第42話
青色の長い髪で赤色の瞳の綺麗な顔している少女。
年はつぐみたちと似たような感じだろうか。よくみると着物を着ているのがわかる。
少女は芝生に座り、水に足をつけて遊んでいるようだ……。
傍には護衛の兵士であろうか。
どこか緊張した様子でそばにいるのがみてとれる。
「ねえ、あなたたち。旅してるの?」
「天泣の巫女様!」
万里たちに気づいた少女が興味ありありとした様子で近寄る。
着物のすそをまくって小走りで近寄ってきたようだ。
「う、うん」
つぐみは思わず龍星にしがみついたままでうなずいた。
それを見て苦笑しながら頭を撫でる龍星。
「巫女? 巫女って神殿でいるのが普通だろ」
「………それは」
万里の言葉に、彼女は悔しそうに唇をかんでいた。
拳もつよく握りしめているようだ。
す、っと視線をそらしてしまうのには理由があるのだろう。
「あの、なにかあるんですか? よかったら」
「つぐみ。 ダメだよ」
つぐみが声をかけようとすると京里が制する。
首を横に振っているのがよくわかる。
「でも………」
「すまないな、つぐみ。 理由が聞きたいのもわかる………が。
今の現状を考えてみろ………」
つぐみは納得いかない様子で言うと龍星にも諭される。
「そうだよ、つぐちゃんの気持ちはわかるけどね」
芹香はつぐみをぎゅっと抱きしめる。
「………そうです、聞かない方がいいですよ。 あなたたちに被害がでるかもしれないし
………帰りましょう」
「え、あ!はい!」
鍵を兵士が取り出してなにもないところにつっこみ、開けると巫女と呼ばれた少女が先に入り、そのあとに続く。
最後、去り際に悲しそうな笑みを浮かべていた。
『御主人。 巫女が選ばれるのは玉か体内のオドによって違うんだよ。 従魔のおばあさんがいってた』
「そうなのか」
カールは万里の手をつかんだままそう言った。
「すくなくとも今の私たちには関係ないことだな」
「そうだな、近くにある村に行こうか」
そういう話になってみんなで村へと向かった。
そこにも兵士がおり、さきほどの兵士とは違う服装であった。
「なんでしょうか、このものももしさは」
「確かになんか雰囲気が違うよな」
日菜と陽は視線動かして村を見る。
「ふじやん、大丈夫か?」
「う、うし」
肩に乗せているふじやんに声をかけるとなんとか返事がかえる。
こたえたらしい。
「わたしもフジくんに説教した方がいいかな? おばさんに頼まれてるし」
「そ、それは勘弁!」
つぐみの視線に慌てる富士也。
そんな会話をしながら宿に泊まることになった。
「あんたたち、よくにらまれなかったね? 新参者とかよくからまれるんだよ」
「そうなのか?」
おばちゃんが水を渡しながら言うと万里が問いかける。
「そうだよ、なにせここは巫女様のふるさとだからね」
と、小声で話すように教えてくれるおばちゃん。
『もぐもぐもぐもぐ、おかわり!』
『カールちゃん、いちおうボクたち人間の女の子なんだから食べすぎだよ』
カールがおかわりを要求し、それを見てあきれるエル。
どうしてこんなにも違うのだろうか。