第5話 お父様とお母様、初めて息子の家に行く
そんな前世でも送った事のない熱い体育祭の日々が過ぎさった後は、母と父が我が家を訪問する事が決まった。
俺が普通に育っている事から家庭環境で心配はいらないと思っていたものの、二人はいつか家に行きたいと思っていたらしい。
「レイ君のお母様経験者としては、今のお母様の事も知っておきたいからな! ほら、お前のお父様もそう思っているぞ!」
「私はレイモンドが無事に育っているなら、どうしてもという程ではないけど、エレナさんがそう言っているなら……ね」
行事のない季節を選び、体育祭の雰囲気が一段落した頃を見計らっているのは、大人だった彼等らしい判断だと思う。
それで当日。どうにも落ち着かずに家の庭に出て待っていたら、それぞれの家から馬車でやってきた母と父が顔を合わせる。
まったく同時にやってきたところに、似たもの夫婦だなと思いながら俺は彼らを出迎えた。
「グレイヒューズ家へ、我が家へようこそ。母さん、父さん」
「ああ、世話になるぞ息子よ!」
「お邪魔します。以前私達が住んでいた家より、やっぱり大分広いみたいだな」
第三者が聞いたら、意味分からないセリフだなと思いながら俺は、彼らを案内していく。