第一話「同情するなら力をくれ」
突然起きた爆発事故。
正体不明のテロ。
そういったものは大体、超常的なものが絡んでいる。
それに対処するのが俺の仕事。
(俺の仕事だけどさぁっ!)
今絶賛大ピンチ☆
背後から触手が迫る。
ものすごい速さだ。
「ぬぁーーっっ!へるぷみー!!!!」
無線機に当たり散らすように叫んだ。
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「どうしたの?翔君、見つかるなんて珍しいね?」
目の前の女性は香取 亜奈、俺の上司だ。
「はぁーー、はぁー、、、ふぅ、、」
乱れた息と思考を整える。
「多分、感知系です。壁越しに攻撃されたので。」
そうすると彼女は薄く笑って
「見てたからわかるよ。」
言いやがった。
「見てたなら!!なんで!!助けて!!くれなかったんですか!!」
つい叫んでしまった。
彼女はさらにコロコロと笑う。
反応を楽しんでるのだろうが、こっちは命がかかっている。
切実にやめていただきたい。
「ごめんね?やめることはできないんだ。」
紅葉のように色鮮やかな髪を揺らし、虹色の瞳をこちらに向ける。
美人だからって何でも許されると思っているのだろう。
実際許されている、間違ってはいない。
「先輩、、、」
不服そうな目でこちらを見上げる。
彼は木々 楓、俺の後輩だ。
「い、いや、、なんだよ。」
そんな目で俺を見るな。
美人にからかわれてデレるのは仕方ないだろ。
少なくとも怪訝な目を向けるのは俺にじゃないだろ。
少年は眼を閉じてプイと顔を向けた。
男性と言われなければわからない、中性的な顔立ち。
目を閉じたことでまつ毛の長さが際立っており、美しさまで感じる、
ついてる方がお得というのはこのことを言うのだろう。
「別に、、いいですよ。」
あかん不機嫌だこいつ。
こういう時は食べ物で釣ればいいって偉い人が言ってた気がする。
「いいパンケーキ専門店見つけたからそれで勘弁して、、、」
一瞬目を見開いたかと思うと
「おごってくださいね。」
こっそり財布を確認した。
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2LDKの一室。
部屋は広くなったがもう遅い。
一人になってからの方のが部屋が広いとは皮肉なもんだ。
(テレビ、、、なんかやってるかなぁ。)
こんな話前もした気がする。
結構前の話だが。
姉が死んでから二年。
(もう二年か。)
もう二年もたっているのに姉を殺した人間の手掛かりは見つからない。
それどころか自分に戦闘をできるほどの力もない。
『肉体再生』これだけだ。
いや一つでも能力があるだけで感謝すべきかもしれない。
でも
(これじゃあ戦えないよなぁ。)
無力感が襲う、、、が意味はない。
相変わらずテレビに興味をそそられるようなものはない。
(化け物に効く銃でも作ってもらえないかと掛け合ってみるか。)
少しでも出来ることをしよう。