第43話
『御主人! エルがしつこいの!』
『だって、一応人間の女の子だし。 ほどほどにしないと』
万里にしがみついて涙目のカールと困ったように言うエル。
同じ龍なのにどうしてこうも違うのかと悩んでしまう富士也と万里。
『だって、お腹がすくんだもん!』
『それを加減しないとダメだよ』
カールはすね、エルは諭すように話しかける。
「あれ、富士也か?」
「綾人じゃねーか!」
そんな中で獣系大好き同盟が合流。
彼の後ろにもケモ耳系の女の子たちがいる。
どの子も毛のつやは最高のようである。
「うむむ、俺も綾人には負けてらんれねーな」
「いいか、こいつらにはこの専用シャンプーを使うんだ」
自分の傍にいる獣人・亜人を見てからつぶやく富士也に綾人がしゃんぷーを手渡す。
「さすが、獣好き」
「ここまで集めるのはこの二人くらいだよね」
陽と雛火がその様子を見て言う。
「でも、どの子も揉みがいがありそう!」
「揉んだら母さんに報告するからな」
「そうだよ、雛火」
雛火の目の輝きに注意する万里と京里。
「そこは見逃すという」
「ないと思うぞ」
雛火の言葉にきっぱりと否定する赤羽。
「京くん、獣耳あった方がいい?」
「つぐみ、なにを考えてそんなこと言ってるの!?」
つぐみの視線に驚く京里であった。
まあ、従兄である富士也が原因のひとつなのであろうが。
「つぐちゃんはそのままでも十分かわいいよ!」
「獣耳があったら数十倍かわいくなるだろうがな」
芹香と龍星はむぎゅ~とつぐみを抱きしめるとそう言った。
「なんだか、早朝から疲れてきました」
「どんまい」
日菜がげんなりとした様子で言うと陽が肩をたたく。
「がうう《日菜、がんばれ~》」
《気張るときなり》
「ガウウ《いろいろあると思うけど、頑張ろうぜ》」
「ぐる《日菜なら乗り越えれるよ!》」
「応援するにゃ!」
つぐみの従魔たちが日菜を応援の声をかけるが理解は難しいだろう。
『にゃー、綾人の撫でテクは最高にゃ!』
『富士也も負けてないにゃ!』
猫同士でなにやら会話をしているようだ。
「なあなあ、炎心も獣耳あった方がえぇ?」
「いきなりだな」
深紅が抱き着いて見上げながら聞くと困った顔をする炎心であった。
「いいか、こうだ!」
「こうか!」
綾人の撫でテクを会得しようとしている富士也。
それを受けている狐・猫・犬・狼・虎・ライオンの女の子たちはどこか気持ちよさそうだ。
「まあ、綾人と富士也は獣人とか亜人けい好きだもんな」
「つぐちゃんが、京里もどうなのか気になるのは仕方ないかも」
様子を見ていた龍星と芹香はつぐみの頭を撫でて愛でている。
「ふにゅ~」
ぴこぴこと猫耳が見えているような気がしないでもないつぐみ。
どこか垂れているようにも見えるがこれは二人の効果なのでいつものことである。
「まあ、カールはカールらしさでいいじゃねーか」
『そうだよね、御主人!』
万里はだるそうに言い、カールは抱き着いていた。
豊満なバストがあたるのに慣れていないが干し肉を食べさせてやる。
『もう、万里がそうだからいけないんだよ』
エルはあきれているようだ。