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第9話 京里の告白

「つぐみ……早朝には旅に出る訳だけど、その前に伝えたいことがある」


「えっと、なにかな?」


つぐみは真面目な顔の京里を見つめて不思議そうに問いかける。

ちょっととまどいがあるつぐみとどこか焦りがある京里。


「断っても良い。これは、僕がつぐみに想いを伝えたいだけだからね」


「え?」


京里の言葉にますます困惑しているつぐみ。

眉を八の字にして、困っているのが見て取れるだろう。


「つぐみ・・・・・僕はつぐみのことが、一人の異性と見て好きだ。念の為に言うけど、likeじゃなくてloveでね。 そこは勘違いしないでほしいな」


「え?・・・・・えぇ!?」


最初は理解できずに困惑していたが、すぐに理解して慌てているつぐみ。

わたわたと慌てているのがわかるだろう。


「わ、わたしじゃあケイくんに釣り合わないよ!」


「それじゃあ、断る理由にならないよ? 僕はつぐみだから言っているんだ」


つぐみの困惑顔に京里は真面目な顔でそう言った。

彼の意志はとても固いようだ。


「わ、わたしみんなが言うほどいいこじゃないし」


「なんで? 優しくよいこだと思うよ」


つぐみの言葉に京里はつぐみから視線をはずさずにそう言った。


「そんなことないよ! そ、それにわがままだよ!?」


「わがままでもいいよ。 つぐみのかわいいわがままなら受け入れるし」


つぐみがどう断れがいいのかパニックになっているのがわかる。

優しい視線でつぐみを見つめる京里。


「それからそれから・・・・その・・・嫉妬ぶかいかもだし」


「あのね、つぐみ。 僕はつぐみがつぐみだから好きなんだ。 自信がないのも僕もわかるよ?

幼いころはちいさかったし今でもコンプレックスだってある。

人はみんなコンプレックスがあるものだからね

こんな僕でも僕として受け入れてくれるのかっていつも不安だったし」


つぐみの焦りがあまりにも多いのを見てつぐみの頬に触れて苦笑しながら言うと。


「そんなことないよ! ケイくんは優しいし、カッコイイよ!」


「龍星さんには負けるけどね」


つぐみが握りこぶしをしながら言うと苦笑を浮かべる京里。


「わ、わたし・・・・。 ケイくんのこと好きで・・・いていいの?

孤児だけど、それでも・・・・」


「やっと、気持ちを見せてくれたね。 つぐみ」


うるんだ目を向けるつぐみを見て京里は嬉しそうに笑うと抱き寄せて口づけをする。

孤児でもいいそれでも自分を自分として見てくれたありのままの自分を見てくれた京里に強く抱き着くつぐみ。

龍星や美桜や白姫や希林や雷や万里や日菜や瑠奈や希や瑠美や直貴や豊たちいがいなかったから。

それがたまらなくつぐみにはうれしかった。


その様子を見ていた者がいたのはいうまでもないが。

その者は京里にとてつもない憎悪を抱いていたのは間違いないだろう。


「宮野・・・・京里・・・・いつか殺してやる!」


そんな物騒な言葉をぶつけにらみつけながら暗い空間を通って消えた。

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