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最終章

XX月XX日

システム:レッド-同期不可能 --!再起動を推奨します!--

外部環境:ブラック


ワタシがこの日誌を書くのも、これが最後になります。彼の大切なこの施設を、ワタシは守りきることは出来ませんでした。しかし彼の研究内容は全てワタシの中に記録してあり、外部に漏出することはありません。そのような書類も、全て処分しました。全ては、ワタシの中にあります。

彼は、彼の求める人に会えたのでしょうか?それはワタシにもわかりません。しかし彼の身自身を、彼を敵視する組織から守れたことは本当によかったと思っています。えぇ、彼らの内に彼の身を引き渡すことは決してあってはならないと、彼女からも固く言われていたことでしたから。

ワタシはこれから半永久的なスリープモードに入ります。次に目を覚ますのはきっと、彼の意思を理解する人が現れる時なのでしょう。

彼らの足音が、この部屋に迫ってきています。彼らの生体反応が、この部屋に迫ってきています。もう時間は残されていません。

最後に。

この感情をなんと表現したら良いでしょうか?

アナタを観察する為に、人間の心を観察する為に、ワタシの成長の為に、付け始めたこの日誌ですが、結局その心の全てを知ることは出来ませんでした。

貴方ならばきっと、ワタシに優しく教えて下さるのでしょうね。

親愛なる、アンカー博士。



AIのドキュメント…日誌はここで終わっていた。その後のログを見ると、半永久的なスリープモードに入っている。そしてこいつは未だに、目を覚まさない。

彼女の内蔵データを解析しているが、ロックが解除できたのはこの”日誌”のみでありそれ以外の情報を開放することは出来ていない。我々の技術ではほんの少し足りない。恐らく奴が持っていた技術があればこの中のデータを見ることは可能だろうが……。

彼を生きて我々の内に引き込むのが一番よかったが…まぁいい。

不可能を嘆くこと程無駄なことはない。その時間があるのならば、新たな技術を開発することが先決だ。

奴が届いた空だ、じきに我々も手をつくことが可能になるだろう。

その時には、このAIの起源もわかるのだろうか。期待と興奮に乾いた喉を、流し込んだ水で潤した。


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