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レレレの小僧

(みこと)、俺の恋人の名前。

茶道部所属の高校二年(同い年)。小柄で華奢、童顔。内気で引っ込み思案、単純、弱気、流され屋、んで自己主張できない性格。えびフライが好きらしい。国語が得意なくせに(関係あるっけ)喋るのが苦手。体力、運動神経皆無。人からよく好かれるから友達は決して少ない方ではない。顔立ちだって其処らの女子より可愛い。正直言って自信持って良いと思う。良いと思うのに持とうとしない。そこがムカつく。カナリムカつく。

それからムカつくのがもう一個。

俺たち、ちゃんと付き合ってんのに、アイツはまだ片思い気分でいやがる。

あぁくそっムカつく、イライラする。恋人同士だろ、俺ら。

恋人に遠慮してどうすんだよ。話すときも時々しか目合わせようとしねえし。あぁくそっ。


「なる、機嫌良いね。なんかあった?」

・・・どうみても機嫌悪そうだろーが。目悪いのか、コイツ。眼鏡かけろよ。

ちなみ『なる』ってのは俺の愛称。本名は成深(なるみ)。尊のみ『なーくん』と呼んでいる。

それから、眼鏡をかける事をお勧めしたい、この青年は同じ剣道部で同級生(もといクラスメイト)の中澤という。カナリお調子者で陽気な奴だ。

「俺は至って機嫌悪そうなんだけどな」

「そうか?物凄く機嫌良さげに見えるぞ。ミコちゃんとなんかあったんだろ〜ん」

『だろ〜ん』って、気色わり。つうか、

「ミコちゃんゆうな」

「レレレのレ〜?ヤぁキモぉチレ〜ーすかぁ?」

こんのレレレの小僧が。

近くに人がいなかったら、その憎たらしい笑顔に竹刀をおみまいしてやれたのに。

しょうがない、睨むだけで許してやろう。

「そぉんな恐い顔しなさんな。機嫌良さげだったのは本当なんだから」

だからどこら辺が、だよ。

「尊となんかあったんだろ?もう隠してないで言いなさいよぉ」

キモい・・・、カナリキモい・・・。うわっ寒気っっ。なんでコイツ捕まらないんだ?

謎だ。女子が便所に行く時「誰か一緒に行こう」と誘う行動の次に謎だ。あぁあれも謎すぎる謎だ。なんで誘う?一人で行けよ。お前らはガキか。そんでもって「良いよ」って返事する女子も変だ。謎だ。頭がおかしいんじゃないかと思う。ここは男子校だからそーゆーことはもうないんだが、中学生の時は本気で意味が分からなかった。ぶっちゃけ、√3が『人並みにおごれや』になることに対しても理解ができなかった。謎だ。なぜそこで命令形?なぜ命令形になる?昔ある友人にそう問うたことがあったが、「なるもんはなるんだよ」で納得させられた。だからなんでなるんだよ・・・。ダメだ、この世は謎が多すぎる。

てか、こんな話ししても無意味だ。無意味は嫌いだ。だから話をもどそう。

「尊ゆうな」

「ならなんて呼んだら良いんレぇ〜すかぁ?」

こんのレレレの小僧が。

「苗字があんだろっ」

「忘れちった☆」

・・・、やめよう。ツッコムのはやめよう。無意味だ。無意味すぎるほど無意味だ。

一度ツッコんでしまったら、『俺の父ちゃんパイロット』以上に無意味な言い争いになる。

「・・・俺が機嫌良さげに見えた理由は?」

「だってぇ稽古中にぃ鼻の下ぁ伸ばしてたしいっ☆」

「・・・あぁそうか、お前死にたかったのか。そうかそうか。今まで気付かなくて悪かったなぁ。でも大丈夫、今すぐ殺してやるから。秒殺してやるから。」

「やだなぁ〜。なんでそんなにキレてんだよ〜。冗談じゃないかぁ〜。もう、殺気まで漂わせちゃってナル君たらっ。冗談通じない人って嫌ぁい」

「因みに俺は冗談言う人間が嫌いだ、待て動くな。動くと楽に死ねねえぞ。安心しろ、俺は優しいから一瞬で死なせてやる。」

「どこにも安心要素ないんだけどなぁ。嘘だって、かんだよ。か・ん。今日はなんか、空気みたいに軽い動きしてたからさ。なる、機嫌良いなぁって思っただけ。もしかしてミコちゃんにデートにでも誘われた?」

「デートに誘われた日にゃあ絶好調すぎてお前の首折ってるよ」

「うっわぁ、なにその爽やか笑顔ぉ。しかもゆってる事カナリ恐いしぃ」

「ま、デートじゃないがソレに近いな」

「おっ、まぢで?なに、なに?この中澤君に話してごらんなせい」

「誰がレレレの小僧に話すかよ」


「おいっ、そこ!サボってないで稽古しろっ!」

俺と中澤の手が止まってることを主将に気付かれ、すかさず注意された。

俺は慌てて稽古を再開させる。

「やぁい怒られたぁ〜」

小声で言ってきた中澤に

「てめえもだろうが」と怒鳴りたい衝動を抑え、代わりに、とびっきりそりゃあもうとびっきりの笑顔をソイツにおみまいしてやった。すると中澤は本気で怯えた顔になって、その顔を見れた俺はたぶん、勝者だと思う。

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