表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン作成記  作者: MS
第二章
59/102

番外編 ホムンクルス・エレナ

 ネームレスがあるじを勤める地下迷宮の内政面にて、フリーパスに近い権限を委譲されているホムンクルス――錬金術にて生命を与えられた人造人を指す――エレナのその日の目覚めは、創作されてから最も幸福なもの、愛しい主人ネームレスの腕の中でだった。

 昨夜の気が狂わんばかりの快楽に、まるで嵐の海で漂う小舟の様に翻弄されたエレナ。本来ならば己が奉仕し悦んで頂かねばならなかったのに、と気落ちするもネームレスが囁いた睦言を思い出すと思考が桃色に染まる。

 幼子が親に褒められた様な幸せそのものの笑顔を浮かべてエレナは、猫がマーキングする如くネームレスの胸板に頭を擦りつける。普段の凛とした佇まいからは想像し難い姿にネームレスは寝た振りを続けて観察する。

 エレナは気付いていないが、彼女が前後不覚になってから実は其れほど時間は過ぎていない。ネームレスがバスから湯を持ってきてタオルでエレナを清め、シーツを交換し下着とネグリジェを着せてから、バスで彼自身の処置を済ませて横になり、彼女を抱き枕にした時点でエレナは覚醒の兆しを表したのだ。

 目覚め掛けているエレナの仕事等への影響を配慮しての狸寝入りだ。ネームレスが起きていれば彼女は奉仕すると言い出すだろうが、これ以上の夜更かしは予定への影響が大きすぎるだろうと。

 これもまた調理や配膳を完全にエレナに任せていたネームレスの見落としである。地下迷宮で現在使用している魔具である冷蔵庫の性能が隔絶しており、二十日前に下拵えした食材でも腐敗どころか劣化もしない高性能。見掛けは現代の冷蔵庫その物だが、冷やして保存するのではなく、内部の時間を停止させての保存だからだ。

 なので、手間暇の掛かる掃除業務を住居精霊ブラウニーに委託可能になってからは、空いた時間を調理の下拵えやパン作りに力を注いでいたエレナは時間的な余裕がかなり有った。

 そういう訳で彼女はネームレスに胸を押し付け脚を絡めたり、と彼が寝入っていると思い込んでいるエレナはネームレスを起こさない様に注意しつつもじゃれ付くのだった。




 エレナは仕事に支障をきたす限界まで、ネームレスと床を共にし名残惜しみながら起床。寝室に入る前に用意しておいた着替えを手にバスでシャワーを浴びた。

 昨夜身に付けた下着とネグリジェは後で手洗いだ。深いスリットが入っていたりと繊細で洗濯機だと傷んでしまう為に。

 エレナはネームレスから夜伽を命じられてから続く上機嫌のまま、本日も仕事に向かう。その恩恵を受けて捕虜達に出される食事も品数が増えバリエーションも豊かになっていた。といっても押さえる所は押さえ増長しない様にとの注意は欠いていない。

 捕虜の少女も犬人コボルトも従順であるし収穫は品数も量も十分なので、エレナは夜伽の件がなくてもメニューは増やす予定だった。汗水流して畑を耕し、水を撒き、収穫した作物が一口も食べられないとなれば誰だって不満を感じるだろうと。

 いうなれば切っ掛け、理由を欲していたエレナに天恵的に訪れた夜伽という機会を最大限に活用したのだ。

 ネームレスの寝室に隣接するバスから食堂、応接室と抜けて農場部屋へと。誰も見ていないがエレナは背筋をピンと伸ばし、歩みは優雅に、ポニーテールにしても足首に届く美しい黒髪を靡かせて農場部屋に入る。

 農場部屋は疑似太陽は昇る寸前で、家畜の世話があるコボルト達が動き出したばかり。エレナが戻るのがもう少し遅かったならば、豚の餌係であるバーナード達を困らせていたかも知れない絶妙な時機での帰宅。機転の利くバーナードならば他の仕事に切り替えただろうが。


「おはようございます、エレナ様。今日は一段とお綺麗ですね」

「おはよう、バーナード。ふふっありがとう」


 エレナの姿を見つけたバーナードが駆け寄り、農場食堂の出入口のドアを開けてエスコートしながら挨拶する。コボルトの視点から見ても今日のエレナは内側からまぶしい程の輝きを放っていた。

 朝食は相変わらず麦粥が主食だが、鶏ガラに玉葱とニンニクにハーブで作った出汁に、じゃがいもと玉葱のスープが付いている。材料は勿論全て農場部屋産だ。

 一匹しか居ない豚だが既に妊娠しており出産し子供が母乳を必要としなくなれば絞められハムやベーコンに姿を変えてスープの具材やメニューを増やすだろうが、現状だと野菜尽くしだ。

