第5話
「ふ、ふみゅ~」
「ぴぎゃ!《つぐみ~♪》」
「きゅん♪《つぐみ~♪》」
現在、つぐみはルイセの他にゲートを通り抜けてきた二匹に飛びつかれていた。
これに困った顔をしているつぐみと驚く面々がそこにはいた。
「これだけの魔力量だというのか・・・」
「やはり神に愛された子というのは本当なのかもしれんな」
という声も聞こえてはいたが、千里と美桜が目を細めていた。
それはエレナも一緒のようである。
「ここまで予想外とはな・・・・」
「わかってはいたけどね・・・・」
「仕方ないわ、二人とも・・・・どのみち寵愛をうけるものはいずれは生まれてしまうものよ」
と、千里と美桜はそう呟いていたその隣でエレナはどこか遠くを見据えているようだった。
「さすが、つぐちゃん♪ かわいいだけじゃないね」
「瑠美、抱き着きにいくなよ。 頼むから」
瑠美がにこにこと笑うと直哉があきれたようにそう言った。
四倉直哉は瑠美と渡辺兄弟と豊の幼馴染の一人だ。
「直哉、それは瑠美に言っても無駄だと思うぞ」
「瑠美ちゃんはかわいい子がいると誘拐しちゃうからね。
まえは希ちゃんでその次はつぐみちゃんで大変だったよね」
直樹の隣で笑う瑠美と似た色の髪のロングヘアーでツーテール団子をしている少女だ。
瑠美と似た容姿なので見間違えられることがあるが、幼馴染である彼らには関係ないことだ。
「あの時、謝り倒してやっと許してもらったからな」
「ねね! 豊は、どーするの? 冒険者になるの?
ボクはガンスリガーとしての腕を鍛えたいから出るつもり!」
遠い目をしているユタカに腰に手を当ててご立腹な少女がそう声をかけてきた。
黒色の長い髪の少女が豊を見上げて聞いてきた。
おそらくサイズはBくらいだと思われる少女の名前は美津という。
希林とは貧乳同盟を結んでいるとかいないとか?
遠い目しているところに突然の話の変わりようにずっこける豊であった。
「あはは、美津さんは相変わらずのようで」
「ユウくん、つぐみは旅にでちゃうのかな....」
それを見て苦笑いしているのは直樹の弟の佑樹に奈月が小柄な体で近寄ると、見上げる。
つぐみより小さいのでおそらく135くらいだと思われる。
瑠美からはなっちゃんとかわいがられているのだ。
この幼馴染チームのマスコットである。
「はい、間違いなくそうだと思いますよ」
「・・・・・そっか」
佑樹が否定しないと奈月はどこか寂し気につぶやいたのだった。
そんな彼女を見て優しくカノジョの黒髪を撫でたのだ。
「あー、どうすかっな・・・・お前のこと」
「ぴぎゅ?《なにか問題でも?》」
頭の上から降りない銀と黒のしましまのチビ竜は不思議そうに小首をかしげている。
どう千里さんや美桜さんたちに説明するべきか、富士也は悩んでいた。
気づいたら目の前にいて懐かれていたと述べるべきなのかと。
現にその通りなのだから、嘘ではないのだが。