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おさらい的講義

 えー…………。現在、友人のモニターを借りて執筆しております。


 パソコン修理過程

 バックライトの部品届く

 →交換→何故かグラフィックボードに影響が出る

 →やり直し


 交換二回目

 ライト交換→バックライト光らず→失敗


 交換三回目

 失敗→その上何故かメモ帳が文字化けする

 →今までの執筆、設定資料がパァ。

 →現在復旧作業中


 …………やはり専門機関に任せたほうがいいでしょうかね……。

 なんでハードいじってソフトに影響出るのやら。

 とりあえずはPCモニター買うのが現実的な解決策だと思います。

 早速とばかりにこの世界のことを聞いてこようとするルーキー共を押しとどめ、まずは部屋の外に出したチャルナ達を呼び戻す。


「あのー……。ご主人様?そもそもルイ達はなんで連れてこられたです?顔合わせならご主人様だけでも良いと思うのです」


「はぁ……お前は自分が主人探しに来てることを忘れたのか」


「え、あ、いいえ!忘れてなんかないです!」


「…………しっかりしろよ。お前は主人候補を探させるため。レリューやケーラは他にもやってもらうことがある」


「何をすればいいんでしょう?ユージーンさん」


「これからこの世界のことをこいつらに説明するから、俺の説明の補足をしてもらう」


 これについては後々分かるだろう。こいつらに補足してもらうのは、俺では絶対に説明できない領域の話だからだ。


「ユージーンさん……」


「ああ、瀬奈か。すぐに説明始めるからちょっと待ってろ」


 後ろから声をかけられて振り返らないままに答える。

 なんとなく申し訳なさそうな声音だ。


「い、いえ、その前に…………先程のこと、すいませんでした。兄のことを持ち出されて驚いたとは言え…………」


「ああ、それか。気にするな。不用意にあいつの名前を出した俺が迂闊だっただけだ」


「ですが……」


「後でゆっくりと話を聞くさ。どうやってこの世界に来たのか、向こうの様子はどうなのか、とかな。他の連中にも聞くつもりだが、瀬奈には他にも聞くことがたっぷりありそうだ」


