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ダンジョン作成記  作者: MS
第二章
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二章第一話

 高く育った木々に遮られ日光が届かない森は昼間でも薄暗い。

 森に詳しい者が居れば、感嘆の声を上げ大地母神に感謝の祈りを捧げるであろう。

 少し探索するだけで、食用になる茸や野草に果実。

 傷に良い薬草や、腹を壊した時に噛むと収まる樹の葉……

 森の恵みに溢れし森林、大帝国ヌウとフルゥスターリ王国の国境に存在する未開拓地域。

 過去に森妖精エルフが治めていたとの伝説もあるが。

 三国の国境が隣接する地域の為、冷戦状態の五ヵ国同盟の一角ミュール王国、ヌイ帝国は動けない。

 それ故、両国と同盟を結んでいるフルゥスターリ王国が治安維持を請け負っていた。

 最も一季節ひときせつ、約九十日に一度、二十日程かけて交易路付近にある休憩施設の点検・補修が主であるが。


 此処でも彼の思惑が外れてしまったが、神ならぬ身だ致し方なかろう。

 

 アベローナ要塞都市とハランホェ要塞の凡そ中間地点、馬車や旅人が数えきれない程通り踏み固められた道。

 旅人や商隊は薪を拾い水を入手するために、森に程近い場所に野営地を作る。

 無論森は危険に溢れているので余り奥入りはしないが。

 比較的安全で水の入手が簡単な場所を野営地とし、後々国が休憩施設を作る。

 そこから森へ、人の歩みで約一日の距離に切り立った崖がある。

 その崖にぽっかりと洞窟が出現したのだった。 

 

 朝方に加え鬱蒼と茂った木々が、日を遮り辺りは暗い。

 そんな森の中を小鬼ゴブリン達が歩いている。

 木々が密集していて、小柄な小鬼達も難儀しながら探索を進めていた。

 小鬼は三体、皆まだ新しい鎧と手斧ハチェットを、いや背中に槍と盾も背負っている。

 小鬼達は洞窟周辺の調査と、交易路までの道作りを命じられていた。



 彼は人払い(魔物払い?)したダンジョンマスター室で、宝石椅子に座り物思いに耽っていた。

 遂に地上と繋がってしまった。

 いや、繋げた。

 相変わらずの自分の弱さに嫌気がさす。

 時間的な余裕はもう少しあったが、ラン以外の小鬼を創作、隠し扉設置、小鬼達の生活面の補助。

 残りポイントも僅かとなり、骸骨兵達が居る事もあり、打って出る事を決断。

 目を付けていた地区も設置可能だった事。

 最低限の地下迷宮完成も後押しとなり出入口を設置。

 ラン単独での初期調査で、生存を最優先と命じ、出入口付近の安全と何十年単位で人間や他種族の痕跡が無いとの報告に安堵した。

 同時に落胆もした、魔物の痕跡もないとも報告を受けたからだが。

 ラン以外の小鬼達に交易路までの道を作る様に、ランは他方面の探索を命じている。

 道を作るのは倒木だけ禁じたが、ある程度の情報露呈は諦めているがあからさまかつ、隠蔽等が厳しい切り株を残すのを嫌がったためだ。

 ふうっ、と溜め息を吐く。

 出来るなら、最初の殺害は魔物がいいのだが。

 覚悟はした積もりだが、なくした根源が人殺しに強い抵抗感を与える。

 これも弱さか?

 何の葛藤もなく、或いは嬉々として殺人に走るのが強さだろうか?

 頭を振って思考を変える。

 賽は投げられたのだ、もはや進むしかない。

 まぁまた悩むんだろうが。


 最初の簡単な調査で付近に魔物の群れや、大型の動物等は居ないだろうと考えられる。

 動物や魔物がこの付近をよく利用するのなら、あるべき獣道等を発見できなかった為。

 故に自力での道作りが必要になったのだが。

 道を作れば何者かの探索時、文字通り道案内になってしまうが、それは致し方ないと諦めている。

 勿論、発見を遅らせる為に隠蔽や擬装工作はするが。

 動物等も偶々この崖付近を利用してないだけで、少し離れれば何らかの痕跡等も発見出来るかも知れない。

 まずは洞窟、地下迷宮を中心とした地理の把握からだ。



 洞窟――地下迷宮入口――を入るとなだらかな下り坂で、暫く下りると少し大きめの広場につく。

 そこからさらに右に進める横穴があり、再び広場が。

 今度は左側に横穴があるが幅が狭く大人だと二人並んでは進めない。

 狭い道を抜けると大きな広場へ。

 ダンジョンマスターたる彼の言葉を借りれば、広場は小部屋で大きな広場は中部屋になる。

 大きめの広場には横穴が入って来た穴も含めて五ヵ所。

 入って来た穴から見て左側に二ヵ所、右側に一ヵ所、向かい側に一ヵ所となる。


 左側手前の横穴はすぐに小さめの広場に、奥側の壁から水が溢れている。

 これは彼が小鬼用の飲料水にとポイントを消費し創った水場だ。

 水精霊ウンディーネが活動出来る程の水量はないが、飲み水に不足する事はあるまい。

 隣の横穴もすぐに広場となり、藁で作られた寝床が四つある。

 小鬼達の寝床であり、数が増えたら拡張する予定だ。


 その向かい側の壁にある横穴は少し続き広場に。

 壁際の床に、底が見えない程の穴があるだけの広場。

 ホムンクルスやスケルトンと違い、小鬼は食ったり飲んだりするので出す為の場所が必要なのだ。

 ホムンクルスも味見程度の飲食は可能だが、基本的には必要ない。

 この穴もポイントで創った。


 入って来た穴の向かい側の横穴も狭い道になっており、方向感覚を狂わす、自然洞窟を装おう為にぐにゃぐにゃと曲がりくねって創られている。

 途中で道が別れていたりと彼の努力のあとが見えるが基本一本道だ。

 今は間違った別れ道先は行き止まりなだけだが、彼は新たな部屋等を創ろうと考えている。

 抜けた先はかなりの広さの広場――大部屋――がある。

 この部屋に横穴は三ヵ所、入って来た穴と左右の壁に一ヵ所ずつ。

 左右の横穴もすぐに広場があるだけの行き止まりだ。

 ダンジョンの心臓部に続く道は隠し扉にて巧妙に隠されている。


 これから先も拡張を続けていくが、現状の地下迷宮はこの様な構造だ。


 創作、カスタム使用ポイント110ポイント。

 残り使用可能ポイント42.5ポイント。

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