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Tarot Quest  作者: KINSYO
2/21

開始

ゲームの世界に突入です!

誤字、脱字、感想等是非是非お伝えください。

それではどうぞお楽しみください!

刹那の間意識がさまよう。

光真が次に目を開けるとそこは住み慣れた光真の部屋ではなく、多くの人で賑わう古風な繁華街であった。

このゲームの舞台は中世ヨーロッパであり、現在光真がいる都市はフランスのパリである。パリはこのゲームの中でもなかなかプレイヤーの交流が多い都市であるため、ここをログインポイントにするプレイヤーも多い。

このゲームはタロットカードが題材にされており、プレイヤー一人一人にフォーカスオンバーチャルを通して深層心理を割り出し、大アルカナが設定される。

そしてその大アルカナによって基礎能力値が決まってくる。

一つ一つ説明していくとこうなる。


『愚者』ーースピード、技術が猛烈に高いが、それ以外のすべての能力がかなり低

い。

『魔術師』ーー魔法攻撃、魔法防御、魔力がかなり高いが、体力、攻撃、防御がか

なり低い。

『女教皇』ーー魔法攻撃がかなり高いが、攻撃の値が低い。

『女帝』ーー攻撃、防御がかなり高いが、魔法攻撃、魔法防御がやや低い。

『皇帝』ーー『女帝』の男性版。

『教皇』ーー『女教皇』の男性版。

『恋人』ーー魔力が高く、回復魔法を使えるが、体力が低い。

『戦車』ーー体力、攻撃、防御が高いが、魔法攻撃、魔法防御、技術が低い。

『力』ーー攻撃、魔法攻撃が高いが、防御、魔法防御が低い。

『隠者』ーー技術が高いが、スピードが低い。

『運命の輪』ーー魔力が高く、補助魔法を使えるが、体力が低い。

『正義』ーー攻撃、防御、魔法攻撃、魔法防御がやや高いが、技術が低い。

『吊るされた男』ーー攻撃、防御、魔法攻撃、魔法防御がかなり高いが、スピードがかなり低い。

『死神』ーー攻撃、魔法攻撃、スピードがが猛烈に高い。

『節制』ーー体力、魔力が高いが、スピードが低い。

『悪魔』ーー魔法攻撃、スピードが高いが、防御、魔法防御が低い。

『塔』ーー体力、防御、魔法防御がかなり高いが、攻撃、魔法攻撃が低い。

『星』ーー攻撃、スピードが高いが、防御、魔法防御がやや低い。

『月』ーー魔力がかなり高い。

『太陽』ーー体力がかなり高い。

『審判』ーー体力、防御、魔法防御が猛烈に高い。

『世界』ーーすべての能力が高い。


このゲームでは主に物理攻撃と魔法攻撃があり、前者に対応するのが攻撃と防御であり、後者に対応するのが魔法攻撃と魔法防御である。

体力は文字通りHPのことであり、魔力はMPにあたる。

技術とはアイテムを使うのに必要な数値であり、技術が低いと高度なアイテムは使うことができない。

みたいな感じだ。


光真はパリの街の中心部から少し離れた所にある、この世界での知り合いの元に向かっているところだ。

このゲームはある意味においてはとてもリアルに作られている。

例えば食事を取らないと餓死してしまうし、睡眠を取らないと能力が著しく下がってしまう、といったように。

さらに特筆すべき点はアバターが現実そのままに再現されることだ。

つまりは自らをそのまま育てることができるというわけである。

個人情報の観点から考えれば、非常に危険な話ではあるがその点は運営側もいろいろと対策を凝らしているようだ。

それらのがこのゲームの好まれる部分であり、プレイヤーも常時20万人ほどログインしているほどの盛況ぶりだ。

パリの街ではプレイヤーが様々な装備をして歩いている。

騎士、魔法使い、侍、メイド、巫女など、なんでもござれといった状態だ。

ちなみに光真はフードのついた青いローブを着ていて、現実世界なら職務質問間違いなしの格好でパリを歩いている。

しばらく歩いていくと、前方に高い尖塔アーチを持ち、大きなステンドグラスがはめ込まれた、ゴシック様式で建てられた聖堂がある。

その入り口の壁に自分の背を預けて足を組んでいる女性が見える。

光真は急ぎ足で女性の所まで行くと、やや頭を下げつつ話し掛ける。

「すいません、待たせてしまいましたか?」

すると女性はその声に反応して視線を上げて、光真を認めると優しく微笑む。

「いや待ってなどいないよ。それより来てくれてありがとう」

