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正しい選択(改訂版)

作者: 京衛武百十

以前に投稿した「正しい選択」に加筆修正を加えたものです。





火星歴379年(西暦2466年)前期12月のある日、二人の男が60年ぶりの再会を果たした。二人は互いの再会を喜び、盃を酌み交わす。もっとも、片方は20年来禁酒しており、茶ではあったが。


男達は60年余りに及ぶ互いの思い出話に花を咲かせた。男達の出会いは、この火星で60年余り前に起こった第三次火星戦争と呼ばれる、火星全土を巻き込んだ大きな戦争の最中さなかであった。


舐めるように酒を飲む男の名は神楽=J=正かぐらじぇいまこと。禁酒をしており茶を飲む男の名はミシェル茅嶋かやしま。共に第三次火星戦争で同じ部隊に所属し、戦火を潜った戦友でもある。だが二人の男の人生は、真逆と言ってもいい程に違っていた。




神楽は貧しい家計を支える為に軍属になることを否応なく選択させられた。


「てめぇは軍隊に入って俺達を養うんだよ!、その為に俺達はお前を作ったんだ!」


それが、神楽の記憶にある<親>の最後の言葉である。その言い草を聞くだけでも彼の両親がどういう人間かは察しが付くだろう。彼には二人の兄がいたが、どちらもいわゆる<札付きのワル>として近所では有名で、悪い仲間とつるんでは事件を起こし、挙句の果てに仲間同士の抗争で撃たれて死んだ。


そうして残った彼に、両親は軍隊に入って自分達に楽をさせろと迫ったのである。


それだけなら彼も反発して両親を見捨てていたかもしれないが、彼にはさらに幼い弟妹がおり、心根が優しい彼は弟妹を見捨てることができずに両親に言われるままに軍人への道を進むこととなった。


一方の茅嶋は、こちらは高級住宅街の一角に屋敷のような邸宅を構える代々軍人の家系で、将来を嘱望されていたエリート軍人だった。


彼の兄弟も皆軍人であり、彼も当然、幼い頃から疑うことなく自分も軍人になるのだと、凛々しい軍服姿で帰宅する歳の離れた兄達を憧れの目で見詰めていたのだという。


実際、軍人を目指す為の学校での成績は常にトップクラス。生真面目で一本気な彼は教師や他の生徒達からの信頼も厚く、非常に優秀な成績で卒業した。


「ミシェル。お前は兄達にも決して劣らぬ立派な軍人になるだろう。お前は私達の誇りだ」


両親はそう言って、彼を送り出してくれたのだった。




そんな二人が初めて出会った頃の火星は、度重なる戦乱に明け暮れた動乱の時代の真っただ中だった。


大規模テラフォーミングで地球とそう変わらない環境を得た火星だったが、半面、植民を行った各国の思惑と利権がぶつかり合い、何度も戦争になったのである。


しかも、それらの原因となった国々を背後から操っていた大国がある<地球>自体は、武力による紛争解決を否定し、一切の戦争行為を放棄するという国際的な合意がなされ、実際に<戦争>と呼べるような武力衝突は殆どなくなっていたという、皮肉な話でもある。


だから口さがない人間は、


「地球の汚物を火星に捨てた」


とまで揶揄していたそうだ。地球での合意はあくまで地球上でのみ有効であり、その効力は火星にまでは及ばないと解釈したというその悪辣さを指しているのだろう。


いわば、典型的な詭弁の類なのだが、そこに、どうしても武力による解決を捨てきれない各大国の思惑も重なり、戦争に明け暮れる結果になったという訳だ。


火星全土を巻き込んだ二度の大戦を経、さらに、五年続いた<第三次火星戦争>も半ばを過ぎた頃、クリュセ平原の都市アカラナを攻略する為の部隊の編成と訓練の時に、神楽と茅嶋は出会った。


