改稿を決めた日
こんにちは、星影と申します。
『星影流 改稿のしかた』にお越しくださり、ありがとうございます。
早速ですが、皆様は改稿というものをご存知でしょうか?
簡単に説明させていただきますと、書き上げた原稿を直すことを改稿といいます。
活動報告を拝見させていただくと、よく「改稿しました」とか「大幅改稿します」とか書かれているのを目にしますよね。
ただ、これだけの方が改稿をされているにも関わらず、なぜかあまり見つからないのが『改稿についてのエッセイ』です。
「小説の書き方や、推敲の仕方で検索すればいいじゃん」という声が聞こえてきそうなのですが、改善すべき点を見つける、という意味で、小説の書き方とは少しだけ違う気がします。
これはあくまで私の感覚的に、ですが。
それに不思議と、推敲の仕方で検索しても、なかなかなろうでは見つけられないんですよね。
こちらはもしかしたら、私の探し方が下手なだけかもしれません。
一度でも改稿を経験した方は共感していただけると思うのですが、改稿作業はとても難しい作業です。
自分の書いた文章を客観的に見て、直す作業なわけですから。
何がよくて、何が悪いのかわからない。
どこをどう直していいのかわからない。
そんな思いにとりつかれ、結局は「改稿ってしんどい」という結論に至りやすいんです。
と言いますか、実際に私がそうでした。
私の場合、どうしたらいいのかわからないぶん、小説の書き方を読み返してみたり、思いついたやり方を片っ端から試してみたりしました。
そうやっていろいろやってみると、案外「これはやってみて良かったぞ!」と思えるものがあるもんです。
せっかくですので、次回からそれをご紹介させていただこうと思います。
つまり、このエッセイで書くのは正しい改稿の仕方ではありません。
私には当てはまっても、他の方にはしっくりこない方法かもしれません。
ただ、改稿に悩む方がこれを読んで、「改稿仲間がいる!」と少しでも元気が出れば嬉しいなぁ、と思い、書いています。
たった一人で悩みながら直していく作業って、つらいですから。
そして、がっかりされてしまうとは思いますが、大事なことなので言葉を変えてもう一度言います。
このお話……指南書ではないのです。
すみません。
ですので、ここに書かれているものは参考程度にとどめておいてくださいね。
そんな改稿についての第一話ですが、今回は本題には入らず、前書きのようなお話をさせていただきます。
私が改稿をしようと決めたきっかけのお話になります。
――・――・――・――・――・――
このエッセイを読んでくださっている方は、恐らく、改稿をしている方、もしくは改稿に興味がおありの方なのだろうと思います。
「しっくりこない」「何かが足りない」と、心の中がモヤついたり、「読者様から辛口コメントがあった」とか、そういったきっかけがあって、改稿という単語が頭をよぎったのではないでしょうか?
ちなみに全部、私のことです。
一か月ほど前の私は、スピード重視で物語を書き、キャラ設定も世界観の設定もおざなり。
ご都合主義の展開が続き、描写も足りていない。
そんな状態でした。
投稿は、ほぼ毎日です。
毎日投稿しないと忘れられそうで怖かったですし、ブクマが減っていく気がしたからです。
書いたお話が「しっくりこない」「何かが足りない」ということは自分でもわかっていました。
けれど、執筆スピードを保ったまま、クオリティを上げる方法がわからなかったということもあり、そのまま一気に長編作品を書き上げました。
そして、ある日改稿を考えるきっかけとなった出来事が起こります。
辛口のコメントが書かれていたのです。
内容は「主人公の頭がおかしい」というようなものでした。
ちなみに、そのコメントはなぜか削除されてしまい、もう見ることができません。
いまとなっては残しておいてほしかったという気持ちでいっぱいなのですが、当時はそのコメントにものすごくショックを受けました。
読者さんから、自分の生み出したキャラクターを、そんな風に言われてしまうことが悲しかったのです。
ただ「頭がおかしい」という感想は、完全に私の描写不足、設定不足が招いた結果でした。
執筆スピードに心をとらわれ、いい加減に書いてきてしまったことで、自分自身の作品の魅力を、自分で落としていたのです。
そのことが悔しくて悲しくて恥ずかしくて、仕方なくなりました。
あんなに欲しかったブクマも1000を超えたのに、スピード重視の投稿は後悔だけが残ってしまう結果となりました。
「書くのをやめようかな」なんて言葉もよぎりました。
「私に執筆は向いていないんだ」とも思いました。
「いまの連載作もまた、頭がおかしいキャラって思われるのかな」なんて、そんな気持ちでいっぱいになりました。
メンタル弱いめんどくさいやつで、すみません。
ですが、なぜか一晩寝たらすっきりして、変に気持ちが前向きに変わっていきます。
「そうだ。完結したお話の改稿は無理でも(改稿するとしたら別物になるので)、せめて今度はそんな風に思われないようなお話を書こう!」
「しっかりと設定を練って、時間をかけたら、今の自分にどれだけのお話が書けるか試してみたい!」と。
そういうわけで、力を入れて書きたいと思っていつつも、ろくに推敲もせずに四十話近くまで投稿していた『私に世界は救えません!』を本腰入れて改稿することに決めたのです。