蒼き鷲の檻
上位三クラス
【蒼鷲のクラス】
•象徴動物:鷲
•所属:王族・最上級貴族
•制服:蒼×金
•座右の銘:「空を見よ、我らはそこに在る」
特徴:
•国家の頂を目指す名門中の名門。
•才能、血統と家柄が評価基準。
•政治・魔法・戦略全てにおいて秀でた教育。
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【黒狼のクラス】
•象徴動物:狼
•所属:騎士貴族・軍功家系
•制服:黒×銀
•座右の銘:「群れに牙あり、忠に誇りあり」
特徴:
•武勇・忠義を重んじる実戦重視のクラス。
•剣術・槍術・統率・騎馬など戦場の基礎を徹底修得。
•価値観が平民寄りの武勲家も多く、気風は質実剛健。
•平民が入れる可能性がある唯一のクラスだが、少数で異端視されやすい。
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【白狐のクラス】
•象徴動物:狐
•所属:魔導貴族・外交官家系・諜報系
•制服:金×白
•座右の銘:「謀るは影に、咲くは陽に」
特徴:
•魔導・情報戦・心理操作を得意とする“知謀”クラス。
•表向きは上品な魔法家系の集まり。
•実際には諜報官、宮廷魔術師、策士の卵が集まる策略の巣窟。
•表向きの顔と裏の顔を持つ者が多く、人間関係は水面下で激動。
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◆ 入学条件と身分の壁
セラフィエル学園の教育費は莫大で、魔術・剣術・乗馬訓練・制服・魔道具費を含め年間で数万ディオスに達する。これは、一般の庶民には到底払えぬ額であり
また、成績よりも「家系」「推薦」「後ろ盾」が重視される傾向が強い。そのため、実質的に名家の子弟のための学び舎となっている。
◆ 平民が“上位クラス”に入るレアケース
特待生枠
突出した才能と成績を持ち、上位貴族の推薦や後援を得た者のみ与えられる特別入学枠。
ちなみに下位クラスは未定。
セラフィエル学園の鐘が、その日の終わりを静かに告げた折、蒼金の制服に身を包んだ若き生徒たちは、思い思いに書架の影や回廊の片隅へと身を潜めていた。静寂という名の空気が、そこに確かに漂っていた。
だが、その静けさも、今しがたよりわずかに揺らぎはじめていた。破られる気配が、確かにそこにあった。
「ノア・エヴァンス。君、また深夜に一人、外寮の門を越えたというではないか。」
ジル・マール──蒼鷲クラスの副寮長は、冷徹な声で言い放った。金色の前髪がほんのわずかに揺れ、冷徹な目はノアを鋭く見据えていた。
その眼、澄んでいて、まるで深海の絵具をひとしずく垂らしたような青を湛えていた。
ノアは眉一つ動かすことなく、頬杖をついたまま、静かに言葉を吐いた。
「だから何だってんだよ。見回りの兵が寝てたから、わざわざ起こしてやっただけだろ。」
「それを‘殴って起こす’というのか? さらに、正門の魔力結界を勝手に破って出入りしたとの報告も上がっている。」
「壊してなんかいないさ、ちょっと‘ずらした’だけだ。それに、あの兵の鼾が不快だったのが悪いんだろ?」
「君の振る舞いは、『空の頂』を目指す蒼鷲の名に泥を塗る行為だ。王族としての自覚は、いったいどこにあるのか?」
「ないね。それに、泥を塗れるほど誇れる名でもないだろう?」
教室の空気は、まるで凍りついたかのように静まり返った。誰一人として口を開かず、紅と藍の視線が鋭く交錯する。
その瞬間、教室の扉がひっそりと開かれた。
「おっと、喧嘩してるところを邪魔したかな? 」
ひょこりと顔を出したのは、黒髪に微かに青が滲む少年──レタル・レギウスだった。群青の瞳は、空気を察しながらも緩く笑みを浮かべている。彼はまるで、喧嘩をうまく収めるために現れたかのように、その場に立っていた。
「ノア、昼のパン、まだ食べてないだろ。ほら、持ってきたよ。」
ノアは、視線を外したまま、それを受け取った。ジルの言葉には淡々とした響きがあったが、レタルの気配には、どこかしら、心に残る重みと、また心地よさが漂っていた。それが何であるかを自らも理解しているわけではなかったが、少なくともその事実を他人に悟られるのは、決して望まなかった。
「また話そうか。」
副寮長は、口の中で小さく舌打ちを漏らし、それから書類を力任せにバサリと机に放り投げると、無言でその場を立ち去った。
──蒼鷲のクラス。
それは、誇り高き伝統が息づく場所でありながら、同時に、巧妙に牙を隠し、ひっそりと蠢く者たちが潜む、静謐なる戦場であった。
ノアの瞳が、その紅の深奥で、ひとしきり笑みを浮かべたように、わずかに感じられた。
──さて、ここまで読んでくださった方には、もうお察しの通りかもしれません。
ノア・エヴァンスとレタル・レギウス。
蒼鷲のクラスに籍を置くこの二人は、決して「好かれて」いるわけではありません。
ノアは、帝国の支配下にある小王国の王子。
そのうえ、代々“女性にしか継がれぬはず”だった〈唯一神の力〉を男である彼がほとんど完璧に扱えるという、忌むべき「例外の象徴」。
――周囲の貴族にとって、彼は「異物」であり、「例外」であり、「不穏」の代名詞です。
加えてその傲慢と皮肉を纏った態度は、周囲の名門子弟たちの反感を買ってやまないです。
一方のレタルはといえば──学園長の特別推薦。
学力や血統ではなく、「コネ」で入ったと揶揄され、腹の底では「ふさわしくない」と囁かれる( ̄ー ̄)。
それでも彼は飄々と笑い、誰よりも空気を読む。だが、本音は決して見せない。
“誇り”や“伝統”が幅を利かせる蒼鷲の中で、二人はあまりに異質ですね(^◇^)




