身長180cmくらいで、腹部が大きく膨らんでいる肥満体型の身体、サーカスのピエロのような派手で真っ赤な衣装だが、どこか風化しているように見える。そして、とても印象的なピエロのメイクだが両目のマークがどちらともスペード(♤)の白塗りメイクだ
とても威圧感があるが、どこか陽気さが滲み出てて、何とも憎めないヤツみたいな印象を受けた
初対面なら必ず警戒して近づかないだろう相手に二廻道は物怖じせず
「ん、、、」
ときゃんでぃまんに向けて左手を突き出した
すると、きゃんでぃまんは歯をニィッと出して笑った表情をしながら二廻道に飴をポンッと渡した
「、、、、、」
クルっと二廻道は回ってまたスタスタと自分の先へと戻っていった
また、クラスに沈黙が訪れる
「おい、二廻道も貰ったんだぜ。お前も貰いに行けよ」
と上月が教室で待機していた友人に話した
「い、いやいいわ。俺、飴そんなに好きじゃねーし」
上月の友人は少し怖がった様子で提案を拒否していた
「なんだよー!ま、俺は得した気分だから別にいーけど」
上月はやや不満気にしながら話していた
コツ、、、、、コツ、、、、、
また歩く音がした
音のした方をみると、きゃんでぃまんが前扉から後扉へ歩いていた