表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/198

スキル

「これからどうするかな。」


 メシを食べて自室で寝転びながら俺は考えた。「ススメ」の監視機能がどうなっているかわからないが怪物と戦うのを想定しておいた方が良いだろう。問題は相手がどれほどの強さで俺がどうやって強くなるかだ。常識外の相手にはやはり常識外のものを、と考えていたが、魔法はツガイにならないと役たたない。頼みの綱は護身用レベル。

 ほかの要素を持ってくるしかない。後あるのは・・・。


「スキルか。」


 あいつから渡されたものは3つ。「ススメ」「魔法系の改造」そして「スキル」だが・・・。

 手から「ススメ」を取り出し、インクとペンが置いてある机に行く。「ススメ」を開いても白紙のページしかない。ここまではいい。

 ペンを手に取りインクをつけて「ステータス」と書き込む。すると・・。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【ユージーン・ダリア】

所持スキル

・鑑定眼の御手 レベル1

・剣豪の系譜  レベル1

・妖精眼の射手 レベル1



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 文字が滲んで浮き出てくる。これが唯一確認できた「ススメ」の機能。

 ターブに殴りかかる時に「ススメに書き込めば答える」と言っていたのを思い出し、色々やってみたのだが、偶然これが出てきただけで後は無駄だった。いくら書き込んでも文章になった途端に薄れて消えてしまうのだ。何が質問に答える、だ。ただの不良品じゃないか。しかもこれ「ステータス」とはいえ出るのはスキルのみ。役には立たない。


 スキルについてもわかっているのは少ない。現在保有しているのは3つ。それぞれレベルは1。剣豪、妖精眼については使い方もわからない。鑑定は使えるには使えるが・・。


「『我が名に於いて行使せん。すべてを知るは神の御手 触れ撫ずれば叡智を呼ばん。』」「『鑑定アプレイズ』」


 鑑定と念じ、視界に浮かぶ文字を読み上げる。手を伸ばし、机の上にあった適当な本に手を伸ばすと視界に「魔術初級編」と鑑定結果が出る。裏返してタイトルを見ると確かに「魔術初級編」だった。そういえば、帰ってきてから放っておいたんだっけな。

 これが鑑定スキルの効果だ。詠唱した状態で触れたものを鑑定する。今のとこわかるのは名前だけだ。たぶんレベルが上がるともっと詳細な情報がわかるはずなんだが、どうやってレベルを上げるのか。手当たり次第に鑑定しているが効果があるのかはわからない。あとこれは何かを消費している感覚はない。


 剣豪や妖精眼は念じても何も変わらない。これはアクティブスキルとパッシブスキルという分類があるのか?もしそうならこの2つは常に発動してるはずなんだが実感がない。どういう事なんだ。本当にゴミを押し付けられたわけじゃないよな?



 ひとまず「ススメ」を閉じて魔術初級編の上に重ねておく。―――すると一瞬「ススメ」が淡く光った。


「これ、は・・・。」


 中を開いても白紙だったが、ふと思いつき、「魔術初級編」と書き付ける。すると次々に文字が浮き上がる。内容はまさに 「魔術初級編」だった。


「これは内容をコピー、した、のか?・・・。・・・・・くふ。くふふふふふふふふふふふ。」


 ガチャ。


「坊ちゃ――――ものすごく悪い笑い方してるッ!?」


 タイミング悪くナタリアが入ってくるが笑いは止まらない。止められない。

 本のコピー機能だぞ?いつでもどこでも手から取り出せる本に、なんでもコピーできる機能。いつだって、どんな時だって好きな本が読める。こいつはなんて使える機能だ・・・!


「くふ。あはっ!あははっふはっははははははははは!」


「どうしよう。坊ちゃんが壊れた・・・・。」


 「ススメ」を抱えてゴロゴロ転がりながら嬉しそうに笑う俺に、ドン引きするナタリア。

 笑い声が漏れていたのか、「ユージーン陰謀説」にさらに説得力が増したらしい、ということを後日、聞かされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