異伝 地下迷宮竜宮の姫君 その三
「どうか、どうか、お願いします!」
「私達一生懸命おつかえいたしますので!」
「お姫様、お姫様、お姫様!」
サクラに撫で回されてとろけている一人(一匹?)以外が━━人ならばを額を突けとなるのだろうが如何せん顔付きが違い━━額でなく鼻を床につけて懇願する。
「ほ、ほぇ!?」
現実逃避気味に崩れた表情で熱心に着ぐるみではないかとチャックを探していたサクラは、機をうかがっていたナイアールから鋭い視線で促された犬人らにこんな悲鳴をあげさせられたのだった。
時間は冒頭より少し戻る。
男装の麗人ナイアールがサクラへの面談にと連れて来たコボルト達は説得要員だ。彼女がDMとして采配を振るわなければ、この地下迷宮は消滅してしまう。
この地下迷宮の保護期間は約168時間と余りにも短すぎた。そしてサクラ召喚から既に約137時間も過ぎている。
守護魔物や立地等の選別、その他諸々を考えれば己単独では迅速な説得は不可能。ナイアは今少し余裕があればと臍を噛む。
DM召喚前制作祝儀として生産部屋に付属しているコボルトらと合わせ憐情をわかせる算段だ。なるべくサクラに受けが良さそうな個体を選別、農作業の汚れもおとさせ演技や台詞も叩き込み済みである。
コボルトによる説得はあまり期待していない。サクラが少しでも憐憫を抱いてくれれば良い、そうなればコボルト達を痛めつけて彼女を脅す。
他者をあやめるのを殊更に忌避するサクラならば、有効な策だろうとナイアは見積もっている。
もしコボルトがサクラの胸に響かないならば、一匹か二匹ばかり目の前で虐殺すれば心も折れるだろう。
実行すればサクラから不興を買うのは間違いない。信頼関係も崩壊し、策が成功し地下迷宮存続となれどもナイアは運営から除外されるのが想像に易い。
それでもサクラの生存、ひいては地下迷宮存続と引き換えならば、後々排除されたとしてもナイアは構わない覚悟である。
尤もナイアとしてもなるべくならば嫌われたくはなく、これから先もこのDMの手助けをしていきたい。コボルトらの説得でサクラがDMとして君臨する事を納得してくれるのを祈るばかりである。
遠目では着ぐるみかどうか判別できず。サクラはよく見れば土下座というか伏せをしていた犬人間ぽい生き物をすぐ近くまで呼び寄せる。
当初は自分が出向こうとしたのだが、ナイアールから体調不良を理由に制止されたので仕方なくコボルト達を呼ぶことに。
弱肉強食が基本である魔物のなかでコボルトは問答無用の最下層、他の魔物達からは労働力兼非常食扱いされている。
そういう訳で奴隷根性が骨の髄まで染み込んでいるコボルトだが魔物であるのは違いない。
サクラは実年齢より幼く見え、そして見た目通りの力しか持たず。せめて成人、あるいは男だったのならば反逆を心配する事もなかった。
しかもコボルト達の仕込み時に、説得を失敗すれば殺すと脅してある。そのうえ断食でサクラは弱まっているのだからコボルトが牙をむく可能性もおおいに有り得る。
サクラに気取られない様、何かあれば何時でもわって入れる位置に身を置くナイア。
迷宮の運営・管理を手助けするナイアの様な先導者は基本的に戦闘力が低い。流石にコボルトよりは上だが、複数が相手だと自衛が限界である。
しかしサクラの元へと近づくコボルトを映すナイアの瞳には命懸けで守る、相打ち覚悟で討つ等の意思は宿っていない。どのような事態でもコボルトごときに遅れはとらぬとばかりの自然体だった。
尤もコボルト達はナイアに散々脅されていたので従順にサクラに従っている。
間近で観察したコボルト達に着ぐるみの様な不自然な所は見当たらない。
