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第22話 謎の声に呼ばれて?

「万里、どうした。 なんだか疲れているようだが」


「そうですね、逆にユウギさんはつやつやしているように見えますけど」


翌朝の食堂での会話で海里と日菜が万里とユウギを見て不思議そうにしているようだ。


「な、なんでもない」


「昨日は楽しかったなぁ、旦那はん♪」


ぐったりした様子の万里にユウギはにこにこ笑顔である。

昨日にいったいなにがあったのだろうかと日菜と海里は思ったのはいうまでもない。

真相はこの二人にしかわからないのだから。


「ユウギ姉のおむね~♪」


「後ろから揉むなと、あれほどいったんやけど?」


聞きなれた声に反射的にアイアンクローをされる万里の妹の雛火ちゃん。

じたばたと暴れているのはかなり痛いからだろう。


「うちの頭が割れるうゥゥゥ!!?」


「反省しないからだろ」


悲鳴をあげている雛火にあきれている様子の万里。


「いつものことだが、その性癖はどうにかならんのか」


海里もあきれているようである。


「無理だと思いますよ? あの両親からどうすればこんなふうに育つのかわたしにもわからないくらいですから」


「‥‥そうだな」


日菜の言葉に海里も考えることをやめたようだ。

ふと、掲示板にあたらしいクエストが張られていることに気づいた。


「巨大イノシシ”ブルファンゴ”の討伐か……」


「あれは深紅の狼よりは小さめですけど、ほかのイノシシに比べたら巨体ですからね」


「あれはやいてくうと美味いんだよな~」


「そんな会話してないでウチをたすけて~!」


「まだまだお仕置きは続くでェ」


万里・日菜・海里がクエストを見て会話をしている中で救援をもとめる雛火にユウギは容赦なくアイアンクローしている。

若干手加減はしているようだが、それでも痛いものは痛い。


そんなことが起きている頃。

つぐみ達の方ではというと?


「あ…‥‥お兄ちゃん、待って」


「どうした、つぐみ」


つぐみが声をかけると龍星は立ち止まる。

京里と芹香も不思議そうにつぐみを見て立ち止まり、振り返る。

ルイセはつぐみの足元で見上げているようだ。

シルトはつぐみの頭の上でゆらゆらと揺れている。


「…………声がする」


つぐみはそうつぶやくと、視線を森の中へと向ける。

うっそうとしげった樹はどこか人を寄せ付けない雰囲気がある。


「………どんな声だ?」


「えっとね、苦しいって! 助けてあげたいんだけど………ダメかな?」


龍星はつぐみを下ろして頭を撫でながら優しく問いかけると。

つぐみは聞こえた声に想いを素直に告げて助けたいと話す。


「声はこっちの方から?」


「うん、そうだよ。 芹ちゃん」


芹香の問いにつぐみはこくんとうなずいた。

本当はすぐにでも行きたいけど、龍星に幼いころから言い聞かされてきたから不安そうにしている。


「つぐみはどうしても行きたいの? 危険があるかもしれないんだよ」


「行きたい!………けど、みんなを危険な目に合わせるようなことはしたくない」


京里の問いにつぐみはきっぱりというが、最後は全員を見渡してしょんぼりとする。


「きゅ~ん《龍星、どうしよ~》」


《主は助けたい、けど……我らのことを思うと見過ごした方がいいのかと迷っている》


ルイセとシルトは聞こえないだろうけど龍星の指示を待っていた。


「…………俺たちから離れないと約束できるか?」


「!うん!約束する!」


龍星の問いにつぐみは笑顔でうなずいた。

それを見て悩んでいた龍星は笑みを見せて彼女の頭を撫でた。

とても優しい手つきで。


「いいのかな、ここはどこか危険な気がするんだけど」


「俺たちだけなら、なんとでもなるさ。 それに謎の声も気になるしな」


京里はどこか心配そうでいうが龍星は京里の頭をくしゃくしゃとなでて笑った。

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