第2話 事前準備(行きたくねぇ…。)
次の日帰り、今日は金曜日なこともあっていつもよりハイテンションになって、みんなを見送る。そして、そのままルンルンの気分のまま帰ろうとする。帰って何しようかな~、なんて考えてると、耳元から突如として、聞きたくない声が聞こえてしまう。
瑠己也「おーい、部活をさぼっちゃだめでしょう…。ねぇ。」
下駄箱に上履きを入れようとしているところを後ろから瑠己也が引っ張ってくる。どうやら俺には逃げるという選択肢はとっくに潰されているらしい。
そんな感じの昨日と同じ流れで、俺はまたあの忌々しき部室へと入っていった。
俺「お疲れ様でーす…。」
凪人「おう、元気ねえな…。どした?何かあった?」
俺「なんでだと思う?」
俺は後ろで未だに襟を引っ張っている男を指さす。すると、凪人は何かを察したのか無言でうなずいた。
凪人「ああ…。ドンマイ…。」
瑠己也「おい、絶対俺を悪者みたいにしてるだろ。」
俺「ゼンゼンソンナコトナイデスヨー。」
瑠己也「棒読み過ぎて一周回って信用できるな。」
凪人「どういう理論だよ…。」
俺は3人でそんな会話をしながら一番近くの棚にカバンを置き、そのまま机に突っ伏する。正直、面倒くさいが、こいつらがそうやすやすと帰してくれなさそうだから、俺はただ何もせず部活動終了の時間を待とうとする。
ふと周りを見ると、俺達3人以外のメンバーが誰もいないことに気が付いた。。昨日はあんなに集まっていたのに。正直、なんでそんな違和感をすぐに気が付けなかったのか。
俺「なあ、ほかのみんなは?」
瑠己也「確かに…。」
凪人「お前はなんでわかんなかったんだよ。部室来た時俺しかいなかっただろ。」
凪人が大きくため息をつく。そして、俺よりもめんどくさそうな顔をして話を続ける。
凪人「千春と永遠は生徒会、部長は知らね。でも3年部で何かあったらしいし、多分それに巻き込まれたんだろ。知らんけど。」
俺「適当だな…。」
凪人「じゃあもっと事細かに説明したほうがいいか?」
瑠己也「それは俺が頭痛くなるからNG。」
俺「凪人…おまえ大変そうだな。」
凪人「部長はいつもこんなのをうまくまとめてんのかよ…。」
こんな感じで凪人が部長に関心して、俺たちは自分達の優秀さがあまりにも低いことを自覚した。しかし、そんなことも気にせず俺たちはそれぞれ自由に行動を始める。
瑠己也はいつも通り一人でスマブラをはじめ、凪人は明日の準備として除霊できる場所を探してる。俺は何となく眠たかったから寝てる。
10分くらい経った時、まともな奴0人のこの教室の中に、やっとまともな人が来た。
玲央「はー、自習の時にうるさかったからって全員呼んで怒ることはないだろ…。」
部長が珍しく愚痴をこぼしながら入って来た。
瑠己也「どしたん、話きこか。」
玲央「それあれやん。クズが女誘う時の奴やん。」
瑠己也「だって珍しく愚痴こぼしてんじゃん。」
玲央「まあな。」
その後ろを生徒会の役員である2人が入って来た。
千春「お疲れ様でーす。少し遅れましたー。」
永遠「…同じく。」
やっとこの部活の人が全員そろった。正直、ここの人たちはただの暇人か、本当に幽霊を信じてるやばい奴しかいないと思ってた。意外と優秀な人がいたんだなぁ…。」
俺は一つの疑問を解消するために部長に聞く。
俺「あの~、明日本当にあの廃校に行くんですか?」
玲央「あの廃校って、昨日見せたあの?」
俺「そうです。それです。」
玲央「そりゃあ行くよ。だってそれが俺たちの活動だもん。明日の夜10時集合な。:
俺「明日は予定があってお休みしてもいいですか?」
瑠己也「お前なんかに予定があるわけないだろ。」
俺「とんでもなく失礼な発言だな。侮辱罪だぞ。」
玲央「何の予定があるんだ?」
俺「ちょっと…お出かけするんですけど…。」
横から瑠己也が唐突に顔を近づけてものすごい圧をかけてくる。