(おかしいよ、こんなの絶対おかしいよ!)胸内で否定するサクラ。だがナイアの話は本当だったと理性では納得していた。感情が必死に現実を拒んでいる。
「え、えっと……、あの、すみません! さわっても良いですか!?」
「は、はひぃ!」
コボルトから了解を得たサクラは最後の抵抗とばかりに着ぐるみならばあるはずのチャックを探す。
目付きや人ではありえない長い鼻や鼻先、頬の上から触れ、咥内を覗き確かめた牙付き。
着ぐるみではありえない確かな現実にサクラは涙目になる。
(きっとある、きっと、絶対、きっと)認めてしまえば帰れない。
(そうだよ、チャック、チャックがあれば……)胃が締め付けられるような思いを感じながらサクラは必死で探す。
最初は慎重に手探りしていたのだが、おとなしくというより固まっていたコボルトから力が抜け彼女の繊細な探索に「クゥ~ン」と甘えた声が漏れる。
そんな可愛らしい反応に骨抜きとなったサクラは、コボルトをベッドに引きずり込む。
解ってますよね、そんなナイアからの圧力にコボルト(妻女で妊婦)は悲壮な覚悟を秘め覚束ない物腰でサクラに身を委ねる。
頭部から背中、尻尾のつけねラインを上から下へと繊細な手つきで撫で下ろす。緊張からかベッドの上で固まっているコボルトに気遣いながらサクラはチャックを探すものの当然見当たらず。
彼女も触れた時点でコボルトがぬいぐるみや着ぐるみでなく生きている存在だと解ってはいた。それでも一抹の可能性に賭けて確認したのだった。
自分を偽るのも無理になったサクラは、無意識的にコボルトを撫でまわしながら心の中で自問自答する。
(この子達は本物で魔物だとすると、ナイアールさんの言ってた事に嘘はないんだ)
腹部に手を伸ばそうとするとコボルトが固くなった。そんな緊張感を感じたサクラは行き先を顎の下に切り替えた。
(うにゃ♪ ここがいいのかな? 力加減はこれぐらいかな? それともこんなかな?)
背後から抱き抱える様にチャックを探していたサクラは、コボルトの緊張感を解く為に右手で顎下、左手で肩から腕のラインを確認する。
召喚から続く重度の精神的疲労に加え、断食で弱ったサクラは結論の見えた考察を拒否した。そして現実逃避とばかりにコボルトを撫で回す行為に耽溺するのだった。
そんなサクラを見守っていたナイアは内心で安堵の息を吐いた。召喚されてから硬い面持ちしか浮かべていなかった彼女が慈愛あふれる微笑みを漂わしている。瞳から生気が消え失せてはいたが。
それでも泣き顔よりも空元気だろうが虚勢だろうが前向きな表情をしたのだから。
引き上げられたコボルトが、どのように扱われるかと固唾をのんで見入っていた他のコボルト達。サクラが自分達を無下に扱わない様子に小声で会話する。
「優しそうな主人で良かった」
「癇に障ると暴力を振るわれそうにもないね」
「……ごくっ(あぁ、そこをそんなにも繊細に接触されたら)」
「クゥ~ン、キャンッ!!」
「エヘヘ、可愛いね! ここが良いんだねぇ、よしよしよし!」
コボルト達は表情を緩めたサクラに構われ甘い声をあげたり、その様相に自分達の未来は明るそうだと胸をなでおろした。
姫様がDMとして統御なされなければ泡沫の泡ですよ、楽観的なコボルト達の居ずまいを冷めた視線で眺めナイアは内心で呟く。これからが正念場である、サクラに気付かれないようにコボルトらを促す。
こうして冒頭へと繋がるのだった。
コボルト達の切願に撫で回していた手が止まり、サクラは顔を歪め下を向き視線を合わさないようにする。綴るように撫で回していたコボルトを抱きしめ唇をかむ。その身が微かに震えているのを抱きしめられているコボルト、細やかにサクラの内心を読み解こうと観覧していたナイアの両名だけが気付いた。
