第9話 俺たちの修学旅行 2日目…?
大きなベッドから起きた現在。俺は朝食へ行く準備をしている。
俺「ふぁ…。ねみ…。」
瑠己也「どうして起こしたんだよ…。
凪人「お前ら、俺が起こさなかったらずっと寝てただろ。だから遅刻しないようにって。」
俺「気遣いありがと…。死ね…。」
凪人「起こすの間違いだったかな…。」
そうして部屋をでて、俺たちは朝食が食えるビュッフェの会場に行くために地下1階に向かう。
ビュッフェ会場に着くと、そこはまるで不思議な光景だった。生徒が一人ひとり厨房の奥へと呼ばれているのだ。そして、誰も帰ってくることなく一人、また一人とこの部屋から出て行ってる。
俺「なあ、どうなってんだ?」
凪人「さあ、知らね。俺も気になるよ。」
瑠己也「どうでもいいけどさっさと飯食いてえ…。もう腹と背中がくっつくを超えてなくなりそうだぞ。」
そうして俺たちは雑談をかわしていると、次は瑠己也が厨房の奥へと呼ばれていった。
瑠己也「じゃあ、行ってくるわ。お前らの分まで食ってくる。」
俺「あまり食いすぎるなよー。」
そうして、瑠己也が厨房の奥へと消えていったあと、この広く静かな空間に俺を含めてあと5人ほどになった。その間、誰も帰ってこずこれまでに呼ばれていた人数は150人を超えている。きっと厨房もパンパンだろう。少しでも帰らせればいいのに…。
俺は凪人にみんながほとんど何も言わずに黙って呼ばれる異様な光景がおかしいんじゃないか?と聞くが、凪人はまあ、おかしいんじゃね。とだけ言って正面を向きなおし規則正しく座っていた。
少しずつ人が呼び出され、凪人も呼ばれ残りは俺だけになってしまった。にしても改めてみても広いなー。パーティーの打ち上げ会場とかになってもおかしくないぞ。
俺は一つの疑問が思い浮かんだ。ここは地下一階だが、このホテルは地下が存在しないのだ。じゃあこの空間はなんだ?何が起きてるんだ?
永遠「ねえ、あなた呼ばれてるわよ。」
俺「ああ、マジか。気づいてなかった。サンキュー。」
俺は考え事に夢中になって呼ばれていることに気が付かなかった。そうして俺は永遠に教えてもらい、厨房へと向かった。
いやまてまて、なんで永遠がいるんだ?ここ沖縄だぞ?あいつらの宿泊行事は広島じゃねえのか?
ここで俺はここに来る前の一つの記憶を思い出した。
玲央「なあ、そういえばさ、あの沖縄の事件知ってるか?」
俺「ああ、あの連続殺人だろ?というかそう思われているやつ。兄さんも見てたんだ。」
玲央「もちろんだ。というか、あれって一つ思ったんだが、夢系の心霊現象に似ていないか?」
俺「例えば?」
玲央「あれだ、例えば猿夢とか、あとは夢境干渉、夢枕を通じた道連れとか。」
そうだ。これは現実じゃない。現実のように見えて、触れて、嗅げて、聞こえる。でもこれは夢だ。現実的に考えたらおかしいことばかりだ。
だとしたら、厨房はもしかして死への道のり…。行ってはいけない。俺はまだやらないといけないことがあるのに…。
そんな思いとは裏腹に俺の体は俺の言うことを聞かず、厨房へと入ってしまう。
厨房にはたくさんの料理用の包丁やたくさんの生肉が置いてあった。周りは血だらけで少し歩くだけで靴の裏いっぱいに血がついてしまう。
人間?「ようこそおいでなさいました。では次のお客様のための糧とおなりください。」
俺「…ふざけんなよ…。…これは…これは…これは。」
だんだん自分の死が近づいている恐怖に俺は耐えきれなくなっていく。しかし、体はいまだに言うことを聞かず、死という運命は避けられないように思える。
