表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/56

序章7

また書いてみました

「妖精狩り?」

 

「うん、この辺りで目撃されてるそうだよ」


龍星の肩の上に乗ったまま答える。


「妖精狩りとかあんなちっこい妖精族を狩って何が楽しいんだか」


「万里、その言い方失礼だよ」


「そうだよ、万里くん!」


「ちっこくてもかわいいならいいじゃない!」


京里と希が注意し、瑠奈は見当違いなことを告げる。

※【妖精族】人間の平均身長の半分でドワーフよりも下、又はそれ以下ほどにしか成長できない種族、

その小ささと見た目の可愛さに反し魔力は高く手先も器用とかなりの働き手でもあり

一家に1人欲しいと言われるくらいの働き者で重宝されている。


「別に殺すわけじゃないんじゃないか?お持ち帰りみたいな意味で狩るとか」

 「あぁ、そっちか、まぁそれなら納得できるな」


拓哉と裕介は瑠奈と希の隣を歩きながらそんな会話をする。

あんなちっこいのを殺す目的だとしたら理解に苦しむが働き手として狩るというなら

まだ分かりやすい。


「いえ、残念ですがそう言うものではないみたいですよ?」

 「じゃあまさかマジで殺すのか?」

 「襲われた方は確かに酷い目にはあってますが死んではいませんよ、

あと、勘違いしてるようですからひと言付け足しますが妖精狩りは“妖精を”ではなく

“妖精が”です」


 日菜の補足説明につい足を止めて首を傾げながら彼女を見る


「今何と?」

 「ですから妖精狩りは妖精を狩るのではなく妖精が狩るんですよ」

 「ちょっと待て、え?妖精族が?あのちっこくて可愛いに定評のあるあの種族がか?」

 「はい、目撃者、というより襲われた方々の証言だと綺麗な歌声と共に妖精族が現れ

瞬く間に倒されるとか、あ、ちなみに女の子だそうですよ」

 「色々ツッコみたい出来事だな、で?そいつは何でまた襲撃なんぞを?」

 「実は人助けみたいですよ?襲われた奴らは全員何かしら悪事を働いてる者らしく

窃盗、奴隷商人、誘拐犯、etcとそんな悪党ばかりですから」

 「じゃあ良い奴なんだなその妖精狩りをしてる女の子って」


えぇ、まあと歯切れが悪い返事を返す日菜。


「だが、それだと目的が分からないな」

「そうだね、彼女は一体何が目的でこんな危険をしているんだろう?」


龍星とつぐみも不思議そうに首をかしげていた。


sideトゥラーシュ 

「う~・・・・・緊張してきたぁぁ・・・・」


 旅の方御用達の宿屋の一室でウロウロするトゥラーシュ。

身長のせいか、緊張する心を紛らわす為の行動のつもりなのだろうがどうにも部屋の中を探索する小さな子供に見えなくも無いが既に彼女はつぐみと同い年だ。

それに彼女の小ささは生い立ちにも関係があるのだ。

というのもトゥラーシュの親は【妖精族】だ、身長が小さいというのもその為である、尤も純粋な妖精族と言うわけでも無いのだが・・・・。


 「あっ、この感じ、お兄ちゃんだ!」


 思うのと同時に体が動き部屋の扉を勢いよく開ける。

思った通りドアの前には、よ、と手を挙げて挨拶する兄として慕うドラグーンの姿があった


 「やっぱり、来てくれたんだね!」

 「まぁな、お前が元気そうにしてるか様子見にな、どうだ?緊張とかしてるか?」

 「ううん、全然!」


 それは良かったとトゥラーシュの頭に手を乗せ優しく撫でるドラグーン、あふぅ、と甘い声を零しながら幸せそうに目を細めるトゥラーシュ。

そのあまりの気持ちよさに思わず寄りかかり、すりよる。


「はうぅ」

「おっと、落ち着け」


 ドラグーンに額をなでてもらうと我にかえり、あうぅ、とクッションに顔を埋めるように抱き締めて小さくなる。

そばにいる小さなマナたちが心配そうにトゥラーシュを見ていた。

それに苦笑するドラグーン。

 妖精族とマナとの相性は他の群を抜いて良かったりする。

そして偶にマナと妖精族の間で子が生まれるだなんて話も持ち出される。

 妖精族とマナとで子など宿せるのかと疑問の声も上がるが実際出来るモノなのだからそうなのだろう、そしてトゥラーシュもまたマナと妖精の間で生まれた子の1人だ


 「う~ん・・・精霊憑きの方が近くに居るのかな?」

 「かもしんねーな」


 お互いに苦笑いするトゥラーシュ、するとそろそろ時間だと呼びに来たクリムがドラグーンと目が合った


 「何や来とったんなら一声かけてくれても良かったやろ、それともトゥラーシュと二人っきりになりたかったんかえ?」

 「ク、クリムちゃん!?」

 「だったらどうする?」

 「なら、邪魔せんえ♪」


 ギャアギャアと部屋で騒ぐクリム達にハイズが粛清を入れたのは公演の始まる3分前だった。




 「えっと、皆さんこんばんは、今日も公演を開いてくれて、歌を聞きに集まってもらえて感激です、っと、前置きが長くなるのもなんですから歌いますね?」


 適当に挨拶を済ませトゥラーシュは息を吸い、ゆっくり吐く。

ソレを2度繰り返すとトゥラーシュは音を響かせる


 【ロスト・ベル】


 失われた古代歌、天使の調べ、色々と言伝えはあるが早い話がとても古い歌だ。歌と言っても複雑すぎる古代語のため理解できる言葉など存在せず【音】として認識するのが精一杯なところ、しかしそれでも尚ロスト・ベルは聞くものを安らぎで包み込める事が出来る。

 そしてそれを更に強く響かせる事が出来る為、トゥラーシュは【歌姫】と呼ばれている

感想ください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