「姫様、頑張って畑の世話をします。きっと、きっと、えぇと、あれ? んっと、あのぅ、頑張ります!」
「私、山羊の乳汁搾るの得意だよ! みんな美味しいよ! あ! お姫様は牛の方が好き? あてし、牛のおっぱい搾るのも得意だよ! で、でもね、牛のミルクはね、苦手なんだ! いっぱい飲んだらね、お腹が……」
「話が逸れてるよ! あの、お姫様、この子が言いたいのは家畜の世話を頑張って、美味しい物をお届けしますって事で! あ、いえ、もちろん私も仕事を頑張ります! 踊れと言われれば踊ります! 歌えと言われれば歌います! 息を吸うなと言われれば……えと、死んじゃいますから許してください!」
なるべくナイアに指導された通りに話したコボルトらが息を潜めてサクラの反応を待つ。ナイアから叩き込んだ台詞からだいぶ短くなっていたり、独自の工夫が見受けられていたが。
騒々しい訴えを終えたコボルト達が返事を待つもののサクラは固まったまま反応を示さず。不安げに互いの顔を見合せた後、己達では何も出来ないと助けを求めナイアに視線を飛ばす。が、速攻で床に顔を落とした。コボルトらがナニを見たのかは謎であるが、身体を打ち震わせ歯が合わない。
ごめんなさい、無理です。サクラは何度もこの言葉を口に出そうとするも、可愛らしいコボルト達がどう思うかと考えてしまい話せずにいる。一見人間にしか見えなかったナイアだけだったのならば、異世界やら魔法という非現実的な説明も虚言だと言い張れた。
そんなサクラの腕の中には、ここが住み慣れた現実ではなく非現実だという生き証人が存在する。それ故、これから先をもう一度自問自答して出した答えは同じだった。
他者の生命を奪って生きるよりもここで終わろう。自分独りが死んだだけでも両親や兄といった家族、学校の友人達と多くの人が悲しむ。己の命欲しさに見知らぬ他人を犠牲とする事をよしとせず、悲しみの連鎖を我が身で断ち切らんとする清純な乙女の決意だ。
ナイアの言に偽りがないのならば、終りはもう寸前である。サクラはそう思うと恐怖に震え涙があふれる。
兄や母親、父親を想い、先立つ不幸を詫び、何故に自分がこんなめにあわねばと呪い、もっと生きていたかったと泣きながら最後を迎えるのだろう。
でも、きっと誇らしく往ける。僅か十四歳の少女とは思えぬ自制心の発露だ。
にも関わらずコボルト、ひいてはナイアに告げるのを躊躇しているのは迷いが出たからだ。
可愛らしいコボルト(モフモフ)に嫌われたくない、そして自分の巻き添えにして良いのかと。
サクラが内面で熟慮している為、部屋の中に重苦しい空気に包まれていた。
そんな居心地が悪い空間でコボルト達は打震え縮こまり胸中、どうか姫様が快諾してくださいますようにと祈っている。
(黙っていないで押しなさい、そのまま座していると姫様の結論は変わりませんよ!)ナイアは口を噤むコボルトらに鋭い視線で、はやく口を開き説けと圧力をかけていた。このまま何もせずサクラ独りに熟慮させていたのならば、DMとなり地下迷宮を切り盛りする事を拒絶するのが目に見えている。
ナイアの説得にサクラは拒否や反論、果てに籠城までして聞く耳を持たなかった。だが、コボルトらにはそういう素振りはみられず。泣き叫び拒絶され、終いにはトイレに逃げ込まれたナイアからすれば、喉から手が出るほどに欲しい立場だ。
ナイアは当初の計画を破棄、サクラに受けが良いコボルトを煽動する。
「さ、挨拶はもう済んだでしょう。あと僅かばかりですが持ち場へ戻り、友や夫と最後の時を穏やかに過ごしなさい」
