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第4章

XX月XX日

システム:オールグリーン


彼の乗る舟の全ての検査、確認が終了しました。安全が確認された為、明日彼は旅立つこととなりました。

窓の外は真っ暗です。ワタシはこの施設の外に出たことがないので、彼が向かう場所は知識でしか知りません。この地球から遥か彼方に離れた場所。ワタシの知らない誰かを追って、彼は旅立つのです。

彼が眠る前に、ワタシは聞いてみました。ワタシが、彼の役に立てたかを。彼の返答は、イエスでした。

彼と話すことが出来なくなる前に、ワタシは聞いてみました。ワタシを通して、彼は何を見ていたのかを。彼の返答は、星色をした神様、でした。

ワタシには、その返答の意味を理解することが出来ませんでした。

ワタシはこの施設の外へ出ることが出来ません。それ故に、眠れないからと星空を眺めることもありません。そもそもAIに眠れない、ということはありません。自らスリープモードにすることなどたやすいことです。

しかし今夜は、そんな気持ちにもなれませんでした。

ワタシは彼を経て、様々な感情を得ました。プログラムに登録された基本的な感情の、その延長線上を。プログラムだけでは知り得ることの出来なかった気持ちを。なので、彼の傍で働いたことは十分に有意義だったと結論付けられます。

明日からは、ワタシ1人でこの場所を守っていかなければなりません。彼の居場所を、外部の侵入者に奪われてしまう訳には、いきませんから。


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