俺は心の準備すら出来ずにシェフの格好をした人間のようなやつの目の前に到着してしまう。地面は一歩進むだけでぐちゃ、ぐちゃとなりたくさんの肉塊がやつの後ろに山積みになっていた。
人間?「そういえば、ひき肉だけ不足していたっけ。では、ミンチに肉にしてあげましょう。」
俺「…いやだ。…いやだあああ!!」
俺は動かぬ体を必死に動かそうとするが首から上だけだ動き、手足は何も動かなかった。
そうしてそのまま包丁が振り下ろされる。俺はただ、目を瞑り死の瞬間を見ないようにしていた。
人間?「…なぜ。なぜ下ろせないのですか…。」
俺はやつのその声で目を開ける。するとそこには包丁を振り下ろせずに止まっているやつがいた。俺は咄嗟に厨房を出ようと体を動かすと、手足が言うことを聞くようになり、急いで厨房を出る。
人間?「逃げないでください~。絶対に殺しますからね~。」
厨房を出る直前、最後にそう聞こえたが俺は振り返ることもなく急いでこの会場をでて、階段を上る。そうして一階に出たはずだが…。おかしい。ここが一階ではなく二階だ。エントランスやお土産コーナーがなく、ただ200以降の部屋がずらーっと並んでいるだけだった。
俺「くそ、今回は猿夢か。てことは死んだら終わりかよ…。なんで毎回巻き込まれるんだよ…。」
俺はそうつぶやき少し部屋を見ていく。今回は確かな攻略法がなく、脱出方法が現実にいる奴らがどうにかして俺を起こしてくれることだ。
終わりが見えない耐久系かよ…。俺が一番嫌いな奴だ。
バキッ
下からまるで木が折れたような音がした。多分ドアの一つや二つがぶっ壊されたんだろうな。そして、タッタッタと廊下に音が鳴る。少しずつ近づいてきてやがる。
俺は即座に207号室に入る。ドアはすべて鍵がかかっておらず、どドアはすぐにパッと開く。
中は最初の短い通路の隣に風呂とトイレが備わっており、その反対あたりの場所にクローゼットがある。そして奥には大きなベットが2つあり右側にテレビや机などが置いてあった。
俺「何もねぇな…。」
俺はそう呟きながら棚などを物色する。しかし、ゲームみたいに攻略のヒントなどは出てこず、出てくるものはホコリだけだった。
しばらく部屋でいろいろ漁っていると、廊下の方からエレベーターが上がってきた音がした。多分、というか確実に奴が来たんだろうな。なんか落ち着いてる雰囲気出してるけど、内心メチャクチャ焦ってる。やばいかも…。
俺は急いで手前のベッドに下に隠れる。隠れ場としては一番ベタだが、ほかに隠れられる場所がばれやすそうなクローゼットと隠れられるけど時間がかかりそうな棚の中しかなかった。棚は結構広いから頑張れば入るんだろうけど、そんなことをしている時間はなかった。
怪物「どこにいるんですかー?今なら殺さないので出てきてくださーい。」
部屋の外からそう聞こえてくるが俺は一切動く気がない。ただ石のように固まり、アイツがこの階から離れていくことを待つ。
扉を開く音と奴の足音が少しずつ大きくなっていく。確実にこちらに向かってきている。一つ一つの部屋を確認しては次の部屋に行くのを繰り返している。
怪物「ん?少しここを漁った跡がありますね~。」
しまった。俺が棚を開けたままにしてしまっていた。それをみた怪物がどんどんこちらに近づいてくる。それに合わせるように俺の鼓動もどんどん速くなっている。死ぬ。死んでしまう気がする…。いやだ…。死にたくない…。
直後、ここを隠していたシートが上がり、外からのわずかな光がこちらまで差してくる。そこには料理世の包丁を振りかぶろうとしていて、血まみれの猿の仮面をした怪物が立っていた。
怪物「みーつけた。」