第12話 たくさんの謎
二日目、三日目、四日目は特に猿夢を見ずに難なく過ごし、とうとう最終日になった。
瑠己也「あーあ、あっという間だったなぁ…。体感一日も経ってないぞ。」
瑠己也が少しため息をつきながらこの部屋を出る準備をしている。
凪人「お前が何と言おうと、修学旅行が終わることには変わらないんだ。諦めろ。」
凪人があきれたような声で瑠己也にそう言いながら荷物をまとめ終わったのか大きなカバンを部屋の隅に置く。
その間も俺はあの猿夢について考えていた。正直この修学旅行中、あの猿夢のことがずっと気になっていた。あの研究者は誰だったのか、そもそも実在するのか、だれが何のためにこんなことをしたのか。いくら考えてもなにも思いつかない。それっぽいことを調べてみたがそれっぽい情報も何も出てこないのだ。
凪人「おーい、颯真。手が止まってるぞ。早く片付けないと集合時間に間に合わねえぞ。」
凪人の声で俺の意識はふと我に返る。まあ、過ぎたことなんだし自分には考えても無駄だ。そう思い、俺は残りの修学旅行の時間を楽しもうとする。
最終日はみんなで琉球八社を自由に回るというものだ。だから一つだけ回るのもありだし、全部急いで回るのもありということだ。
本音を言うならばもっと楽しいテーマパークとかに行きたかったが、俺って結構怪異に巻き込まれやすいからここで除霊してもらうのもありっちゃあり。
俺たちは3人で波上宮へ向かった。もちろん、他へ行く気はない。だって面倒くさいんだもん。
瑠己也「はぁ…。俺って彼女出来んのかなあ…。」
三人で海を眺めながら椅子に座っていると、瑠己也がふと愚痴をこぼす。
凪人「まあまあ、そんな落ち込むなって。お前だっていつかは告白されるぞ。それか、自分から言ったらどうだ?それだったら案外行けるかもよ。」
瑠己也の肩をたたきながら凪人が慰める。一応、俺達3人の中で一番モテるのが凪人で今までで10人以上に告白されたが全部断って来たらしい。なんで?と聞くとこいつは心に決めた人がいるんだよ、としか言わねえんだよ。モテる奴はうらやましいぜ…。←人生で2回くらい異性から告白された奴。
突如、脳内に謎の映像が流れる。少し砂嵐がかかって見にくくなっているが、その映像には自分と誰かもう一人、顔にモザイクがかかって見えないが俺よりも身長が小さいことだけはわかる。そんな二人が海辺で何か話し合っている。その内容はわからないが、そのもう一人の方が泣いているっぽい。
けど、これはいったいなんだ?なんなんだ?もしかして、猿夢の続きか?それならもう一人の泣いている人がその研究者だったのか?それならあの日記が少しわかるような気がする。俺が離れてしまうから…、でも口調は俺だったな。ならあのモザイクの子は男か?ならいったい誰だ…。
凪人「おい、またぼーっとしてるぞ。一体どうしたんだ?」
朝と同じように凪人の声でまた我に返る。どうやら俺はあの内容や猿夢の日記の正体を知りたくてしょうがないらしい。俺は二人に相談してみる。
俺「なあ…あの猿夢の件なんだが…ちょっと気になることがあるんだ。」
瑠己也「なんだ?お前が相談してくるなんて珍しいな。学年の順位は高い方なのに。」
瑠己也がとても興味津々で聞くが、少し俺に対して物珍しさも感じているようだ。顔にメチャクチャ出ている。
俺「学年順位と本当の頭の良さは関係ねえぞ。まあ、それは置いといて。俺は猿夢で一つの日記を見つけたんだ。でそこには…。」
俺は猿夢にあった謎の研究者や過去へのタイムリープについてのことやついさっきの謎の映像と人物のことを話す。
凪人「うーん…それってさ、もしかして、幼少期とかの記憶なんじゃないか?」
俺「だとしたらさ、あの研究結果は何だ?あの映像の中の俺も高校生くらいまで育ってたし…。」
瑠己也「そもそもさ、猿夢って何なんだ?」
