第37話 つぐみの仲間が増える!
「よし、これでいいかな」
買い物袋を持ちながら満足気に笑うつぐみ。
「ガウウ《たくさん買ったね~》」
《装備は必要なり》
ルイセは隣でトテトテと歩き、シルトはつぐみの頭の上にいた。
と、ここで不思議な空間に入り込んでいることに気づいた。
「あ、あれ? ここどこ?」
「ガウウ《知らない場所だね》」
《警戒》
つぐみが困惑しているとルイセとシルトが周囲を警戒する。
とりあえず警戒しながらつぐみ達は歩き出すと社の中に入ることとなった。
「これはまた珍しい、ここに人が………いや、君は。 まあ、いいか………。
ここは召喚士・サモナー・魔物使いなど三つのジョブを持つ者しかたどり着けない社じゃ
そうじゃのう、餞別にこの本とこいつらから選ぶとよい」
そう、おじいさんが言いながら現れてつぐみを見た。
彼が手をふると四つの二本足で立つ猫たちが現れたのだ。
それに驚きつつも猫たちを見てかわいいな~とまどろんでいると。
ルイセにずどんと鼻を押し当てられる。
「ご、ごめんね。 ルイセも負けないくらいかわいいから」
「ガウウ《わかればいいんだよ》」
《我らだけでは不服か主》
拗ねているシルトとルイセにつぐみは困った顔をしていると。
「じゃが、仲間が多いにこしたことはないぞい」
《確かに》
おじいさんの言葉に考えだすシルト。
この二体が魔物とよく呼ばれているが、どちらかというと魔物の最上級の魔獣なのはつぐみは知らない。
「にゃあ~ん、私頑張るから連れていってほしいにゃあ」
しましまな猫が近寄って来てすりすりとつぐみの手にすりよる。
「はう」
あまりのかわいさに陥落しそうになるつぐみ。
「それにおぬし魔物使いでもなんの攻撃方法もないんじゃろう? じゃが、そやつと契約することで新たな技も使用できるようになる。 一石二鳥ではないかのう」
「そう、ですね。 なにか役にたつのがもっとほしいと思っていたんでこの子と契約します」
「やったにゃあ、名前を決めてほしいにゃ」
つぐみはうなずいて言うとそのこは喜んで飛び跳ねる。
「えっと……エスポワール。 フランス語で希望って言う意味だよ」
「ありがとうにゃ♪」
抱き着かれて優しく頭を撫でているとルイセもぐいぐいと頭をすりつけるので苦笑しながら撫でていた。
「では、契約もすんだし。 その本を読むとよいぞ」
「は、はい!」
そういわれて本のページをめくるつぐみ。
茨のつたで足をからめとり、茨のムチで攻撃する。
「まあ、それを器用に使いこなすとよかろう」
そうおじいさんが言うと急に視界が暗くなり、気づいたときはさきほどの場所に戻っていた。
だが、夢じゃないことは隣にいる猫座りしている猫を見てわかる。
「………。 相談しよう」
つぐみはそうつぶやいて買い物袋を持ったまま宿屋に戻った。
エスポワールことポワのことを仲間みんなに紹介し、部屋に戻り受け取った本を読みだす。