第34話
『御主人、ミノタウロスって美味しそう!』
「オークと並んで美味いからな」
よだれを垂らすカールに知識を植え付ける万里。
「どんだけ能天気なんですか」
「い、いつものこと………………なんですよね」
呆れている日菜に話しかける鈴。
「オークとたむろっているっていうのはあんまし違和感ないか?」
「そういうもんか?」
陽の言葉に赤羽は頭をかかえそうになっていた。
「まあ、とりあえずこいつらからも食材採取と行こうぜ?」
『マスターのために頑張るよ!』
富士也がそう言うと籠手を装備したまま言うエル。
オークたちは万里たちに気づいて咆哮をあげて襲い掛かってきた。
だが、エルもカールもそれにビビることすらしない。
やはり龍だからなのだろうか。
『トンカツのできあがり~♪』
襲い掛かるオークの斧を横に飛んで回避して、斧に乗り上げてそのまま上るカール。
そして自らのこぶしを遠慮なく叩きこむ。
ズガン!
という音とともに頭がつぶれ、よたよたとしているオークから次のオークの真上にとあがり、重力に従い落下してこぶしを叩きこむ。
このときに手を龍の鱗で包んでからの叩き込みを忘れない。
「暴れるな、お前の従魔」
「まあ、腹ペコらしいからな」
そんな会話をしながら富士也はオークの腹に籠手つきの拳を叩きつけて吹っ飛ばせる。
それをエルが追い打ちをかけてこぶしを叩き込む。
「ひゅう、やるねぇ」
槍を構えて、ルーン文字を静かに刻み槍を投げつけるとどんどん貫通していく。
「”強化””硬化””貫き”」
と、つぶやく陽は槍をミノタウロスの頭めがけて投げるとこちらもどんどん貫通していく。
「やれやれ、緊張感がここまでないのも俺たちくらいだろうな」
「いえ、彼ら限定かと」
「日菜ちゃんがそういうならよほどだね」
日菜は剣を右足を軸にして回るようにして回転切りをし、赤羽は弓の矢を撃っていく。
鈴も負けじとカラドボルグをふるう。
そうこうしているうちに大きな巨体のオークキングが出てきた。
あまりの騒がしさに気づいたのだろうが、すでに遅いというか…………。
まあ、それも仕方ないだろうオークキングも負傷をしているのだから……。
『御主人、オークキングのかつ丼が食べたい!』
「わかってるからよだれをなんとかしろ」
眼をらんらんと輝かせるカールにキングオークはなぜかわからない恐怖を抱く。
まあ、相手は龍だから当然なのだが………。
それでもオークキングは突進してきて斧をふるうが、斧を龍の鱗でつつんだこぶしではじき返す。
カールの目は龍の目となり、瞳孔が開いている。
『お肉をよこせ~♪』
楽しそうにオークキングをの腕を上り、腕を手とうで斬り、頭を龍の鱗で強化した足のかかと落としという連撃をくらわせるという。
食欲が彼女をこうさせるのだろうか。