第8話 聖女?
街のとある教会にてみなもは膝をついて目を閉じて祈りの体制をとっていた。
真っ白いすけすけの衣装なのでかなりみなもにとっては恥ずかしいのだが、それが彼女の宿命だから。
宝石のようなもが降り注いで彼女の中へと入っていく。
それを周囲を囲んでいる大人たちが見ていた。
子供たちは悲しそうにみなもを見て中には泣きじゃくる人もいる。
秀久はこぶしを握り締めて悔しそうにしていた。
みなもの母のみずはが泣き崩れて座り込み、それを秀久が支えていた。
「これで彼女の中に女神の祝福がはいった。 これからそなたは旅をして神殿などをめぐり祈りをささげろ」
「わかっております。それがわたしの使命なんですよね」
みなもは顔をあげてそう言うと神父はうなずいた。
それからゆっくりと立ち上がるが、ふらりと体がゆらいだので秀久が慌てて抱き留める。
「みなも、大丈夫か!?」
「はい、なんか疲れたみたいで」
心配そうな秀久に困ったような顔をするみなも。
それを見てますます心配になる秀久。
すぐにみなもを姫抱きをして教会からみずはと一緒に去る。
みなもの家に到着すると、そこの彼女の部屋にはいり、みなもを寝かせる。
髪を優しくなでながら秀久はこう言った。
「すこし寝てろ」
「でも・・・・」
「いいから・・・」
秀久に言われてみなもはゆっくりと目をとじる。
そんな彼女に布団をかけて、頬にゆっくりとキスを落とすと部屋を出て階段を下りてリビングに行くと。
憔悴した感じもみずはがいた。
「ごめんね、まさか娘が選ばれるとは思ってなかったから・・・。 娘は癒しの力をもっていたからなのかしらね」
と、悲しそうに彼女は笑った。
秀久も知っていたいつも怪我する自分に癒しの力で傷を治癒をしてもらっていたから。
そんな昔のことが今の秀久は思い出していた。
泣いてるときも慌ててきて涙をながしながら手当をしてくれた。
「おばさん! みなもが選ばれたって・・・」
「ええ・・・・これは覆らないことだって」
ほのかが息をきらしてはいってくると悲しそうにみずはそう告げる。
ほのかが血が出るくらいこぶしを握り締めていた。
彼女としては親友が選ばれてほしくなかった、優しい彼女にはここで過ごしてほしかったのだ。
そんな思いが彼女の悔しそうな顔から見て取れる。