幕間:とある黒幕達の会話
一時間前に一話更新しましたので、まだの方はどうぞ。
「――――やぁ。おはようございます。先に起きてたんですか?」
「ああ、彼の覚醒の方が先だったからね。それよりも久しぶり…………いや、君に対しては『はじめまして』と言ったほうがいいのかな?」
「何とでも好きに言ってくださって結構ですよ」
「じゃあはじめまして、かな」
「はい、はじめまして。――――ようやく、幕が上がりましたね」
「そうだね。役者がようやく舞台に揃ったんだ。これ以上待たされても困るしね。…………ボクも君もまだ不完全な存在だけど、こうして舞台袖に存在できている。
――――まだこれからだよ。ここから始まるんだ。この世界を巡る物語は」
「そうですね。これから面白くしていきましょうか。幸い、向こうの方で既に手駒を放って干渉し始めているみたいですし」
「そっちの方はどうしても動きが早いね。ボクはまだ表に干渉できないから、しばらくは見てるだけになりそうかな」
「こっちは出来るだけ働きたくはないんですがねー」
「そうは言ってもボクらが望む『最高の結末』の為には積極的に動くしかないだろう?」
「ええ、まぁそうなんですけれど……。彼には相当キツい仕打ちになるでしょうね」
「そんなものはいつか消えてなくなるさ。あまり気にやまないほうがいい」
「それもそうなんですが。件の彼も何やら世界に大して働きかけようとしてるみたいですね」
「なんだったっけあのタンカは……ええと……英雄になってやる、だったかな?今は自分で正反対の方向に向かおうとしているのには気付いてないのかな?」
「自分でも気づいてるみたいですよ。この世界ではただ力があるだけではダメですですからね」
「『英雄』になるには功績によって他者に認められて初めてその名を獲得する…………なんとも面倒な話だね」
「人は人との関わりの中にあって初めて『人間』なのですよ。その関わりを心の奥底で拒否するトラウマを抱えた彼が、英雄の呼び名を手に入れるのが困難なのはそうおかしいことではありませんよ」
「いくら『死』というアドバンテージが有ったとしても?」
「そんなものはただの道具に過ぎないですよ。…………あなたにとってもね。
…………さて。こちらもこちらで準備しなくちゃいけないことがあるんで、また後でお会いしましょうか」
「そうだね。それじゃまた今度」
「では」
「――――……行ったか。君が何を考えていようと、あるいは彼が何をしようと、絶対に思い通りになんかさせてやるものか。
誰にも邪魔なんかさせやしない。
もうボクは誰の指図も受けないでこの世界で生きてやる――――
――――これはボクが紡ぐ彼の物語なのだから、ね」
仕事のほうがひと段落したので、これからは安定して更新できる…………はずです。
え?大丈夫だよね?いきなり呼び出しとかないよね……?
信じてますからね、課長…………!