前日談、前編「ヘイワな世界」
「翔さん、ふざけないでください。」
突然こんなことを言われた。
静まり返った教室。
外は雲に覆われており人工的な光が体を刺す。
ああ、あと周りからの視線も。
冷汗が噴き出してきた。
「い、いやぁふざけてないっすよ?」
ダメだ緊張しすぎてチャラ男みたいな語尾になった。
これだから道徳は嫌いだ。まじで
教師があきれた声でのたまう
「それならどうしてこんなこと言ったんですか?」
いや主人公が少しためらってみたいな描写が、、、
ダメだ声出てねえ。
「結局自白できなかったってことはそんなに悪いと思ってないんじゃないかと。」
さっむ、あれ急に冬にでもなったか?空気が冷め切ってやがる。
「、、、もういいです。」
授業のチャイムが鳴るまで何も考えないようにした。
「今日は散々な日だったなぁ。」
つい声に出してしまった。まあ誰も聞いてなどいない。
放課後になってようやく雲が晴れ空が赤く染まる。
グラウンドで部活にいそしむ人たちを横目に
(帰宅部でよかった。)
そんなことばかり考えるから友人ができない。
そんな余裕があるかと言われればないとしか言えないが。
「ただいま。」
そんなことを考えているうちに家までたどり着く。
外見は汚ならしく築年数は相当なものだろう。
外見はという表現をしたが考えてみたら内見もボロボロだった。
一言でいうなればやっすいアパートそうとしか表現できない。
(今日は、、、いないか。)
1LDKのさみしい一室。
浴槽がついているだけでも感謝すべきかもしれない。
こんな場所に姉と二人暮らし。
プライバシーなどゴミ処理場で焼却されたんじゃないか?
申し訳程度にカーテンで遮っているが意味なんてあるわけない。
この部屋で7年ほど住んでいるのだからいまさら言うべきことじゃないか。
冷蔵庫からラップに包まれた料理を出す。
働きながら料理まで作ってくれる姉には感謝しかない。
自分の仕事は食べ終わった食器を洗うだけだ。
(何見ようか。)
適当にチャンネルを変える。
{近日多発している爆発事ーー}
{なんでやねん!!}
{あ、あなたが犯人だったの!!?}
碌なものがない。
「暇だ、、、。」
風呂入って寝よう。うんそれがいい。