そう答える女性の名前は小雀雪菜こじゃくゆきな。ハンドルネームは”YUKI”と言い、”Light"に勝るとも劣らない程の有名なゲーマーの一人だ。

とは言え、光真と雪菜はこのゲームではその名前を使用していないため他のプレイヤーに気づかれることはないだろう。

雪菜は腰の所までしなやかに伸びた黒髪、漆黒の瞳それとは対照的な純白の肌をしていて、美人であることは間違いない。

「どうした?」

雪菜が首を傾げてその瞳に光真を捉える。

「えっ……あっ、いや、つい見惚れてしまって……」

光真の一言で二人の間に微妙な空気が流れる。

流石にいきなり面と向かってこのセリフはなかったと、光真は頭を抱える。

対する雪菜の方も何らかしらの脳内活動が行われているようで、こちらを目で捉えていても感情のベクトルはこちらに向いていない。

「ごほん、とりあえずモスクワに行こう」

「行けるわけないでしょう!何キロあると思ってんですか⁉」

どうやら雪菜は動揺しまくっているらしかった。

このゲームでは現実時間と流れる時間は同じなので、モスクワまで行っていたら現実世界で二人の体が餓死した状態で発見されるだろう。

光真もなかなかのゲーマーではあるが、「俺、ゲームで死んでも本望なんだ……」と言えるほどの覚悟は持ち合わせていない。

「失敬、とりあえず南の草原にでも繰り出してレベルを上げないか?」

雪菜はブンブンと首を降ったあと、パンパンと顔をはたいて気を取り直して言う。

確かにレベルはどこまで上げても損がないし、二人だと効率もいい。

光真は雪菜の提案を受け入れて、準備を整えるとパリの街から外へと歩を進めた。


このゲームではオブジェクト式にモンスターが配置されており、それらを倒すことによって小アルカナをモチーフにした四種類のカードが手に入る。

ワンドは経験値を示し、戦闘で死んでしまうとこれが減ってしまう。

また、レベルを上げるにも必要なカードである。

ソードは装備の強化の経費としてに必要になるカードである。

聖杯カップはそのモンスターのマテリアルを示しており、これも装備の強化の為には必要なカードである。

硬貨コインはその名の通りゲーム内での通貨となる。

それぞれ一から十四までの数値があり、ワンドであればより多くの経験値となり、ソードではより強い装備品の強化の為に必要となり、聖杯カップではより希少価値の高いマテリアルになり、硬貨コインであればより多くの通貨が手に入る、という仕組みだ。

「この草原ならゴブリン系や狼系がよく出てくる所ですよね」

光真が横で自分の剣を布で拭っている雪菜に声をかける。

「ああそうだな。まあここでは大した敵も出まいよ」

そう言いながら、飾り気のない武骨な剣を鞘に収める。

雪菜のアルカナは『女帝』だ。『女帝』は魔法にはやや弱いものの、物理的な攻撃に秀でていて、魔法攻撃を使う敵があまり出現しない草原では無類の強さを誇る。

「そう言えば、君のアルカナは何なんだ?」

雪菜に興味を持った目で聞かれて光真は返答に窮する。

光真のアルカナはこのゲームではまだ公式には姿を表していない『愚者』であったからだ。

「どうした?モンスターを相手にする時の為にも一応聞いておきたいのだが……」

「『愚者』です……」

光真がほとんど聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟くように言う。

しかし、雪菜は中々耳が良くどうやら聞こえたようで、腹を抱えてゲラゲラと笑い出す。

「そうか、『愚者』だったのか。ハッハッハッハッハ!天下の”Light”様がまさかそれだとはな。 」

雪菜にそのように笑われて、光真は穴があったら入りたい心持ちだった。

光真が落ち込んでいることを察したのか、雪菜は慌てて慰めの言葉を発する。

「すまん、すまん、まあ君のゲームの腕は物凄いからいいハンデだろう」

「そう思うなら、まずその笑いを止めてくださいよ」

光真がややドスを聞かせた声でたしなめると、ようやく雪菜は笑いを止めて、真剣な声で呟く。

「そろそろモンスターが出現するエリアに入ったぞ。身構えてくれ」

「いえ、もうお待ちかねですよ」

光真の視線の先にはグリーンゴブリンが三体見える。グリーンゴブリンの顔は不気味で、顔面崩壊していると言っても差し支えないほどだ。手に下げている不格好な棍棒や粗末な腰蓑が野生の度合いを増している。