「あ、は、はい」


 幾分戸惑ったような声音が交じる。

 ひとまず、元の世界の事は置いておいて、この世界のことを教えて不安を取り除く方を優先させる。色々と聞きたいが後回しにしなければ。

 ルイ達と瀬奈を連れて、他の召喚者達が待っているテーブルの元へと戻った。



「――さて、ではまず何から聞きたい?」


「はいはーい!魔法使いたいでーす!」


「難しいから後にしろ。次」


「そんなっ!?」


「自分から聞いたクセに理不尽なのです…………」


 エセ関西弁の角女…………こなみの提案を即却下した俺を、ルイが半目で睨んでくる。

 うるせぇ。理論もやらんでいきなり実地をさせられるか。俺なんざ5年以上待ったんだからな。


「というか一応お前らは自分たちの立ち位置分かってんだろ?」


「あれだよな?この世界を救うために、世界の異変と戦ってください、ってやつ」


「あれだけの偉い人達から一斉に頭下げられたらイヤですなんて言えませんよ……」


 田中がげんなりした様子でそんなことをぼやく。

 やや青い顔色は例の召喚されてすぐの会議のことでも思い出しているせいか。

 見たところ人見知りするようなタイプだから、あれだけの人の前に出されたら萎縮して断りきれないだろう。

 ま、元が弱気だから一対一でも断れるか怪しいだろうが。


「ウチは面白そうやなー、って思ったよ?いわゆる勇者ってヤツ?」


「私は…………自分たちがそんなモノと戦うなんて実感わかないです。あの時はまだ異世界に来たなんて信じられませんでしたし」


「まぁ、そうだろうな」


 お気楽気分のこなみは例外として、普通はそんなものだろうな。

 そもそもいきなり異世界に連れてこられたなんて信じるのが難しい。その辺だけは議会の連中に感謝だな。一から説明なんてしてたら手間がかかってしょうがない。

 …………いや、俺がこの世界のことを説明する羽目になっているなら大して変わらんか。


「お前らは英雄…………この世界では信仰対象とされる者だ。別に俺に教わらなくても専門の魔法使いを派遣してもらう事も可能だ」


「ユージーンさんやてそうやろ?」


「俺はまだだよ。英雄じゃない」


「ふーん……よう分からんなぁ。ま、正直、ユージーンさんから別の人に帰るつもりは無いで」


「ああ。この世界の人に教わるのも良いが、俺たちはアンタに聞きたいんだ」


「…………そうかい」


 俺を英雄だと言い、無闇に評価が高い――――。

 望翠殿ココの兵士どもに何か聞いたな。あいつらは何か知らんが俺の評価が無駄に高いからな…………。

 後で言い聞かせておくか。兵士にも、こいつらにも。




「――――さて質問を再開する。答えられる範囲で受け付ける」


「んじゃー俺から。そもそもここってどこ?」


 今度の質問はロベルトか。まっとうな質問だな。

 バックパッカーらしく現在地が気になるのか。コイツが一番旅慣れてるのかもしれない。


「お前らから見た異世界、ってのは説明したな?世界地図で説明すると……」


 手頃な紙に四ツ葉のクローバーのような4つの大陸を書く。

 羽ペンで夏の大陸の南西に丸をつけて現在地を示す。


「現在地は夏の大陸、南西部にあるエンコントロ・エストラーダという都市だ。各大陸はそれぞれ名称通りの気候だ」


「南が暖かくて北が寒い……ということは北半球に居るってことでいいですか?」


「多分な。魔法なんてメチャクチャな物がある世界だから、どこまで常識が通用するか分からんが」


 田中が言うように、南に行くほど暑くなるというのなら、南に赤道が通っているということになる。

 が、そもそもそんな常識が当てはまるようなら、各大陸の気候がそれぞれ別なんてことになってない。


「他にも大陸はあるんですか?」


「ああ。ここだ」


 四大陸の中心に丸をひとつ書き加える。

 『黄道十二宮』が出現するのは6つの大陸。残りの2つ・・がここにある。


「ここにあるのが『神聖大陸』サンクトゥスと『孤独底』ソリトゥスの大陸だ」


「え?ふたつあるんですか?でも書いてあるのは丸がひとつですが……?」


「これでいいんだ。『神聖大陸』はなんでも空中に浮いている大陸らしい」


「マジで!?」


「マジだ」


「スゲー……!ラ○ュタやん……!」「ら○ゅた……?」「なんだそれ?」「気にしない方がよろしいかと……」


 なんでこなみおまえがそれを知っているんだよ。本当に別の世界から来たのか?

