同居?同棲?なし崩し
王国の塀の外。
アレスの小屋。
門番たちは城壁の中に住居を用意されているが、アレスは塀の外で暮らすのを好んだ。
小さいながらも、満足して過ごしていた。昨日までは。
竜王の成れの果て、少女姿のリュミナのイビキは凄まじかった。
ここでよかった。
塀の中ならちょっとした騒ぎだ。
ダンジョンで聞こえてた怪しいうめき声はこいつのイビキか。
10年越しに腑に落ちる。
寝れないので薪割りをする。
大きめに切っておいた薪に、アレスは手刀で狙いを定める。
「六箇所バフ」
小さい声と共にアレスの足から手刀にかけてが光る。
そして薪に手刀
割れていく薪
「私が知ってる薪割りと違う」
いつの間にか起きた。リュミナが呆れている。
「ここにくる途中、人間の生活見てきたけど、道具使ってたわよ」
「料理の時は使うさ」
「薪も手で割るものじゃない!」
「できない?」
「できるわよ」
なぜか対抗意識を燃やすリュミナが挑戦する
粉々
「ちょっと力加減難しいんですけど!?」
「リュミナは爪当てるくらいで割れるんじゃないか?手刀だと力が入りすぎるんだろ」
リュミナが爪をあて力をこめると、綺麗に薪が割れる
「ほれ見たことか!」
非常に満足そうなリュミナは薪割りを続けているので、アレスは飯の支度にかかる。
昨日酒を飲みすぎたので汁物でパンをふやかすか、そう思いながら鍋に火をかける
「あんたさ、武器も道具も使わないのは、壊しちゃうから?」
リュミナがいつの間にか薪割りをやめて、鍋を覗き込む
不意に甘い匂いして、アレスが動揺する。
「近い!」
悟られないよう短く抗議して、鍋に具材を入れる。
「それもあるし、剣や槍は難しんだよ。手や足のようには上手く使えない」
「それはわかるかも。私も武器使えと言っても難しいし」
「前の姿では持てる武器もないだろ」
「そうともいう。だから武器は他の子にあげてたしね」
アレスは乾燥キノコと葉物野菜を鍋に入れ、火加減を見ている
「そもそも武器使わないのに、なんであんなに集めてたんだ?金塊や宝石もあったろ」
「冒険者のものもあるけど、私が光り物好きだから」
少女らしくモジモジ照れてるが、国家予算くらい積まれていた金銀財宝寝床にしていた竜王を考えると
ため息しか出ない。
「コレクションしてたと」
「そうよ」
汁物ができたので用意しようとしたが、使いやすい食器が足りない。
アレスは人を呼ぶこともなかったから、余分な食器などない。
仕方なしに自分の分は木のコップへ入れる。
スープ皿はリュミナの前へ。
「で、財宝も捨ててここまできたと」
「千年もまたあそこで過ごすのも嫌だし、貴方のプロポーズを受けて待ってたのに来ないから」
スープが喉に詰まる。
「プロポーズって言うけど、お前なぁ」
抗議しようと思ったが、リュミナはうまそうにスープを口に運んでいるので、アレスは口を閉じた。
「とりあえず食器買うか」
アレスにとって一人じゃない食事は久しぶりだ。
同居を断る理由もなく、アレスとリュミナの生活は始まる。