 エレナが料理を仕込んでいると、ネブラが卵と牛乳、そしてチーズを持ってキッチンに入り込んで来た。


「先輩、おはよう。目が覚めたら居ないから、僕、寝坊したかと思ったよ」

「おはよう、ネブラ。それは、ごめんなさいね」


 挨拶の後、しばらくエレナに見惚れたネブラは頭を振って正気を戻し、冷蔵庫に食材を容れながら訪ねた。


「……先輩、今日は特に綺麗だけど何かあったのかい?」

「あら、ありがとう。うふふっ、ええ、とても素敵な事があったの」


 互いに作業の手は止めずに語り合う二人のホムンクルス。朗らかに「それは良かった」と返事をしながらネブラは、(やっぱり昨日の事は幻影とか勘違いだったんだよ。こんなに怖いぐらい機嫌の良い先輩が……)と心の中で呟き昨夜見た何かを記憶より消去する。

(だからきっとショーツが濡れていたのも気付かぬ内に水か何かをこぼしたのだ。だいたいホムンクルスはトイレの必要がないから失禁なんてするはずがない)、とネブラは昨夜の出来事を自分に納得させるのだった。



 ネブラの作業が終わればエレナと二人で表へ出て、女淫魔サキュバスヴォラーレや捕虜の少女達と合流して朝の体操となる。食堂から出た所で折よく農場部屋に入って来ていたヴォラーレと顔を合わせる。


「おはよう、ヴォラーレ」

「あ、おはよう、ヴォラーレさん」

「おはようございます、エレナ様、ネブラ」


 自然に穏やかで慈愛満ちた表情で挨拶するエレナ、気楽に声をかけるネブラ、固い表情で気を配りながら頭を下げるヴォラーレ。実に力関係が解る挨拶を交わす三人だった。



 朝の体操を終えた農場部屋の一行は朝食を摂りに食堂へ向かう。体操前から皆の視線を集めるエレナに捕虜の少女達が小声で「普段よりも」「すっごく」「きれいらょ」この様な会話が繰り広げられている。

 誰かが溢した「父と母が……」との言葉を皮切りに想像力溢れた少女らは顔を赤く染めて相手は誰だろうか、といった内容に変化していった。

 その様な会話は食事中も続き、食べる手が遅々としか進まないものの、普段ならそれとなく注意するエレナが外面だけは何時もより綺麗だが、頭の中がピンク色で何も言わず行動せず。ネブラはゆっくりな日があっても良いよね、と放置気味である。

 捕虜達のまとめ役であるチュヴァら年嵩の少女らも頬を染めて話に夢中であり、コボルト達は熱心なお喋りに気配りして気配と物音を控えて仕事に出た。最後の砦たるヴォラーレは内心で疑問の考察に気を取られて役に立ちそうにない。

 澄まし顔で惚けていたエレナだが、それでもネームレスが朝食を摂る時間に合わせて料理を完成させる為に、慌てず優雅にスキップしながら食堂から、農場部屋から出ていく。

 その後ろ姿に食事に時間をとられ過ぎたとネブラが「はやく食べて、お仕事するよ」とリーンの口癖が移った様な台詞で急かし、お喋りに夢中だった少女らも慌てて朝食を済ませ農作業に出るのだった。




 ネームレスの食事は農場部屋で出される物と一線を画す。食材もエレナが厳選した最上品ばかりであり、彼の細かい好みに合わせてエレナが持てる技術と知識を惜しみ無く奮った料理が美味しくないはずがない。

 給仕としてネームレスのそばに控えているエレナは、ついうっとりと彼を眺めてしまいそうな己を叱責して、ネームレスに気付かれぬ様に観察する。彼に相応しい優秀な従者を自任しているエレナはネームレスに質問を投げ掛け彼の手を煩わせる事など容認せず。

 口に運ぶ順番、極め細やかな表情の変化、噛む回数に飲み込むまでの所要時間……、全てを頭に叩き込む様は狂的ですらある。食事を終えたネームレスの気分を害しない時機で皿を下げ、食後のハーブティーを出す。

 料理とその仕上がりに感謝と感想をエレナに伝えるネームレスに、「恐縮です」と返して給仕として出過ぎない会話を繰り広げながら嗜好を探り情報を集める。ネームレスからの質問に疎まれない程度に丁寧に答え、彼の気分を推し量りハーブティーのおかわりや時に茶請けを出す。

