プロローグ
25歳。無職。
これが今の俺の現状。世の中は残酷でいきなり会社からクビを宣告される。人生は本当に何が起こるかわからない。自分はそれなりに上手くやっていると思っていてもこんな風にクビにされる。会社の歯車なんていても居なくても同じってこと。
「ふぅ。どうしよっか。割とマジで」
一つわかったことがあった。
それは会社をクビだと言われても意外と自分は冷静でいられるということ。思った以上に自分は冷静なことに驚いた。
「まぁどうにかなるでしょ。さて帰って飯でも食べるか。しばらく金ないからどうしよっかなー。カップラーメンでも大量に購入してそれで凌ぐしかないか。」
交差点をぼぉーっと歩いていたらキキッーーーーーーーっと車のブレーキする音が響きわたる。もうそのときには遅かった。振り向いたときにはもう目の前まで車がやってきていた。
「あぁ。ついてねぇなー」
自分の最期の言葉がまるで悪役の台詞だと思いつつも自分の死を受入れた。
そして俺は今日会社からクビと宣告され。ダブルパンチのように…死亡した。
光に包まれていた。
その場所は凄く神聖で。光しかないように感じた。言葉が足らないような気がするが本当にそんな場所だった。
自分という実体がなく魂だけ。自分を視認する事が出来ない。
そんな不思議な場所に俺は居た。
「あれ?俺は…死んだんじゃ?」
「違うぞ。お前は死んでおらん」
声のするほうを見た。そこにはとても神々しく光るおっさんが居た。そうおっさんが居た。
「えっ?なに?これ。夢?」
「違うぞ。これは夢じゃない」
相変わらずおっさんが喋ってる。光ってるおっさんというのシュールな光景だ。
「どういうこと?本当俺さっき車に轢かれたんだけど。」
「手違いじゃ。すまん」
「本当1から説明してくれよ。おっさん。」
「ちなみにおっさんじゃない。神じゃ!!」
「だから、そういうの痛いから止めてくれ。おっさんの癖に恥ずかしいぞ。」
「……。とりあえずじゃお主は一度死んだんじゃ。地球での鎌倉啓という人間はもう死んだ。これに限っては生き返るということは不可能。もう葬儀も終わって火葬されて体は灰になったじゃろう。」
自分が死んだことは分かっていたがそんな風に自分が死んだあとのことを突きつけられるというのはなんともいえない気持ちになる。
あぁ…俺の為に誰か泣いてくれたかな?
「だが、本来はお主はそこで死ぬ人間じゃなかった。手違いがありお主が死んだ。」
「ちょ。おまっ。どういうことだよ。それ。無駄死にってことか?」
「違う。これはまた違う運命であると考えられる。お主には違う世界の救世主になることが出来る可能性があるのじゃ。今の記憶状態のまま…新しい世界で生きて見る気はないか?」
死んだから極楽浄土でのんびりと暮らせるってあれ嘘か?
目の前にいるおっさんに関してはもう意味の分からないことを言っている。違う世界で生きる?俺には全くさっぱりわからなかった。少し整理しよう。自分の状態を理解しないといけない。
1.俺は死んだ。
2.ここは地球じゃない。
3.俺は生き返ることが可能。
4.俺は救世主かも?(笑)
5.記憶は継承される。
とりあえずこんなとこだろう。おっさんは本当に…神なのか?
「時間はない。考えはまとまらんじゃろうが選択の時間じゃ。お主は…新しく生きるか。それともこのまま灰となり死ぬか。どちらじゃ?」
俺は…俺は………
「生きたい!!!!」
目の前が暗転した。