第30話
「あの……ジャイアントトードだけでは?」
「知らないうちにギガントトードまでも紛れ込んでいるようだな」
カラドボルグを持ちながら困った顔をする鈴に赤羽は普通に観察していた。
『ぴぎゅー!』
「せぇ、の!」
カールが龍型になり、ジャイアントトードの口にブレスを吐き出すとゲイボルグを構えて突き刺す万里。
ジャイアントトードならびにギガントトードは打撃系に強いので口の中に攻撃するか剣か槍で攻撃するかだ。
なぜ、二人がこの特殊な武器をもっているかというと、見知らぬ店にいつのまにかいてそこの店主によって強制的に手渡されたからである。
「アイシクルランサー!」
ギガントトードに氷の槍が突き刺さり、もだえ苦しむギガントトード。
「ウインドストリーム!」
風の嵐もギガントトードにあたり、おなかをみせるかたちひっくりかえると。
「せえぇぇりゃ!!」
刀で横なぐりに切り裂いた高身長の男性。
「はっ!」
拳と蹴りをいれるがいまいちの効果で、後ろに下がる少年に万里たちは見覚えがあった。
だが、こちらもジャイアントトードがいるのでこちらに集中することに。
なにせ群れでいるのだからよそみなどあまりしている暇などないからだ。
カラドボルグを構えて、地面を蹴り、上段からの降り下ろしをする鈴と腹に二人振りの剣で×印のように切り裂く赤羽。
「たのしゅうてたまらんですえ♪」
「まったく、深紅はかわらんな」
両手剣を振り下ろし、口をひらいたところをこぶしをたたきこむ炎心。
ナイスコンビネーションだ。
そんな戦いをしてしばらくして………。
「久しぶりだな、万里」
「本当に久しぶりだよ~」
「元気してた?」
「あれ、卵孵ったの?」
龍星・芹香・つぐみ・京里が近寄る。
ちなみに解体作業もすんでいたりする。
「龍星たちも元気そうだな」
「まさか、ここで会うとはな」
万里と海里はそう言いながら龍星たちを見る。
『だーれ?』
「知り合いの、ようですよね」
カールと鈴は不思議そうに龍星たちを見ていた。
それに気づいた日菜が口をひらいて。
「紹介します、こちら榊龍星さんとその恋人の瀬川芹香さん
雨宮つぐみちゃんとその彼氏の宮野京里くんです」
と、説明してくれた。
『むぐもぐ、はじめまして。カールだよ!』
『エルだよ~♪』
「え、えっと。 鈴、です」
と、自己紹介をする初対面ず。
「にしても、富士也とも出会うとはな」
「うんうん、別方向かと思っていたもんね」
龍星がそういうと芹香も同意する。
「いや、エルが同族の匂いがするっていうもんだから」
「ふわ、どちらもレアな龍だよね。 すごいな、二人とも」
つぐみはそう言いながら万里と富士也を見る。
「わふう《こういうのを勢ぞろいっていうんだよね》」
《先輩は物知りなり》
ルイセとシルトはその様子を眺めて従魔同士の会話をしていた。
「さっきの魔法は?」
「ああ、芹とつぐみだ」
万里の問いに龍星は答えた。
ふと、気になることを万里はつぐみを見てきいた。
「その武器は?」
「んにゅ? これ、トールハンマーだよ。 わたしが持つと軽いの!
ドワーフの子がね、これあたしたちがいままで集めた材料で作った武器だからどうぞって!」
と、にこにこ笑顔で話すつぐみ。
京里に視線をうつすと彼は苦笑しながらうなずいた。
《わたしもご主人と同じ槍をもちたいな~》
万里の槍を見てキラキラと目を輝かせていた。
「これはダメだからな!」
『えー、槍がほしーい』
ゲイボルグを隠す万里にしょんぼりするカールであった。