 時と場合で杓子定義な対応でなく、臨機応変に対応を変え動くエレナ。失敗もあったが彼女の誠心誠意からの行動なので、ネームレスも特に何かしらの罰を与える事もない。

 ネームレスの意識的か無意識か、もうお茶は十分という時は、カップに残っている茶を一気に飲み干す。おかわりが欲しい時は心持ちエレナの近くにカップを置く。

 水を飲むときもこれによく似た癖があり、エレナはそれらを見ておかわりを用意したりカップを下げたりする。

 ネームレスが茶を飲み干すのを見て、テーブルに置いたカップを「お下げします」とキッチンに運び朝食時の洗い物と一緒に洗い出す。

 ネームレスが食堂に入って来てから朝食を摂り、食後のお茶を済ませ出ていくまで一夜を共にした男女の雰囲気等は微塵も醸し出す事はなかった。だが、ネームレスが食堂より去り、気配も遠ざかると「えへへ」とか「うふふ」やらと浮かれ捲りながら全身で喜びを表し、まるでミュージカルの様に踊りながら洗い物を済ませテーブルを拭く。

 そんなエレナの姿が某住居精霊により目撃されるも、中学生男子の奇行を見守る母親や己もあの年頃はそうだったと遠い目をする父親の如く、華麗にスルーされ「お仕事するよ!」といいかけた口の形で静かにドアを閉めて去るのだった。

 ネームレスの朝食の後片付けを終えたエレナは続けざまに洗濯に取り掛かる。昨夜入浴部屋で回収したネームレスの衣類を洗濯機で洗う。

 魔物で衣類が必要なエレナとネブラとヴォラーレの洗濯物の内、傷み易い下着類(昨夜エレナが身に付けたネグリジェも)は手洗い、作業服や侍女服はネームレスの洗濯物を乾燥機にかけている間に洗濯機へ。

 乾燥が終わった(手洗いした洗濯物は農場部屋で陰干し中)衣類は折り畳み、それぞれの部屋へと運ぶ。

 まずは立場が上である部屋が近いネームレスの寝室に向かう。衣類タンスに仕分けして仕舞うとベットに目が向き、昨夜の出来事が思い出される。

 エレナは頬を染め、瞳を閉じ、両手で自分を抱き締め、長いポニーテールを大きく左右に揺すり、いやんいやん、と身悶える。

 そんな彼女を執務室に居たネームレスがトイレにと寝室に入ってエレナを発見。ひどく優しい表情かおのまま無言で執務室に戻ると多少遠回りだが応接室を抜けてトイレを目指す。エレナの醜聞をそっと優しく忘れながら。

 エレナの愛しいあるじに奇行というか醜態を見られた事にも気付かずに彼女は、洗濯物をヴォラーレの部屋である農家部屋まで運び、住居にあるタンスに収納する。そして、ふと夜伽の心構えの教えを乞うて覚えた知識との齟齬を思い出す。

 ヴォラーレの教えでは初めての後は違和感や筋肉痛があるとの話だったが、エレナはそんなものは感じず。むしろ体調が良いぐらいだ。個人差もあるとの話だったので己は極めて軽いのだろう。

 独り納得すると農場部屋へと戻るエレナだった。


 農場部屋食堂キッチンにて朝食の後片付けをして、昼食用のパンを焼くエレナの元へ珍しく水精霊ウンディーネミールが訪れる。

 パンを焼きながらも調理するエレナは、この珍しい無口な訪問者に声をかけた。


「あら、ミール。どうしたの?」


 朝の挨拶は体操の時に済ませてあるので省略して。


「……綺麗、だね」


 そうエレナに何時もの無表情で伝えると返事も聞かずに出ていくミール。呆気にとられたエレナだが、食堂から出ていくミールの背中に


「ありがとう、ミール」


 何とか声を届けた。そして


「ミールが喋るのを初めて聞きました」


 と、しばらく呆気に捕らわれていたエレナだが、気を取り直し機嫌良く昼食作りに戻った。流石にここでは誰が何時来るか解らないので目立つ奇行はなかったが。

 ちなみに食事の必要がなく、捕虜も仕事になれ問題もないので監視から水撒きに復帰したミールは、夕食後の手伝い以外は食堂に入らない。それでも森妖精族エルフの少女や、チュヴァ達ミール村出身の少女らも名前にえにしを感じる、と意外と交流していたりする。



 普段よりも賑やかな昼食を終え、食器洗い等の後片付けを済ましネームレスの昼食作りへ。朝食と同じ様に給仕を勤め、食後のお茶を。そのお茶の時にエレナはネームレスから今まで有り得なかった程に優しい配慮に満ちた言葉をかけられ感涙を流さない様にするのが大変だった。

 ネームレスが食堂から出ていってからは狂乱乱舞を披露したが。もし目撃者がいたならばネームレスにエレナは重度の精神疾患にて用いる事は不可能、どうか御慈悲をと涙ながら訴えられただろうが幸運な事に誰にも見られなかった。

 

 狂乱から醒めたエレナは恥じ入り羞恥に赤くなってしまうが、無理矢理先程の痴態を頭から追いやり農場部屋へと戻る。彼女の名誉のため記するが、普段のエレナならこの様な奇行というか醜態というか痴態というか、何にせよ晒さない。