「おい、見ろよ。士官様だぜ」


「まったく。エリート様は待遇がよろしくて羨ましい限りだぜ」


「……」


神楽と同時期に入隊した新兵らが口々に揶揄したが、神楽はそれらには同調しなかった。と言うよりかは、『どうでもいい』という投げやりな気分だったのかもしれない。


茅嶋は軍に入隊した時には既に士官扱いであり、部隊の編成と作戦を担当していた。対して神楽は新兵であり、しかも訓練時の成績はギリギリ不可でない可という、ほぼ落ちこぼれと言える状態だった。もっとも、神楽の成績については、入隊の基準ぎりぎりという小柄な体に加え決して力も強くなかったという身体的能力に起因するものであり、生活の為には軍に入るしかないという追い詰められた者特有のハングリーさでは、他の者に劣っている訳ではなかったが。


それでも、やはり身体的なハンデは実際に軍に配属されてからは更に大きく影響し、かつ神楽がスラム出身ということもあって軍隊内での彼の扱いはもはや非人道的とさえ言えるものだった。


訓練と称した過酷なしごきは、『過酷な状況下でも生き延びられる精神と肉体を作る』という美辞麗句の下、実際には上官達の憂さ晴らしの為のレクリエーションでしかなかった。その中でも身体的なハンデから芳しい結果を出せない神楽は、上官らの<玩具>だった。


「なんだお前、死に損なっただけかよ。部隊の足を引っ張るんじゃねーよ。お前のせいで俺の評価まで下がるだろうが」


前線においても戦果を挙げることが出来なかった彼は仲間の足を引っ張るという理由から後方に送られ、


「お前にはブタの世話がお似合いだ」


と、アカラナに作られた仮設の捕虜収容所の係官として冷遇される結果となった。ブタとは、捕虜を指す隠語である。また、当時、捕虜収容所の係官と言えば、役立たずを取り敢えず形だけでも軍属として置いておく為だけに設けられたものであり、出世も賞与も期待出来ない閑職中の閑職であった。


『…それでも、給料が出るだけマシか……』


そう考えて半ば諦めの境地にあった神楽は、しかしここで意外な才能を発揮することになった。


「おおっ! すげえ!!」


これまで侮蔑と罵声ばかりだった彼に向けられる言葉に、歓声が混じるようになっていたのである。


力こそないが小柄ですばしっこくリズム感だけは人一倍優れていた彼は捕虜の為の数少ないレクリエーションとして用意されたダンスにおいて非凡な働きを見せ、仲間だけでなく捕虜からも一目置かれるようになったのだ。しかも神楽のダンスは、動きが素晴らしいだけでなく、どこか哀愁を漂わせる深みもあり、見る者を魅了する力を持っていたのだった。


そして、そんな神楽と茅嶋は、ここで二度目の出会いをすることとなった。


「この度、当捕虜収容所の所長となった茅嶋だ。よろしく頼む」


整列した神楽らの前で、茅嶋が改まった様子でそう告げた。


当時、兄二人が相次いで戦死し、残った彼の命を惜しんだ親族の計らいにより、戦闘で命を落とす危険性のある前線から、その危険性がずっと低い後方へと配置転換されたのだ。軍人としては必ずしも栄誉なことではなかったが、与えられた任務に忠実であろうとする茅嶋はそのような処遇にも腐ることなく、己の任務を全うしようとしていた。


とは言え、再開した頃の二人の関係は、決して良好なものではなかった。


「軍規に照らしてどうなんですかね? ええ!? 軍曹殿!!」


捕虜に慕われていた神楽は事ある毎に捕虜の待遇を巡って上官と対立。特に直属の上官であった軍曹との折り合いは最悪で、しかし神楽を邪険にすれば捕虜が反抗的になり管理が難しくなるということで士官からは目の上の瘤の様に疎まれてもいた。一度、反抗的な神楽の態度に業を煮やした上官が彼を営倉送りにしたところ暴動が発生し、その上官が重傷を負うという事件までもが発生した。だから茅嶋が着任してからもそのような調子で、二人は常に対立状態にあったと言えた。


