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幕間:逃亡者視点

―――――逃亡者視点――――――

 あたしは必死に走っていた。背後からは笑い声と共に草をかき分けて近づく足音が聞こえてくる。

 体はボロボロでいつもならへたりこんで泣いていただろう。でも今はそんなことできない。

 泣いたらあいつらに居場所がばれる。

 へたりこんだらもう動けない。

 そうしたらあたしは殺されてしまう。パパやママみたいに。

 その時のことを思い出して喉元まで熱いものがこみ上げてくる。

 ――ダレカ。ダレデモイイ。

 ―――タスケテ。


 ついに体力の限界が来てしまった。せめて見つからないように、と茂みの根元に隠れる。

 失った片耳がジクジクと痛む。体中の傷がこれ以上は動けないと訴えていた。

 ここにいてもあいつはきっとあたしを見つけるだろう。

 ここにいてもこのまま動けずに死んでいくだろう。

 あたしにはもうなにもできない。ここで死ぬ。

 絶望に埋め尽くされ祈ることしかできなかった。


 ―――ダレカ アタシヲ タスケテ。


 か細く声が漏れる。それは弱々しくて誰にも届かない――――はずだった。

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