凪人「お前はそこからかよ…。猿夢っていうのはな、簡潔にまとめれば夢の中で死ねば現実でも死ぬってやつだ。夢の中の世界には、その人の記憶が主になりやすいんだが…今回の颯真に関しては本当にまったくわからねえんだ。」
瑠己也「じゃあ、颯真はその研究者なんじゃね?」
俺「俺はまだ高校2年生だぞ。そんなことがありあえるか?」
瑠己也「まあ、それはそうだな。」
しばらく3人で必死に考えるがなにも思いつかない。三人寄れば文殊の知恵というが、バカが三人集まったところで何も思いつくはずがないのだ。
しばらく三人の間に沈黙の空気が流れる。波の音がよく聞こえて、何となくだが落ち着けているような気がする。
瑠己也「あのさ、もしかしてさ…。」
凪人「なんだ?」
とても神妙な面持ちで瑠己也が口を開く。
瑠己也「もしかしてさ。俺達ってこんな真面目に考えるの、あってない?」
俺「それ。俺も思ってた。こんな沈黙は俺たちに似合わねえよな。」
凪人「じゃあこの件は一回置いといて遊ぶ?」
瑠己也「よし、そうしようぜ。」
ということで一回保留にして俺たちは最終日の沖縄を楽しむ。さっきまでまじめっぽかったのが嘘みたいに瑠己也がはしゃぎだして、それにつられるように俺もはしゃぎだす。
といっても神社内でできることは少ないので、俺たちは思いっきり神社の外に出て近くのショッピングパークへ向かう。そして、そこのゲームセンターへ向かい、二人がメダルゲームをして俺はクレーンゲームをする。
凪人「お前、うまいな。よくそんなにメダルが集まるな。」
瑠己也「当たり前だろ!ゲーセンにはよく入り浸ってんだからこんくらいできねえと!」
二人が楽しそうにゲームをしているのを見ながら俺は自分の好きな有名なゲーム、懐怪物のぬいぐるみを手に入れようと奮闘する。
300円くらい入れたあたりでとうとう穴の近くの壁に懐怪物の一部が乗ってくれた。
俺「あとちょっと…。あとちょっとなんだ…。」
いつも以上に集中力を使い、集中してクレーンゲームをする。アームがその大きなぬいぐるみの背中側を押し上げてくれて、なんと500円くらいで4000円くらいしそうな大きなぬいぐるみを手に入れられた。
俺「よっしゃあ!」
凪人「おめでとう。ところで時間が危ういぞ。」
俺はびっくりしながら右を向くと、そこには凪人が立っていた。
凪人「それに、そのぬいぐるみはどうするんだ?もしかして、そのままとか言わねえよな?そのままだったら先生にばれて終わりだぞ。」
俺「そこは任せてくれ。頑張ればカバンにギリ入る。」
凪人「そうか…。お前、意外と用意周到だな。」
俺「だろ。」
瑠己也「おーい!行こうぜ!」
そういわれて、俺たちはゲームセンターをでて集合場所の空港へと向かう。
先生「えー、誰も時間を過ぎて戻ってくる人がいなくてよかったです。では、学校へと帰りましょう。」
俺たちはそのまま飛行機に乗り、俺たちの故郷、静岡県の常世市へと帰る。
瑠己也「にしても楽しかったなあ。修学旅行。」
俺「俺はもういいよ…。てか、なんでここまで来て怪異に巻き込まれなきゃいけないんだよ…。」
凪人「霊感強いんじゃね?まあどっちにしろお疲れ様。」
俺「さて、帰ったらあいつらにこのこと全部話さないとな。あと部長に感謝しとかないとな。」
凪人「そういえば…なんで部長は颯真に猿夢が来ることを予測できたんだ?ほかの奴かもしれねえのに。」
瑠己也「さあな、直感じゃね?玲央の直感は良く当たるしな。」
凪人「まあ、それもありあえるな。」
正直、この旅行ではたくさんの謎が残ってしまった。あの研究者や謎の映像。なぜ部長が俺に来ることを予測できたのか。わからねえことだらけだ。でも、頑張るしかねえ。やれることは頑張っていこう。これからも
最後の方がとっても雑になってしまいました…。いつか時間ができたら修正したいです。