竜王様のファッションショー
リュミナは新しい服を着て立っていた。
白いブラウスに、細身の赤い皮のコルセット。そして、少し短めのスカート。
「どう?」
アレスは、竜王様のファッションショーに付き合わされていた。
女性をまじまじと見るのは、どうにも居心地が悪い。
しかも満面笑みでリュミナがこちらをみてる。
「……足を出しすぎだ」
やっと出た言葉がこれだ。
間違えたかなっと思うアレスをよそに、
リュミナは膝上までのタイツを引き上げ始めた。
「これならいいでしょ?」
スカートの裾を軽くつまみ、くるりと一回転する。
「……」
「どう?」
「……余計に。いやなんでもない。」
リュミナはにやりと笑う。
「そそる?」
「そういう言葉を覚えるな」
図星を疲れてしまい困る。
うちの竜王様は可愛い。
振り返ったリュミナは、口元にいたずらっぽい笑みを浮かべている。赤い瞳が、試すようにアレスを映した。
「まったく……」
アレスはため息をつくが、観念してよく見ることにする。
「冒険者の鎧しかみてこなかったけど。服って種類が豊富で楽しいのね。人の姿なんだから、楽しまないと損でしょう?」
スカートの端をつまみ、もう一度軽く回ってみせる。
その動きには、無邪気さと同時に――かつて竜王だった者の、揺るがない自信があった。
「見せる相手も、ちゃんと選んでるしね」
「そうですか」
何気ない言葉だが、アレスもリュミナもまんざらではない。
「良いのを選んだな」
「でしょ! 分かる!?」
「過度に豪華じゃないが、純白のシャツと色つきの革それなりの身分じゃないと似合わない。」
その理屈っぽい評価に、リュミナは頬を膨らませた。
「そういうことじゃない! 可愛いかどうか!」
「……」
一瞬の沈黙。
「……か、可愛いです」
絞り出した。顔が熱い。
リュミナは満足げに胸を張った。
「よろしい。じゃあ次いくわね」
また、くるりと回転する。
見えそうで見えない程度にスカートが捲れる。
アレスは無意識に傾いていた。
おっと 俺としたことが。
さて――終わらない。
どうやら、この小屋でのファッションショーは当分、幕を下ろす気がないらしい。
この物語は、最強が本気を出さない時間を描いています。
ですが、作者のメンタルは最強ではありません。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
また次回もお付き合いいただけたら嬉しいです。