だがある時、そんな状況を一変させる事件が起こった。捕虜の女性兵士を係官が強姦したのだ。それ自体はどこの捕虜収容所でも日常茶飯事の様に起こっていることだったが、たいていは捕虜の側が泣き寝入りするというのが半ば常態化していたにも関わらず、


「貴様のような奴は我が軍の恥だ! 軍法会議において厳しく追及してやるから覚悟しろ!」


と、生真面目で規律を重んじる茅嶋がその係官を処罰したところ、神楽の茅嶋を見る目に変化が訪れたのである。なお、件の捕虜の女性兵士を強姦した係官は、他にも十数件の余罪があり、かつ、軍の資材の横流しまで行っていたということで銃殺刑となった。


それを知った神楽は言った。


「俺は別に、捕虜を優遇しろとか甘やかせとか言ってたわけじゃない。俺にとっても連中は仲間を殺した憎い敵だ。だが、だからと言って条約も法律も軍規も無視した無法がまかり通る状態が正しいとは俺には思えなかった。だから、そういうのをきちんと守ってほしいと言っただけだ。なのに今までの連中は、捕虜を憂さ晴らしの道具としか思ってないような奴らばかりだった。けど、あんたは少し違うようだ。あんたがきちんと規則通りにやってくれるっていうんなら、俺はあんたに協力してやってもいい」


「そうか。それはありがたいな」


その、上官を上官とも思っていない口ぶりに茅嶋も苦笑するしかなかったが、確かに茅嶋がきちんと規則通りに捕虜を待遇することで、神楽はきちんと命令に従ったのだった。捕虜の中には規則を無視したさらなる待遇改善を口にする者もいたが、そういう者に対しては神楽が間をとりなすことで、暴動などに発展することが抑えられたのである。


結果、他の捕虜収容所では当たり前のように起きるトラブルが茅嶋と神楽のいるそこでは皆無と言ってもいい程に少なくなり、茅嶋はその管理能力を高く評価され、捕虜収容所を管理する士官としては異例とも言える昇進を果たしたのであった。


その辞令を受け取った日、茅嶋は神楽や捕虜達を前にして深々と頭を下げて言った。


「これも君達の協力のおかげだ。感謝する」


そして、


「これはそのお礼と言うにはいささか質素だが、クオリア軍の主体となっている都市の菓子を中心に名産品をいくつか手に入れることが出来たので、振る舞わせていただきたい」


と、彼が苦労の末に手に入れた、捕虜達にとってあまりにも懐かしい菓子や食品を振る舞ったのだった。


「うおお! まさか死ぬまでにまたこいつが食えるとは…!」


「畜生…泣けるぜ……!」


もう二度と口にすることは無いかも知れないと覚悟していた故郷の味に、捕虜の中には人目もはばからず泣き出す者までいた。その様子を見て、茅嶋も実感していた。


『敵とは言え、彼らもやはり自分と同じ人間なのだな……』


と。戦場で出会えば手心を加えたりしないが、少なくともここでは同じ人間と接することが出来るのだと、改めて思わされていた。


これを機に、茅嶋と神楽のいる捕虜収容所は、特に長く収容されていた捕虜を中心に<地獄の中の天国>と称されるほどに半ば伝説の様に噂されるまでになっていったのであった。


