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【彼女の計画_短編】本編1部プロローグ/要約版 彼女の計画 ―職場の上司の裏アカウントを知ってしまった日から、私の“観察”は始まった―  作者: Taku


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第2話   彼女の計画 ―見えない影―

※本作は全9部作『彼女の計画』シリーズのプロローグ(導入短編)です。

 全3話で完結します。第2話をお読みいただく前に、第1話からどうぞ。


前回:「この人の弱みを、握った」――拓の裏アカウントを知った純は、

   静かに彼の「観察者」となった。


第2話では、もう一人の女・瞳の存在、そして

純も知らない「見えない影」が動き出します。

4. 疑念


先週のことだ。純からメールが来た。


「瞳さんが不倫してるみたいって噂、知ってます?」


拓はドキッとした。まさか、自分のことか。そう思った。


「俺じゃないよ」という意味を込めて、すぐに返信した。


「俺じゃないよ」


純からすぐに返事が来た。


「それは分かってる」


拓は混乱した。純は拓と瞳の関係を知っているのか。それとも、ただの噂話として、たまたま拓に言っただけなのか。


返信に迷っていると、純からもう一通。


「仕事帰り、男と一緒にいたらしいですよ。瞳さん」


拓はスマホを握りしめたまま、しばらく動けなかった。


---


5. ドタキャン


ドタキャンのことを思い出したのは、その夜だった。


数週間前、拓はXで知り合ったフォロワーと会う約束をしていた。十日ほどやりとりした相手だ。何度か会話を交わし、会うことになった。


その日は、もともと瞳と会う約束の日だった。でも瞳は「予定が入った」と言った。悶々とした気持ちが抑えられず、フォロワーと会うことにしたのだ。


しかし、当日、ドタキャンされた。

「ごめんなさい、行けなくなりました」


それっきり、相手からの連絡は途絶えた。


その時は、ただの偶然だと思った。相手の都合が合わなかっただけだと。


純のメールを受け取った今、あのドタキャンは何だったのか。あのフォロワーは誰だったのか。


考え始めると、止まらなくなった。


――もし、あのフォロワーが純だったら?


いや、ありえない。あのアカウントは、純に教える前にやりとりしていた。でも、もし純が、もっと前から俺のアカウントを知っていたら? もし、あの「偶然」のカフェでの相談も、仕組まれていたものだったら?


考えすぎだ。そう思いたい。でも、一度芽生えた疑念は、簡単には消えなかった。


その頃、純は自分の部屋で、別のスマホを手にしていた。そこには、もう使っていないアカウントがログインされていた。拓とやりとりした、あのアカウントだ。


「ばれていないよね」


彼女は呟いた。でも、その声に、罪悪感はなかった。ただ、かすかな興奮があるだけだった。


――彼は、私が誰か、知らない。でも、私は彼の全部を知っている。


その非対称な関係が、純にはたまらなく愛おしかった。


---


6. 新たな視線


今朝、Xを開くと、通知が届いていた。新しいアカウントから、いいねが一つ。


そのアカウントは、今日開設されたばかりだった。フォローもフォロワーもゼロ。投稿は数個あるが、どれも味気ない風景写真ばかり。特徴は何もない。ただ、そこに存在するだけ。


なぜ、この幽霊のようなアカウントが、俺の投稿にいいねをする必要がある?


拓はスマホを握りしめた。心臓の鼓動が、耳の奥で低く響く。


純かもしれない。彼女は裏アカIDを知っている。今さら新規アカウントを作る必要はあるだろうか?


瞳かもしれない。彼女は裏アカを知っているがIDは知らないはずだ。でも、もし誰かに教えられたら?


いや、違う。


別の可能性が、頭をもたげる。もしかしたら、これはただの偶然か? 見知らぬ誰かが、たまたま私の投稿を見つけて、たまたまいいねを押しただけ。それだけのことだ。


でも、そう考えようとするほど、別の考えが浮かんでくる。


あのドタキャンされた日。瞳は「予定がある」と言った。本当に他の男と会っていたのか? それとも――


考え始めると、止まらなくなる。まるで蜘蛛の巣に絡め取られたように、一度かかったら抜け出せない。


7. それぞれの夜


その夜、瞳は一人で酒を飲んでいた。


(純のあのメール……何だったんだろう。拓に送ったってことは、二人は連絡を取り合っているのか? それに、あの新規アカウント。誰なんだろう)


(もし拓が他の女と会っていたら? もし純がその相手だったら? 考えすぎかもしれない。でも、一度考え始めると止まらない)


同じ夜、純は日記に書いていた。


「彼は今日、三回、私を見た。でも、そのうち二回は、ただの偶然だった。彼が私を『疑う』ようになってから、世界の見え方が変わった。すべての視線が、意味を持つ。すべての沈黙が、言葉になる。このスリルが、たまらない」


ペンが止まる。


「私は、どこに向かっているのだろう」


でも、その問いに対する答えを、彼女はもう知っていた。


そして拓は――


夜、一人で酒を飲みながら、考える。

純が瞳に拓の裏アカを教えている可能性。二人が繋がっていて、拓を監視している可能性。もしそうなら、あの「不倫してるみたい」というメールは、わざと拓に送った警告か? 「私たちはあなたのことを知っている」という、暗黙のメッセージか?


でも、純の「それは分かってる」という返信。あれは、俺の動揺を確かめるためのものだったのか? それとも、純は俺の味方で、瞳の行動を教えてくれただけなのか?


どの可能性も、完全には説明できない。どの可能性も、完全には否定できない。



第2話をお読みいただき、ありがとうございました。


拓には人妻・瞳という恋人がいること。

そして、純も知らない場所で、もう一人の“誰か”が動き始めている――。

あのドタキャンは偶然だったのか?

新規アカウントの主は誰なのか?


すべての謎は、最終・第3話「彼女の計画 ―終わらない視線―」で明らかになります。

明日3/15(日)朝7時更新です。ぜひお付き合いください。


本編『彼女の背中』第2部、『彼女の視線』第3部も連載中。

プロローグで気になった方は、ぜひ本編でも「観察」の連鎖をお楽しみください。


X(旧Twitter)でも更新情報を発信しています。

@KEI67266073 フォローしていただければ幸いです。


次回、最終話でお会いしましょう。

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