第24話 助けを求める声の主は!?
フェルーレメンバーがまったりとしている頃。
慎重にあたりを龍星と京里たちと一緒に警戒しながら森の中へと入る。
つぐみはひしっと芹香に抱き着いており、そんな彼女の背中を撫でながら後を追う。
シルトはつぐみの頭の上でキョロキョロし、ルイセはつぐみの後ろでキョロキョロしていた。
開けた場所に出るとそこには倒れている龍と天馬と白銀の巨大狐が寝そべっていた。
共倒れとかでもしたのだろうか、それとも不意打ちでやられたのだろうか。
そんなことを思いながら龍星と京里が先頭に近寄ると。
龍が頭を上げて威嚇してきた。
「ぐるああああ!!」
「ひみゅ!?」
「だ、大丈夫だよ。つぐちゃん」
威嚇の声に委縮するつぐみをぎゅっと抱きしめる芹香。
「ヒヒン《なにものですか‥‥》」
「ぐぎゃう《とどめでもさしにきたんだろ》」
二体が無理に立ち上がろうとするが、なかなか立てないでいる。
それを見ていたつぐみは龍星に近寄り、手を伸ばす。
「どうした、つぐみ」
「あ、あのね。 この人?たちわたしたちのこと勘違いしているみたいなの」
「勘違い?」
龍星は警戒しながらも聞くとつぐみはちらちらと三体をみながら言った。
京里はつぐみの言葉に首をかしげる。
「うん、たぶん……このこたち人によって怪我をさせられたんだよ。 だから、威嚇しているし」
「それで傷だらけなんだ‥‥」
つぐみがうなずいてそういうと芹香も理解したのか三体の生物を見て言う。
つぐみが言葉がわかることに三体はわずかに驚きはしたが、それまでだ。
「お兄ちゃん……手当してあげられないかな?」
「そうは言ってもな。 治癒系は得意じゃないからな」
つぐみの頭を優しくなでて困ったような顔をする龍星。
《主、知識不足ですまない》
「そんな、シルトは悪くないよ!」
申し訳ない声に慌てているつぐみ。
「うーん、魔法はできないけど……タオルとか包帯で止血くらいはいいんじゃないかな」
「うん、そうだよね。 なにもかも魔法で頼るのはよくないことだもん」
京里に言われて、救急箱を取り出して龍星たちと一緒に近寄る。
まずは威嚇した龍からである。
「ギャアアアグルアアア」
「どうどう、落ち着け」
「龍星さん、馬じゃないんだから」
「あ、あははは」
じたばたと暴れる龍を龍星と京里で押さえつけて、芹香とつぐみがすぐにすますからねとなでてから包帯やら消毒液などを使い、綺麗に手当していく。
その次に天馬の方も手当をするが、こちらも激しく暴れるため、押さえつけて手当をし、最後の巨大狐にも手当をするのだが、やはりこちらも暴れる。
しばらくして手当を終えてから、つぐみは頭を下げた。
「無理やりなことしてごめんなさい。 でも、この方がなおりがいいってプレセアおねーさんが言ってたの! だから、人を憎まないでなんて言えないけど‥‥それでもすべての人までは憎むべき対象じゃないことだけはわかってくれたらいいなっていうあたしのわがままです。
じゃあ、さようなら!」
それだけを言うと龍星たちの背中を押して森から出て行く。
傷で気が立っているという想いからだろう、そのへんの配慮ができるのもつぐみらしい。
「ねえ、お兄ちゃん。 あたしたちは見た目はヒューマンとそう変わらないけど。
違うところあるよね……」
「まあ、獣人か亜人かでいえば亜人よりだからな、俺たちは………」
歩きながら彼が懐にいれたつぐみからの言葉に龍星は苦笑を見せていた。
先祖がそうだったから、先祖がそうでなかったらの違いでこの世界の種族は分かれて存在している。
時空のゆがみと地球の汚染で先祖は開いた門から渡り、それぞれのカタチなどを種族としてで形成してきたのだ。
「こんなふうに複雑にわかれている世界なんてそうそうないよね」
「まあ、確かにそうですね」
芹香の言葉に京里は苦笑を見せながらうなずいている。
「ガウウ《亜人でもつぐみたちが大好き~♪》」
そう言いながら飛びついて龍星の顔をぺろぺろと舐めだす。
《先輩のいうとおりなり》
「うん、ありがとうシルト」
そういってシルトを抱きしめるつぐみ。
亜人と獣人の違いはあるようでないともいえる。
でもあるとしたら、亜人には一部だけ動物的なものが生える種族もいるということだ。