捕虜に菓子を振る舞ったその夜。茅嶋と神楽は、茅嶋の自室で二人きりで酒を酌み交わす。


陽気に調子よく飲んで酔いつぶれながらも神楽は言った。


「茅嶋さん。スラム出身の俺のことを人間扱いしてくれたのは、あんたが初めてだ。俺、あんたの為だったら頑張れる気がする。ありがとう…」


そのまま寝息を立て始めた神楽に、茅嶋も言った。


「感謝するのは私の方だよ。君のおかげで私も人間というものを信じてもいいという気になれたんだから」




火星歴317年前期1月。冬のクリュセ平原で、都市アカラナを占拠していたメイベル軍だったが、勢力を盛り返したクオリア軍の猛攻により撤退を余儀なくされていた。そんな最中、神楽が所属していた仮設の捕虜収容施設もクオリア軍の襲撃を受け、脱走した捕虜によるメイベル軍への反撃が始まってしまったのだ。


「くそっ! どうしてこんな…!」


捕虜収容所とは言え、ここでは管理側と捕虜との関係も良好で、ある意味では戦争などどこ吹く風という感じで上手くいっていた筈だ。それなのになぜ今になってこんなことになってしまったのか。と神楽は思ったが、それが戦争というものなのだろう。個人の思惑など全体の戦略の前では塵ほどの価値も意味も持たない。


係官として事態に対処すべく銃を手にしたが、捕虜と交流を深めていた神楽は彼らを撃つことが出来なかった。


「何やってんだ神楽、撃て、これは命令だ! 命令に背くつもりか、裏切り者の馬鹿野郎っ!!」


神楽の後方に隠れていた直属の上官である軍曹が彼を罵る。そこに、撤退を指揮する為に茅嶋が現れた。


「上層部からの撤退命令が出た。ここはもう戦略的に重要ではないということで放棄する。総員撤退だ。既に所員の八割が撤退している。残るは我々だけだ、このまま殿軍を務めつつ、撤退する。無駄な戦闘をする必要はないが、必要とあらば撃て。異論は認めない」


落ち着いた、しかし反抗は許さないという毅然とした命令だった。だがそれでも、神楽は銃を構えようとしなかった。そんな彼に、茅嶋は自分の銃を抜き、向けた。命令に従う意思を見せないということで、銃口を向けられてしまったのである。


茅嶋は言った。


「これは戦争だ。お前が彼らを撃たなくても、彼らはお前を撃つだろう。生きる為には撃つことだ。しかもお前が撃たなければそれだけ味方が犠牲になることもある。私は部隊を率いる者としてそんなことを認める訳にはいかない。お前が味方を危険に晒すというのなら、私がお前を撃つ」


静かで、かつ強固な決意をはらんだ言葉であった。


にも拘らず、神楽は応えた。


「…スラム出身の俺は、軍の中じゃずっと人間扱いしてもらえなかった。だけど彼らはそんな俺を人間扱いしてくれた。そんな彼らに情を抱くことは、間違っていることなんですか?。それが間違っていると言うのなら、俺はもうこんな世界にはいたくない。軍では唯一俺を人として扱ってくれた貴方に撃たれるなら、それも本望かも知れません……」


その彼の言葉にも、強い意志が込められているのが感じ取れた。うなだれる神楽の頭に、茅嶋は銃口を近付けた。引き金に指をかけ、力を込めていく。


しかしこの時、茅嶋の心にも葛藤があった。神楽が捕虜と交流を深めその心を解きほぐしてくれたから、この施設は順調な運営ができた。他の捕虜収容所で見られがちなトラブルもここでは驚く程に少なかった。それは間違いなく神楽のおかげだと言えるだろう。それにより管理責任者としての自分も評価されてきた。そうしてさんざん神楽を利用してきておいて、都合が悪くなったからといって殺すのか?。その行為を自分は生涯恥じることなくいられるのだろうか?。


何度も逡巡し、何度も決断を試みて、やがて茅嶋は力なく銃を下した。そして言った。


「お前の選択が正しいかどうか、私には分からない。いや、軍人としては確実に間違っているのだろう。だがもう、お前を撃つことが出来なかった私も、同じく軍人としては間違ってしまったのだと思う。そんな私達に出来ることは、自分の選択を後悔しないことだろうな…」