瑠己也「行くよな?」
俺「やっぱ予定ないです。(早口)」
玲央「じゃあ来いよ。でも、あんまり無理するなよ。」
俺「はーい…。」
また瑠己也の圧に押され、入部の次は心霊スポットに行くことに…。最悪だ。明日バックレようかな…。
俺は絶望に飲まれながらさっきと同じように寝ようとする。けど、さっきと違い、今度は永遠に起こされる。
永遠「先輩、何寝てるんですか…。明日に向けて、何か調べもの手伝ってくださいよ…。」
俺「明日はこっそりさぼろうと思ってたんだけど…。」
永遠「まあご自由に。けど、あとで瑠己也先輩に怒られても知らないですよ…。」
俺「はぁ…。しゃーない。やるか。」
俺は永遠と一緒に明日の学校についてや除霊の方法、呪われにくくする方法とかを調べる。呪われにくくする方法とかは塩をもっとくとか、メンタルに負の感情を持ちすぎないとか、根拠が少ないものばかりだった。ちょっと心配だな…。
学校について調べていると、2つの少し奇妙な話を聞いた。1つ目はその廃校のある少女の話だ。
ある少女は小柄で弱く。よくいじめられていた。
ある日、その少女は放送部の放送を行い、そのまま放送室を出ようとする。しかし、閉じ込められそのまま出られなくなってしまった。一応、そのあと先生方に発見され何とか出れたらしいが、彼女は閉所恐怖症であり放送室を開けたときにはもう精神が狂いきっていた。
そのあと、彼女はその狂った精神や、今までのいじめのストレスがもとで自殺をしてしまったらしい。
そして2つ目は廃放送という一つの怪談だ。
ある日、ある小学生の男の子が深夜に一人でテレビを見ていると、妙な番組が始まった。真っ黒の画面の上に白色で「これより、〇〇市限定の特別番組を放送します。」と書かれていた。
その〇〇市というのはその男の子の住んでいる市であり、男の子はドキドキしたが、なぜだか目が離せなかったらしい。
そして、次に映ったのは古びた廃病院だった。無人の廊下をカメラがゆっくり進んでいく。その間、ずっとどこからか「アハハ…アハハ…。」という幼い子供のような笑い声が聞こえてきた。
結構歩いた先で、ある一つの病室の前で一度止まる。そして、画面に急に黒色の文字で「この中には、未来のあなたが映っています。」と出てきた。
その男の子は一瞬困惑し目を逸らそうとするが、なぜだか体が動かなくそのまま映像を見続けてしまう。
そして、そのカメラは病室の戸を開け中に入ると、そこにはベッドに横たわる幼い少年がいた。全身血まみれで、悲痛な叫びをあげいている。そして、その顔を見た瞬間、それは自分だと男の子は気づいてしまった。
その瞬間、画面には赤色の文字でこう書かれていた。
「あなたの死を確認しました。ありがとうございました。」
そうしてテレビは急に切れ、部屋は真っ暗になる。さっきまでその男の子に眠気などなかったが、突如として睡魔に襲われ、その男の子は流されるままに寝てしまった。
その男の子が目を覚ますと、そこはテレビで見た古い病院のベッドの上だった。
体を起こそうとすると、その体は動かず、まるで金縛りにあっているようだった。そして、部屋の外からある人の声が聞こえた。
「次のごはんがやってきました。」
そして、その男の子はベッドごと、どこかに運ばれていく。その男の子はあまりの恐怖に周りから聞いたらまるで悲痛な叫びのように聞こえる叫びをした。
どこからか、幼い子供のような笑い声が聞こえてきた。
「アハハ…アハハ…。」
その日の朝、その男の子の行方が不明となっていた。
俺「あのー、怖くね?」
この怖い話を読み終わった後、俺は震える声で頑張って話そうとする。
永遠「まぁ…、怖いんじゃないんですかね…。」
彼女は余裕そうな表情で調べものをしていたノートパソコンを閉じる。
この後、俺はしばらくテレビが怖くなって、夜に一人でいるときに、テレビがついていたら消してしまうようになった。