 ざわついているが気持ちは分かる。

 俺も書物で確認しただけで実際に見たことはなかったのだが、そういう名前の大陸が存在しているらしい。

 見てみたいが英雄召喚の方が優先した結果、こちらに来た、という話だ。

 『孤独底』については記述が少ないために、どんな場所かまでは分からない。ただ、『人が立ち入る場所ではない』、とだけあった。

 非常に気になる。行ってはいけない、と言われたら行ってみたくなるのが人情というものだ。


「そのへん、お前らは知らないか?」


「そのふたつの大陸から来た人はあまり見たことはないですね……」


「神聖大陸、ってほら、聖女教の本拠地だからねー。いくら獣人排斥を禁じられたからといってもまだまだ人の交流は無いだろーねー」


 ああ、なるほどな。そういう事情が絡んでくるのか。

 聖女教の総本山とも言えるのが神聖大陸だ。そこから獣人の多いこの夏の大陸には来る者はあまりいないのだろう。

 ちなみに『孤独底』についてはやはりと言うべきか、誰も知らなかった。


「各大陸の特色とかは?種族とか、国の民族性とか」


「俺は大雑把にしか知らん。今度の歓迎会でその大陸の王族に聞いてみるのが一番だ。種族はこの夏の大陸が一番種類が多い。他は大体人間国家だな。

 一般的に春の大陸が魔法と剣の混合戦法が得意だ。

 夏の大陸では獣人による近接戦闘を得意とする。

 秋の大陸は…………たしか他の大陸に比べれば防御方面が得意とか聞いたな。

 冬の大陸は魔獣使いをはじめとする使役戦闘の本場だな」


「ふむ……。さっきの神聖大陸とかは?」


「基本的には神聖大陸では争いは無いな。もちろん小競り合い程度の戦闘はあるだろうが、国同士の戦争のようなものはない」


「それって……国がひとつしかない、ってことですか?」


「いいや、そもそも国自体がない。教会を頂点とする自治組織はある。あくまでそういう建前だが」


「……宗教国家ってこと?」


「そんな認識でいい。詳しい事は向こうに行かなければ分からんが。…………ああ、聖女教の司祭は回復魔法を得意とする。パーティーに一人くらい組み込んでおくと安定するぞ」


「急にゲームの説明役みたいなこと言い出すなぁ……」


 そりゃあ説明役だからな。

 『孤独底』については情報がない。以上。

 こんなところか。



「こちらの生活ってどんな感じですか?この建物以外の、という意味で」


「…………もうちょいヒネた質問とかできないのか田中。ホントにお前は無難というか普通というか」


「え、あ、はい……?すいません?」


 理不尽なことを言われているというのに、つい謝ってしまう田中。本当に印象が薄いというかなんというか。

 この押しの弱さは後々のことを考えるとちと拙いな。

 何か方策を用意しておくか。


 通貨や職業、魔物のことについても合わせて、ここ最近の生活と地球で生きていた頃の生活と比較して伝えていく。

 特に注意しなくてはいけないのは水についてか。

 日本にいた頃は分からなかったが、外国に出ると水道水を直で飲めるほど浄化設備

が整っているところはあまり無い。滅多に制限がかからないところもな。

 水資源が豊富で、なおかつ安全……そんなところで生活していた人間には、この世界では水の確保が大変であることを念を押しておく必要がある。そうしないとその重要性が分からない。

 これから『黄道十二宮』を探す旅をする道中で、まず行うべきは水の確保だと言い含めておいた。



 …………。

 ……………………。

 名前が日本風の田中や、地球から来た瀬奈はまだ分かる。

 なんでお前が感心したように頷いてるんだ、小堀口こなみ。


「ちなみにこっちの料理ってどんなの?バックパッカーしてる魅力って景色とかもそうだけどさ、やっぱりその国独自の料理にもあると思うんだよね」


 そんなセリフを言っているのはロベルトだ。旅慣れてる奴には常識、といった感じで水の話は流されてしまった。


「この夏の大陸は香辛料をふんだんに使っているのが多いな。春の大陸は野菜中心のサラダみたいなのが多かった」


「主食は?米はあるん?」


「小麦やそれに類似した植物だな。米は…………確か春の大陸で見かけたな」


 盗賊退治の際に、逃げた盗賊にご馳走・・・した記憶がある。


「だが主食ではなく野菜の一種のような扱いだったな。サラダに入ってる事もあったし、お菓子づくりに使われていたはずだ」


「あー。なんか外国でそんな扱いだ、って聞いた覚えがあるわー」


「お前ホントに何人なんだよ…………」


 つくづく謎が多いエセ関西人である。


「食後にこの葉っぱ渡されたんですけど……これってなんですか?タバコ?」


「それは香草の一種で歯磨きの代わりだな。それを噛んで水で口をゆすいでおくんだ」


「あ、確かにミントっぽい香りがしますね」


 割とどこにでも生えている植物なので安価で出回っている。この世界で歯ブラシに当たるものが無い。なのでそれを噛んで歯の健康を保っている。

 その後も出てくる他愛もない質問を受け答えしていた。


 ひと段落したあたりで一度休憩をとり、質問会を再開する。


「では次の質問」


「えーと、はい」


「はい、瀬奈」


「召喚されてからずっと、この望翠殿で生活してるんですが……生活の大部分がアナログというかなんというか……。お風呂も大量の人足を雇ってどうにかしているみたいでしたし」


