いつもの
さあ、乾いた土の地面に仰向けに寝転がって、
「芋虫ご~ろご~ろ」
「ご~ろ、ごろ」
左に右へと転がる。
あー気持ちいい。
仮想世界にやってきたら、まずこの儀式を始めないとね。
やー、青い空、抜けるような青空だ。
最近、リアルではあまり見れないよな。
異常気象だから。
しかし、この仮想世界では、空気はまだ綺麗だし、
風邪も心地よい。
妙な物質も混ざっていないから、肺一杯に吸い込んでも害はない。
なんて素晴らしいんだ。
こんな当たり前のことがここでは当たり前なのだ。
現実世界は酷い。
せめて、ここに311以前の日本を反映しようじゃないか。
放射能漏れ漏れの日本じゃなかったときの、日本をこの仮想世界に反映。
俺はスマホを取り出すと、「2010年の日本をこの仮想世界に反映」
と打った。
懐かしい日本。全てが色あせる前の日本。
毒が世界にばら撒かれる前の日本。
あーいいねーいいねー。
さあてと、俺は自分の家に戻ると、朝食を取る。
目玉焼きに食パン、レタスのサラダを食べる。
いいねーいいねー。
みんな安全食品だよ。
セシウムなんて混ざっていないし、
ストロンチウムも入っていないよ。
いぇーい。
「ごちそうさまでした」
今日は学校が休みなんだ。
日曜日だから。
まあ、仮想世界の常識にとらわれる必要はないんだけどね。
さーてと、何しようか?
かったるいな、リアルでエネルギー消費しすぎて、何も浮かばないや。
また今度この先の事を考えようか。