それを合図に雪菜は先ほどの剣を鞘から抜き放つ。

「よし、行くぞ!」

雪菜がその場から飛ぶように駆けて、グリーンゴブリンの内の一体に斬りつける。

『女帝』のアルカナを冠するだけあって威力が段違いであり、やすやすとファーストヒットで一体を仕留めた。

光真も数瞬雪菜に遅れて飛び出して、手に持った短剣で一番手前にいたグリーンゴブリンの肩に斬りつけるも、『愚者』は伊達ではなくかなり威力が低い。敵が少し怯むくらいで有効打とはならない。

敵の反撃を唯一の得意分野であるスピードをもって振り下ろされる棍棒をかわしつつ、胴に数撃入れるとようやく、ゴブリンが前のめりになって倒れる。

隣では雪菜が残った一体を頭から真っ二つに両断していた。

その様子はなかなかグロテスクだったが、死体はすぐに透明になって消え、代わりに四枚のカードが飛び出す。

「一のワンドが二枚に、一の硬貨コインが二枚か。全くしけてるな」

雪菜がつまらなさそうに呟きながら、それらをすべて拾い集める。

雪菜の格好はシャツに胸当て、ショートパンツという動きやすさを重視した格好の為、拾っているのを後ろから見ると丸みを帯びたヒップが無防備に見えてしまう。

「色即是空、空即是色……」

光真はすぐに明後日の方向を見て念仏を唱えていると、肩をポンポンと叩かれる。

「何をしてるんだ?それよりこれ。」

雪菜は光真に二枚のカードを突きつける。

「折半でいいんですか?俺は一匹しか倒してませんよ」

「いいんだ。倒した分だけなら、協力する意味はないだろう?」

雪菜はキッパリと言い切り、意思の強さを窺わせる荘重な顔をしている。

「……わかりました。ありがたく頂いておきます」

そう言いながら、光真は差し出された二枚のカードを受け取る。

雪菜はニッコリと笑顔を浮かべると、直ぐに言葉を継ぐ。

「今日の内にたくさん敵を倒しておくか」

「ええ、頑張りましょう」

その後も光真と雪菜は夕日によって赤みを帯びた草原で敵を倒し続けた。


< kou> レベル1 体力:12 魔力:5 攻撃:8 防御:7 魔法攻撃:7 魔法防御: 7

スピード:41 技術:38

<sparrow> レベル1 体力:24 魔力:16 攻撃:29 防御:27 魔法攻撃:11 魔法防御:13

スピード:17 技術15


「流石に疲れましたね……」

「そうだな……張り切りすぎたか」

二人は長い間戦った後、再びパリに戻りバーのような所で腹を満たしていた。

光真は普段ご飯派であるが、フランスパンにバターをつけて食べるて見るとなかなか美味しいことがわかった。

このゲームでは味覚まで再現されている為、現実とは現実とは異なった食事を楽しむこともできるのも人気の一つだったりする。

「そう言えば、今日の十二時にアップデートを行うらしい」

雪菜がスープを音を立てずに飲みながら話す。

その言葉に光真は眉をひそめて言葉を返す。

「アップデート?始まって二日でもう何かあったんですか?」

「わからない……もし都合がいいなら今日の夜来てみてはどうだ?」

「わかりました。来てみることにします……」

不意に光真の一言がそこで途切れる。パンを持つ手もガタガタと震えている。

「あのすいません……今何時ですか?」

「今か?七時半って所だな」

ゲーム内でも用いることのできるフォーカスオンバーチャルの画面を開いて告げる。

「すいません!一旦ログアウトします!また後で!」

言い終わらない内に光真はフォーカスオンバーチャルを操作してログアウトする。

「何だったんだ?」

一人取り残された雪菜であった。



稚拙な部分はありますが、おつきあいいただいてありがとうございました。

次もお楽しみにしてください!

あらすじまでが遠い……

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