 ただ昨夜、ネームレスの夜伽を勤めてから頭の中がお花畑なだけだ。彼に相応しい従者で在らんとするエレナは、その高い意識によって自分を律しネームレスが理想とするメイド道を極めんとするストイックな修行者なのだ。多分。

 そのはずにしては、ネブラやヴォラーレにコボルトと被害者が多い様な気もするが恐らく気のせいだ。

 話が逸れた。

 エレナは農場部屋に戻ると午前中にネブラが絞めて血抜きしてある鶏四羽の解体作業に。煮えた熱湯をかけ、羽をむしり、出刃包丁他三種類の包丁を使いこなし、肉、内臓、骨と分けては冷蔵庫に。

 普通ならば卵を生まなくなった鶏から絞めるのだが、鶏小屋の孵化器も四つとなり成長も著しいので三日に一度、卵がヒヨコに孵ると数の調整も兼ねて食肉化される。

 エレナには鶏の検定は出来ないので、どの鶏を絞めるかはネブラに一任されており、その為にネブラは最古参で親友たる鶏を守り、肉質が柔らかいはずの若鶏から絞めていた。特に鶏を可愛がっているネブラに葛藤がない訳でもないが、そこは生産者として割りきっている。

 鶏を解体しない日は水車小屋で小麦粉を作ったり、麦酒や葡萄酒に林檎酒を仕込んだり、新メニュー開発に勤しんだりと仕事は多い。

 これらをこなした後に夕食を作り、後片付けをして、捕虜達を寝床小屋に戻すと見張りを枝悪魔インプに任せて、ネブラとヴォラーレと共にネームレスの元へ。報告内容は洗い物をしている間に受けている。

 ネームレスを交え報告会議だ。エレナが彼が留守だった昨日の分も合わせて報告する。疑問点はネームレスが質問しそれぞれが答えるが、大半はエレナの報告に「解った、ご苦労」で会議は終わり、ネブラとヴォラーレは自由行動に。

 エレナはネームレスの夕飯の支度に食堂に移る。夕飯が出来ればネームレスに伺いをたてにエレナは彼の元へ。昼間とは違い普段通りに食事をお茶を済ませるとネームレスは作業に戻り、エレナは後片付けだ。

 もしや今夜もと期待してしまった己を恥じ、これからも誠心誠意ネームレスに仕えて命じられる様に努力する事を決意するエレナ。そしてどうしても昨夜の事を思いだし暴走するポンコツメイドさん。

 本日最後の目撃者にして、ポンコツメイドにばっちり見つかる既に涙目のヴォラーレ。


わたくしは何も見てませんから――!」


 大声で宣言すると一心不乱に逃げ出すヴォラーレに非はない。エレナの様子に昨夜の夜伽で何らかの失敗があったのかと心配したヴォラーレは、自由時間になりエレナとネームレスの二人だけの時間を邪魔せぬ様に配慮して待っていたのだ。

 ヴォラーレらしく親切心からでなく、エレナに貸しを作る機会かとの計算や情報収集といった打算が主な理由だったが。

 ネームレスが食堂から立ち去ったのを確認、確りとノックまでして入室したのだ。ポンコツメイドは妄想で暴走でノック音を聞き逃していたが、これはポンコツメイドが悪い。

 途中で何故か廊下に居た小鬼ゴブリンフジャンをはね飛ばして自室である農家部屋の居住小屋へ駆け込む。荒い息でよろよろと寝室に向かうヴォラーレは途中でフジャンをはね飛ばした事に気付いてなかった。

 悪魔らしくなく弱味につけこんだ優位な交渉(悪魔的には普遍的には脅迫)するでもなく逃げ出した自分を誉めるヴォラーレ。あの状況で逃げの一手以外は確実に身を滅ぼしただろうから。

 居住小屋の出入口から追って来ない事にヴォラーレは安堵の溜め息を吐く、今日は入浴もまだだが改めて部屋を出る気力も沸かず。明日まで冷却期間をおけば大丈夫だろうと入浴は朝早くに済ませる事に決め寝室に入る。一気に疲労に襲われ早く寝て明日を迎えようと下を向いていたヴォラーレは何か柔らかいものにぶつかり止まる。


「……不覚でした。見られるなんて」


 全力で駆けて農家部屋に戻り居住小屋にヴォラーレが入った後はドアの開閉音、いや追撃の恐怖にドアを注視していたから断言出来るが誰も入って来ていない。

 恐る恐る顔を上げたヴォラーレが見たのは下から顔を覗いているはずなのに顔が見えないエレナだった。




 知らなかったのかい? エレナからは逃げられない。


 声無き絶叫を上げて意識を手放すヴォラーレだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