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あくる日の暗殺者  作者: 鎖々夜
1/1

幼き日

拷問など、多々グロテスクな描写が有りますので、そういった表現が苦手な方は読むのをお止めになるか、十分に注意した上でお読み下さい。


待って、置いて行かないで。

もう、あんなことはしないから。


小さな手を必死に伸ばし、縋り付こうとしても両親は振り返らない。

幼い妹を腕に抱く時にだけ見せる、あの嬉しそうな、喜びに満ちた顔を『私』にも見せて欲しい。

全ては笑顔の為。

『私』にも、あの笑顔を見せて欲しいだけなのに。

どうして見せてくれないのだろう。

振り返りもせずに歩き去って行く両親の背中を見つめながら、不意にある考えが浮かんだ。

もう一生、両親は『私』に笑顔を見せない。


父と母は『私』を捨てたのだから。


『私』は両親の元へと駆け出した。

手には隠し持っていた短剣を握って。


最初は父からだ。

女より男の方が力が強いということは、この身をもって知っている。

二人に気付かれないように父の歩くスピードを見計らって、切られると必ず歩けなくなる足の腱をスパッと切った。


「ぎゃあ!!」


父は悲鳴を上げ、その場に倒れ込んだ。

這い蹲って逃げようとしていた。


「ひィッ!お、お願い、止めてちょうだいっ!悪かったわ、お願いだから殺さないでぇぇえぇえッ!!」


母は腰を抜かして、『私』を見上げて懇願した。

もう遅いのだ。

何もかも。

母を無視し、『私』は父の上に馬乗りになった。

腕を高く上げ、左胸…心臓に思いっきり、短剣を振り

降ろす。

ズブブ…と父の心臓に短剣が深く突き刺さった。

父は口と刺された場所から大量の血を流し、ハッ…ハッ…と荒い息を吐きながら、ゆっくりと死んだ。

それを見た母が大きく目を見開いて「嫌ぁぁぁあっ!!」と絶叫したかと思うと、手近にある石を拾い上げ、こちらに投げ付けてきた。

大抵はハズレ、ほんの少し掠るだけだったが、最後に投げてきた石がこめかみに当たった。

小さな痛みを伴い、ツツーッと血が流れた。

それを軽く拭い、父の体から短剣を引き抜いて、母と向き合った。

憎悪に染まった瞳で睨まれ、本来なら美しい筈であろう母の顔は、醜く歪んでいた。


「お前を死してもなお、呪ってやる。お前さえ生まれて来なければ…私達は幸せだった!!絶対に許さない…許さない許さない許さない許さない許さない…」


母の喉を躊躇いも無く、切った。

ドサリ…と母の体が地面に沈んだ。

母と父の血で汚れた地面に『私』の顔が映る。

真っ赤に染まった自分の顔は、ただただ無表情だった。


『笑顔』はもう、永遠に消えた。





初心者で至らぬ事ばかりですが、どうぞよしなにお願い致します。

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