最強の男
ちなみに、アストラは総監の息子です。
総監は第一王子→ 現・セラフィエル学園総監。
国政よりも知の探求に価値を見出した男。
「知恵と教育こそが世界を救う」
弟に王位を譲ったことで、政治的に不干渉を貫く誓約を交わしている(だからこそ他国で動ける)。
帝国とは友好関係にあり、総監として迎えられたのはその知識・人望・中立性ゆえ。
セラフィエル学園は様々な国の貴族や王族が通う学舎。
ちなみにベルゼブブの襲撃時、アストラは父上からの要請に応えられなかった。
「素晴らしい。」
アストラはその言葉を低く、力強く発した。喜びを隠しきれない様子が見て取れたが、その眼光には依然として冷徹なものがあった。
「最後の試練は、私だ。」
アストラの声は、まるで雷鳴のように響く。その一言に、周囲の空気が張り詰める。
「いや、ちょっと待ってください。」
ベレトはその言葉を軽く受け流すように、悠然とした態度で手を振りながら言った。
「予定にないことはできませんよ、アストラ将軍。そこは計画通りに進めないと、いかんでしょう。」
彼の声には、どこか余裕が感じられると同時に、楽しげな微笑みを浮かべていた。しかし、その笑みの裏に隠された冷徹さが、アストラに対する軽い挑戦を見せている。
アストラは、静かに、しかし圧倒的な威圧感をもって言った。
「もう、良い。」
たった一言。だが、それだけで全てが決まった。誰も逆らえぬ、揺るがぬ意思がそこにあった。
その空気の中、ベレトは肩をすくめ、口元に薄く笑みを浮かべた。
「わかりましたよ、将軍。」
声は柔らかい。けれど、その奥に潜む棘は隠しきれない。
「ただまぁ……学園への報告なんかは、そっちでお願いします。秩序に背く行動ってのはね、あとで偉い人たちの頭痛の種になりますから。」
ベレトは一歩下がりながら、目を細めて続けた。
「ま、私は知りませんけどね?」
アストラ将軍は静かに地を踏みしめ、その存在が周囲の空気を震わせる。雷神の如き威圧感を放つ彼の姿は、まさに「最後の試練」に相応しい。
「来い。まとめて相手をしよう。」その一言で、大地が呻いた。
威圧、命気、魔力、そして存在の格。
世界が膝を折るかのように警鐘を鳴らした。
ノアは一歩、いや、刹那のうちに踏み込む。
その瞳に迷いはない。
「僕が……アストラ将軍、相手だ……」
その言葉には、決して揺るがぬ覚悟が込められていた。
遠巻きに見ていたレタルは、微かに口元を拭い、肩をすくめながら笑った。その笑みには、歪な純粋さが宿っていた。
「はは……こりゃあ、本物だ。まるで夢のように美しいな、ほんとに。これを超え、初めて“本物”になれるんだ。」
彼の言葉は、冷徹でありながらも、どこか楽しげで、狂気すら感じさせた。
その目には、確かな期待と興奮が宿っていた。
その声には、陶酔と知性が交差する、危うい甘さがあった。
エゼルは、無言で地面に突き刺さった剣を引き抜いた。火花が散り、赤い魔力の残滓がひるがえる。その立ち姿は、まるで魔王のようだった。
仮面の奥に宿る信念が、静かに、しかし確かに伝わってくる。
「ノア、俺たち三人で突破する。もう、誰も失いたくない。」
アストラは冷ややかな視線をノア達に向け、口元を歪めた。
「なんだ三人だけか?」
アストラの挑発に対し、ジル・マールは一歩前に出て、冷ややかな視線を向ける。
「私もいますよ。」
その声は静かだが、鋭さを帯びていた。
「人類最強と謳われている将軍様。あの時、あなたがいれば、ベルゼブブを倒せたかもしれない。」
言葉の端々に、皮肉と挑発の気配が滲み出る。
「我らはあくまで盟邦の立場にあるに過ぎぬ。祖国のために動くわけでも、”祖国”から要請を受けたわけでもない。帝国の属国とは訳が違う。わかっておるのか、小僧。」
静かに、諭すように。
その声音には怒りも嘆きもない。




