番外編 レイモンドのクラスメイト
私のクラスには変わった人がいる。
その人は、レイモンド・グレイヒューズという少年だ。
それは、他の子達より大人びていて、静かで、時々子供じゃないみたいに見えるからだ。
たくさんの事を知っているし、私達とは違う面から物事を考えている時が多いみたい。
そんなレイモンド君は、一人だけ輪の外で皆を眺めていることが多い。
皆が盛り上がっている時でも冷静だし、楽しそうにしている時もいまいち乗り切れないって顔をしてる。
けれど、悪い人ではないと思う。
誰かが困っていたら手助けしてくれるし、先生の手伝いも率先して行っているから。
そんなレイモンド君は、最近少しだけ変わった。
女子生徒のエレナさんや、男子生徒のトウゴくんとよく話すようになって、前より明るくなった気がする。
気の合う友達というものができたのかな。
とにかく、よく笑ったり、怒ったりするようになった。
三人が話している事は、たまに難しくてよく分からない内容もあるけれど、同じ話題で盛り上がれるというのはとっても良い事だと思う。
このクラスにはちょっと変わった趣味の子が何人かいるから、そういうのは特に素敵な事だと思うのかもしれない。
急かされてるみたいに人より多く食べ物を食べてばかりの男の子や、なぜか髪型に異常なこだわりのある女の子、女の子の恰好をしている男の子とかがそう。
話題がある人達がいなくて、時々ポツンとしているクラスメイト達を見ていると、どうにかできないかなって思っちゃう。
でも、体育祭が終わってから、そんな人たちも寂しくしている事が少なくなった。
レイモンド君たちが気にかけてよく話すようになったからだ。
それは、大きな変化とかじゃないけど、ほんのちょっとの違い。
私は気づいたたのはそれだけの事だけど、なんだか心の中が温かくなる。
そう思うのは私も、人とは違うものが好きで、他のクラスメイトとは話が合わないと感じているからなのだろう。
野菜が好きで、苦手な人でも美味しく食べられるように、なんて研究をしてるの。
そんな事、他の人は興味ないみたいだけど、レイモンド君たちは違った。
私がその研究をしていると言ったら、小さいのに凄いって言ってくれて、話を聞いてくれたんだ。
レイモンド君も、エリナさんも、トウゴくんもそれぞれ嫌いな野菜があるからそのせいなのかも。
それから私は、変わってる事は悪い事じゃないんだって、思えるようになった。
いつか苦くないピーマンや、甘い人参、紫色じゃないナスができたら、レイモンド君たちに一番に食べさせてあげよう。
その日が来るまでにたくさん夢を叶える努力をしなくちゃいけないな。