ナイアが口にしたこの台詞で、部屋に居た者達が一斉に驚愕した表情で彼女を見る。
「ふんぎゃー! 死ぬのは嫌でしゅうぅ!」
「あ、い、う、え、おぉ!?」
「ほぇ?」
『口説き落とすのに失敗すれば殺します。いずれにしろ姫様を説得出来なければ地下迷宮ごと消滅するのですから問題ないでしょう』こう言い聞かせられていたコボルト達は、奇声をあげたり卒倒したりと大混乱。
召喚されてから今まで絶えず君臨を説いていたナイアの変節に目を白黒させる。サクラは思わず彼女の端正な顔を見詰める。
悲哀と諦念が入り混じった表情と声色を作り、頭を左右に振りながら告げるた。
「姫様の御前で騒々しい、落ち着きなさい。 貴女達の話しを聞かれれば思し召しを再考願えるかと思いましたが……」
思わず漏れた、そう見えるように溜息をつく
「これ以上は姫様に水はささず、栄えある臣下として奉じましょう」
重々しく、それでも誇らしげに、サクラの意思と決断を尊ぶ忠臣の如く演じる。このままでは好感度的にコボルトが側近として重用され兼ねないので露骨な貴女の味方宣伝だ。
サクラがDMに就任しなければ何もかも消え去るのだから無意味にも思えるが、ナイアは何が何でも彼女を押し上げるのだから後々の為に手を打つのは当然である。
「おねがびじまず、ひべぜまぁ、いやばぁ、まだじにたくなぁいぃぃ!!」
涙と鼻水と涎を撒き散らし、ベッドのシーツを引っ張り訴える者。
「あ、あてし、あてし……。頑張るよ! 何すればいいかわかんないけど、おしめしゃまが出来るように頑張るよ! だからね、あのね、何ていっていいかわかんないけど、頑張るよ!」
「この娘が何を言っているか解りませんけど、多分お姫様に良く仕えるとかだと思います!」
「あてしね、お腹すくけどがまんするよ。あてしの分、おしめしゃまが食べるといいよ! だからね、あのね、頑張るよ!」
「え、と、はい。 お姫様が嫌だと言うのは十分に食べられないから、だから自分のご飯を一日二食から一食にしてお腹いっぱい食べて欲しいと。 その、多分」
二匹で説得してるのか漫才しているのか判断が難しいのが一組。
「この娘は私達でも中々居ない、馬……頭が少し弱いですが、一番の働き者です。 他の者の倍は働きます! 後から私がだいぶぶ……少し手直ししますが! えっと、でもこの娘の食事風景は見ていて癒されるんです!」
話の内容は支離滅裂で常人では理解出来ないものだったが、サクラに忠勤を励むので何とぞDMになって欲しいとの嘆願だった。
コボルト程度、物理的に黙らせて部屋から叩き出す事など造作もない。が、表面的には「控えなさい」「分を弁えなさい」と窘めているものの本気で止める積もりはない。むしろ、サクラにばれないよう煽っている。
シーツを握り締めているコボルトを「姫様、申し訳ありません。すぐ離しますので」こう言いつつ、腰を掴みコボルトの耳元で「手がもげようがシーツを掴んでおけ」と囁いて引き離しにかかるのだ。
「ひでぇざまぁたじげでぇ、じにたくにゃびぃいぃ!」
「ほら、手を放しなさい! 姫様が地下迷宮を放棄するとなされたのですから運命を受け入れなさい」
この時の『死にたくない』は、このままだとナイアールに殺されるという意味である。サクラにコボルトへの憐憫を深めさせるために、ナイアは腰を掴んだ手で皮膚を突き破る直前まで爪を食い込ませて泣き叫ばさせていた。
理路整然とした論弁では説き伏せれなかった。なら後は泣き縋って情に訴えるしかない。サクラが召喚されてから、彼女をずっと世話してきたナイアはこう結論ずけている。コボルトと顔を合わせるまで、サクラから虚言か妄言を口にしていると思われていた。それ故に言動に不信感を抱かれていたからである。