気付けばいつの間にか茅嶋の周りでは、捕虜として収容していた者達が彼に銃を向けていた。だが彼らも茅嶋を撃つことはしなかった。とは言え、もしそこで神楽を撃っていたなら、彼らは躊躇うことなく引き金を引いたかも知れない。神楽と同じく自分達を人間として扱ってくれたという恩義があればこそ、彼らは撃たなかったのだろう。捕虜のリーダー格だったジェイクが無言のまま顎で茅嶋にこの場を去ることを促した。今ならまだ見逃してやるという意味だった。


茅嶋はそれに従い、ジェイクらも茅嶋と彼の部隊の後を追うことはしなかった。茅嶋と神楽が再会するのは、それから60年後のことであった。


茅嶋は言う。


「私は、軍人の家に生まれ、自分が軍人であることに何の疑いも持たず生きてきた。任務に忠実であることが正しいことだと考えて、それを貫いてきたつもりだった。だが戦争が終わり、大きな戦いはなくなったその後の社会で、娘は私が66歳の時に酔っ払いに殺され、私はその時から酒が飲めなくなった。さらに息子は孫に殺された。その孫は終身刑を受けて今も刑務所にいる。私は良い軍人であることが家の為、家族の為であると信じてきた。だが結果はこうだ。私は今、一体何が正しかったのか、分からなくなってしまった…」


力なく肩を落とした茅嶋の目に、光るものが見えた。そんな彼に、神楽は言った。


「自分はあの後、彼らの捕虜になりました。でも、自分が親しくなった人達の助けがあり、捕虜としての生活はむしろ快適でさえありました。戦争が終わっても軍からすれば裏切者だった自分は故郷にも帰れず、両親の死に目にも会えませんでした。でも、それについては特に感慨もありません。捕虜だった時に世話になった人達と一緒に会社を興して、それなりに成功も収めました。捕虜のリーダーだったジェイクの妹と結婚し、今では5人の子供と13人の孫と6人の曾孫がいます。本当はもっといたんですが、何人かは病気や事故で亡くしたりもして辛い時期もありました。それでも、戦争前より自分はずっと幸せになれました。だけど茅嶋さん。自分がその幸せを掴めたのは、あの時、貴方が撃たなかったおかげなんです」


神楽の言葉を、茅嶋はうなだれたままで聞いていた。神楽はさらに続ける。


「自分の子供達も孫も曾孫も、みんな貴方のおかげで生まれてくることが出来たんです。自分だけじゃない。貴方は指揮官として部隊のほぼ全員を無事に撤退させたじゃないですか。それもこれも、軍人としての貴方の選択が正しかったからだ。貴方は間違っていません。貴方は多くの人間を救い、その家族を守った。貴方の家族に不幸が起こったのは、たまたまだと思います。貴方の選択にもし多少の間違いがあったとしても、人間なら間違うことがあっても当たり前じゃないですか。だけど貴方の選択の多くは正しかったんだと自分は思います」


静かに神楽の言葉に耳を傾ける茅嶋を真っ直ぐに見詰めて、彼は言う。


「貴方はあの時に言った筈です。『私達に出来ることは、自分の選択を後悔しないことだろう』って。だから自分は、今、改めて貴方にそれを言いたい。自分達に出来ることは、後悔しないことなんだって」


「……」


茅嶋は、もう、何も言えなかった。右手で自分の目を覆い、うなだれたまま体を震わせているだけだった。そんな茅嶋の肩に、神楽はそっと自分の手を置いたのだった。


茅嶋と神楽。それぞれの選択のどちらが正しかったのか、それは誰にも分からないだろう。どちらも正しかったと言えるかもしれないし、どちらも間違っていたと言えるかもしれない。ただ、彼ら自身がその選択を自ら受け止めることが出来るのなら、それは余人が口を挟むことでないというのだけは間違いないと言えるのではないだろうか。


この二人の人生は、他の誰のものでもない、この二人のものなのだから。



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