第26話
「これからどないしますえ?」
「とりあえず、この都市を見て回ろう」
ユウギは万里にひっついているが海里は無表情である。
「そうですね、武器とか錬金武器とかも見てみたいですし」
日菜は同意して予定がきまると4人で歩き出すのだが、万里は必死にユウギをはがそうとしながら歩いており、ユウギはそれでもはがれない。
「万里、いい加減諦めては?」
「なにがそんなに嫌なんだ」
呆れている日菜と海里に問われる万里。
「いや、なにがきっかけでこうなったのか理由がわからんから」
「きっかけなんてころごろと転がってるもんやえ」
万里は引きはがそうとしながら言うのだがユウギは離れない。
彼女ほどの美人に見とれる男性たちからの妬みの視線に万里はどうしろと、という気分でいた。
「万里、なにをやっているんだ」
「赤羽さんたちの知り合いですか?」
赤羽があきれたように万里を見て言うと隣にいた鈴が不思議そうに万里たちを見ている。
「彼は幼馴染でね、いろいろあって仲良くなったんだよ」
「わっちらもいろいろあったなぁ~」
炎心が赤羽の代わりに説明し、深紅は遠くを見てつぶやいていた。
「ちょうどよかった、ユウギを離すのを手伝ってくれ!」
「いや、どうしてそうなるんだ」
万里が赤羽にそういうとますます不思議そうな様子で言うのだった。
「久しぶりですね、どのような用事で?」
「彼女が迷い異世界人でね。 ここで預かってもらおうかと話しをしていたのだが‥‥」
「赤羽はんに懐いてもうて離れないんよ」
日菜が近寄り、尋ねると炎心は苦笑しながら説明し、深紅も説明につけくわえる。
「……なんだ、おまえも大変なんだな」
「なんだ、その同情的な視線は」
万里の視線に赤羽はちょっと不機嫌そうである。
「はじめまして鈴といいます!」
そう言いながらぺこりと頭を下げて自己紹介をする。
「奇妙なもんにすかれるんでしょうか‥‥…」
「それは俺たちに言ってるのか? 心外だな、それは万里担当だ」
「いや、赤羽担当だろ」
日菜の発言に言い合いをしだす万里と赤羽。
なんとも奇妙な縁である。
「ふわ~……鬼ってほんとにいるんですね」
「鬼をみるんは、はじめてなん?」
ユウギを見ている鈴にユウギは興味を持って訪ねる。
しかし、二人ともつかむ手は離さない。
「はい、わたしの世界では絵本でしか知られてませんから」
「そりゃそうやろうな。 そうなるようにしてるんやろうし」
鈴がうなずいて笑みを見せるとユウギは当然だろうなという態度でつぶやいた。
「鬼って、赤いってよく言われてますけど………違いますもんね」
「まあ、おとぎ話とかではそうなるように書かれるもんやえ」
鈴は思い出しながら言うとユウギは苦笑を見せている。
「でも、できればその鬼と比べらるんはかなんな」
「そ、そうですよね」
笑みを浮かべるユウギの威圧になんか怯えてしまう鈴。
まあ、本物だからこその威圧感があるのだろう。