今この時ならばナイアもサクラを説伏出来る可能性は高まっていた。まだ顔を会わせて数日しかたっていなく、また論戦で激しく口論していてサクラの人格を把握仕切れていない障害である。
それ故、感性が魔物よりのナイアでは、食料生産の労働力としての価値しかないコボルトに説得を命令したのだ。
知識としてDM、特にサクラの様な女体・少女型はコボルトや猫人を好み寵愛すると。
半ば賭けであったがナイアの思惑通りに、自分では拒絶しかなかった説得に反論もなく耳をかたむけている。
(地下迷宮管理機構が不具合を重ねなければ、姫様の好感を得るのも容易かっただろうに)コボルトを諌めているようで煽りながらナイアは胸中で呟く。
基本的にナイアールのようなシステムが用意した先導者や助言者は、召喚者に受け入れられ易い様に外見や性格が調整される。全てのDM候補生に支度される訳ではなく、候補生の性質が地下迷宮統括に不向きな時に付けられるのだ。友情でも愛情でも憎悪でも恐怖でも何かしらの人間関係を築く事で、素養に事欠く召喚者に動機付けるのも役割である。
これまでにもサクラの様な博愛主義ともいえる候補生が呼び出されたり、信仰的に殺生を完全拒否したりという者もいた。
それらの失敗例を教訓とし、次回から似たような存在を召喚候補から除外する修正があてられているはず。故に、本来ならばサクラはDM候補生として召喚されるはずがなかったのだ。
(もしかすれば、姫様はまだ年若く精神的に未熟だと判断され、私で籠絡可能と召喚されたのかもしれませんね)コボルト達の哀願を否定出来ず、苦渋の表情を浮かべるサクラ。
ナイアは彼女を観察しつつ頷かせる為に良い策はないかと、召喚者周りの事項を思い浮かべていた。
「姫様、よろしいですか?」
今までサクラに撫で回されたり、抱きしめられて発言のなかった彼女の腕の中にいたコボルトが口を開いた。
「へぇ? あ!? す、すいません!」
慌てて拘束を解き、少し離れたサクラは正座する。それに釣られ抱かれていたコボルトもまた正座になり、互いの膝がつく距離で相対した。
「姫様、コボルト如きがとお笑いくださっても構いません。 どうか御慈悲をくだされませんか?」
それまで騒がしかった寝室に静寂が訪れる。
眉間にしわをよせて無言だが視線で続きを問うサクラにナイアは、コボルトへの「無礼者!」との叱責を飲み込む。
「矮小たる身では、姫様が何故至尊の座にお付きになるのを嫌がられるのかは解りません。されど姫様が君臨なさらなければ我等は生きていけぬのです」
そしてコボルトは己の腹を優しく撫でながら続ける。
「此処に赤子がおります。御慈悲を頂ければ、この子らにも良く言い聞かせて親子揃って忠勤に励みます」
「ふぁ!? 赤ちゃんが……」
「はい。どうか我らコボルトに未来を! この子達に未来を……」
まるまるように土下座のような伏せ姿になると、泣きながら「どうか、どうか」と繰り返す。
ナイアにより泣き叫んでいた者も既に居たが、貰い泣きした他のコボルト達もひたすら「お願いします」と大合唱になる。
「解りました、なります、なりますから泣かないでぇ」
(この子達だけでも悩んでいたのに、赤ちゃんまで私にまきこめないよぅ)そう叫ぶとサクラもコボルト達に勝るとも劣らない号泣をあげた。
コボルトの大合唱にサクラも加わる。泣き声、というか叫び声のよう有様となる。
それらに独り冷静で成り行きを見守っていたナイアは言質を取れたのは良いが、これを単独でおさめなければいけない事と鼓膜の痛みで目の前が真っ青になるのだった。
「お父さん」を「おとおさん」とわざとルビを振っています。