「ああ、それそれ。ここっていわゆるファンタジーの世界なんですよね?もっと魔法でどうにかできないもんかなーと」


「そこか。基本的に獣人は魔法を使えない。ここで世話をしているのは大体獣人だからしょうがない。…………というかこの夏の大陸じゃ風呂に入るのは身分の高い連中だけだ。基本は水浴びで済ませる」


「え、そうなのです?」


 …………なんでお前が驚いてんだ、ルイ。

 その後ろに目を向けてみればレリューもちょっと驚いた顔をしている。ケーラは……なんだ、その『しょうがないなぁ』みたいな呆れ顔は。


「だってご主人様と一緒に旅し始めてから、ずーっとお風呂入れてくれてましたよね……?」


「え?あれって地上の人はいつも入ってるんじゃないんですか?」


「ううん。少なくとも私は滅多なことじゃ入らなかったよ」


「おーい。オレ貴族。オレ、キ・ゾ・ク」


「貴族は自分でお湯を沸かしたりしないです」


「だって、なぁ……?お前ら魔法使えないじゃん」


「そりゃそうでしょ。普通、人が入れるくらいのお湯を沸かす生活魔法を使うのなんて、専用の人を雇わないとできないもん。ましてやルイちゃんもレリュー様も獣人だし」


「………………。まぁそれは置いておいて」


「置いてかれました……」


「お前らが考えるような便利な魔法は生活魔法と呼ばれる。魔法のランクを書いていくと――――」


 先ほどの紙に『生活魔法<戦闘用魔法(個人)<ツガイ魔法<儀式魔法』と書き込みを入れる。

 そして説明しようとして…………気づいた。


「そういえばお前ら、この世界の字は読めるのか?」


 なんとなくそのままこちらの字で書いていたが、考えてみればこの世界の住人ではないこいつらにとっては意味不明の記号でしかない。失敗したな……。

 そう思っていると瀬奈から予想外の言葉が出てきた。


「はい。なんでか分からないんですけど、意味が自然と頭の中に浮かんで来るっていうか……」


「マジか。便利だな」


 こうして話す分には、普通にこの世界の言葉を話しているように聞こえる。

 俺もそうだが、きっと神から与えられた『何か』に翻訳機能がついているのだろう。

 俺の場合は自力で字を覚えたり、発音の仕方を覚えたりしたが、耳に入る言葉だけは翻訳されて聞こえていた。

 もしかするとこいつらの翻訳機能の方が使い勝手が良いのかもしれない。


「話を戻すと、一番下が生活魔法だ。このくらいなら魔力があればまず使える。そこからだんだん使用する魔力の量が増えていって、ツガイ魔法では男女2人、儀式魔法では4人以上の組みになって発動させる」


「初級、中級、上級みたいな分類って無いん?」


「有るには有るが……恐らくそれはツガイ魔法以上の話だな。生活魔法や個人で使う魔法では無い」


「なんでですか?」


「生活魔法ではそういう分類が必要ないし、個人で使う戦闘用魔法は研究が進んでいないせいでバリエーションが少ないためだ」


 ツガイ魔法が開発されるまでは人種の使う魔法は、主に生活魔法だけだった。感情が魔力を引き出すと知れてからは、威力の高いツガイ魔法や契約魔法での戦争を行っていたせいで、そのへんの進歩は大きい。

 出力的に(個人では)大きな魔力を必要とする戦闘用の魔法はあまり研究されなかったのだ。数が少ないせいで分類する必要がなかった訳だ。


「で、さっきから気になってんねんけど…………そのツガイ魔法って何?」


「詳しい内容については後回しだ」


 今のこいつらにに新しい概念を与えると、処理しきれない可能性が高い。

 この世界の魔法、特にツガイ魔法は色々と特殊だ。

 きっと与える衝撃も半端ではないだろう。よくよく注意して教えなければ。




 その後もあとからあとから湧いてくる疑問に逐一答えていき、落ち着いたところで今度は瀬奈たちのことを聞くことにした。

 俺のもと居た世界のことと、ここではない、さらに別の異世界のことを。


 次の更新日は未定です。

 きっちり解決したらご報告致します。。

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